待ちに待った渓流釣りが解禁する。釣り人は川の流れの中でひと足早く春を感じる。まずは1匹渓流の女王の顔を見たい。その思いで白い息を吐きながらサオを振る。雪が解ければ春本番。本流で大物が動きだす。今回は早春の渓流から本流までのヒレピン渓魚の魅力、釣り方を紹介したい。
使うエサの季節ごとの変化
エサだが早春の渓流では川虫のキンパク、ヒラタがメーンとなる。
イクラや小さめのミミズも使用する。
川虫の使い分けとして、初期はキンパクでキンパクが羽化していなくなるとヒラタに変わっていく。
イクラやミミズは、支流の上流域で威力を発揮する。
本流では4月ごろからヒラタ、クロカワがメーンのエサとなる。
ヒラタが羽化していなくなるとオニチョロに変わっていく。
5月以降はオニチョロ、クロカワ、ミミズがメーンで、オニチョロ、クロカワもだいたい5月いっぱいで羽化していなくなるので、その後はミミズかブドウムシで釣ることになる。
川虫の応用的な使い分けをいくつか紹介したい。
エサのキンパク、状況に応じて大きさを変えて使う。
まずキンパクとヒラタだが、渓魚もスレてくると普通のエサでは反応が鈍くなる。
そこで釣具店で売っているサイズよりも小さいサイズのキンパクとヒラタを使用する。
釣具店で売っている川虫は売り物なので、サイズがそろっているのがほとんどだ。
そこで川虫を自分で採り、小さめの川虫をそろえるのだ。
普通サイズでハリに乗らないときや、エサを半分だけ取られたときなどに、小さめの川虫に変えるとドンピシャでハリ掛かりする。
また先行者の後やアタリがすぐに出る浅場などでも効果的だ。
次にクロカワ。
本流でなじみのあるエサだが、支流でも場所によっては効果的。
支流の最下流部、本流に近いエリアでは反応がいいことが結構ある。
支流でクロカワを使う人が少ないので、先行者の後でも好反応のときが結構ある。
また本流でもスレてきたら、小さめのクロカワを使うとハリ掛かりしやすくなる。
渓流釣りのタックル
【サオ】
サオは上流域なら3~5m、中流域など里川なら6~7mでどちらも長さを調整できるズーム式が便利。
本流だと河川にもよるが7~9m。
サオの調子は先調子、胴調子などあるが、最近はどの調子でもある程度バランスが取れているので、好みで選ぶといい。
硬さは基本、中硬硬、硬調、硬中硬、超硬と中硬以上に軟らかいゼロ釣法用のものがある。
基本は中間の硬調がメーンとなる。
あとは魚のサイズ、種類に合わせて使い分ける。
魚がスレている状況ではゼロ釣法用のものが威力を発揮するし、上流域では木が覆いかぶさっていたり、岩の上から釣ることもあるので、魚を一気に抜き上げることを想定すれば、超硬を選んだりする。
また川幅が広い本流域の大淵などでは長ザオが威力を発揮する。
自分が釣行するフィールドに合ったサオを選ぶといい。
【水中イト】
初めは0.4~0.3号ぐらいから使い始め、徐々にイトを細くするといいが、肝心なのは細ければいいのではなく、状況によって使い分けるのが大事なのだ。
上流域なら0.3号前後、中流域だと釣り人も増え魚もスレているので0.2~0.1号。
本流は時期にもよるが3月~5月ごろまでは0.15号~0.2号で、大物が釣れる5月以降は0.3号以上を選択する。
細イトを使う注意点は細イト専用のサオを使うことと、同じ仕掛けを使い回しないことだと思う。
【オモリ】
オモリは魚のいる川底にエサをうまく流すために、必要不可欠なアイテム。
魚がいる流れにしっかりエサを乗せて流す上で、オモリの号数の選択は意外に難しい。
スレていない魚なら、オモリが少々重くてもエサをくわえているが、スレてくるとオモリの重さで違和感をおぼえて、エサをすぐに離してしまう。
軽すぎると仕掛けをポイントまで飛ばしにくいし、慣れていないと魚がいる川底の流れにうまくエサを流し込めない。
だからオモリは状況によって使い分けるので、着脱が簡単なものがいい。
お勧めはゴム張り式か、オモリにゴムのコーティングが施してあるものだ。
【ハリ】
ハリは魚との唯一の接点なので、サオの次に大事。
種類は大きく分けて、カエシのある半スレバリと、カエシのないスレバリとある。
スレバリはスレたときのみ使用し、基本は半スレを使用する。
形はいろいろあるが、大きく分けて川虫用とミミズ用とあり、私のお勧めはオーナーの『カッパ極シリーズ』で川虫(ヒラタ、キンパク、クロカワ)のエサで、支流を釣るならカッパ極2~4号、本流なら3~6号。
ミミズはオーナーのきじ鈎6~7.5号かカッパ極スーパーライト5~6号を使用する。
またハリ先が鈍っていないかチェックしよう。
ハリは一日の内に何本も交換する。
目安は午前と午後各2回、またはポイント移動したとき、10匹以上釣ったときなど。
そして鋭さを持続するためハリを研ぐのも手だ。
渓流釣りのマナー
まず必ず入漁券を購入すること。
まれに漁協がなく無料で釣れる川や区間があるが、ほとんどの川で入漁券が必要だ。
そして体長制限はしっかり守ろう。
漁協によって体長制限が違うので、しっかりチェックして入川しよう。
東海の釣り場は大体15cm以上がキープサイズだ。
入釣時の注意点としては、釣り上りが基本。
先行者がいたら、ある程度距離を取り入川しよう。
また追い抜きする際は先行者にひと声かけて確認しないとトラブルの元だ。
人気ポイントにはどうしても釣り人が集中するが、優先権は朝一番に川に立った釣り人にあるのが基本。
釣行する際はポイントを1つに絞らず、第2候補、第3候補を事前に考えておこう。
今年もきれいな渓流できれいな渓流魚に出会えるのが楽しみだ。
<週刊つりニュース中部版 APC・松森渉/TSURINEWS編>
この記事は『週刊つりニュース中部版』2018年1月26日号に掲載された記事を再編集したものになります。