お正月の御膳としても重宝される、明石沖の秋マダコがシーズンインした。今回は、キホンの釣り方解説と、11月9日と10日に行ったボート釣行の模様をお届けします。
(アイキャッチ画像提供:WEBライター・丸山 明)
目次
明石の秋タコシーズン
今年もようやく秋タコ釣りのシーズンになりました。夏の照りタコとは違い、数釣りはできませんが、中型クラスが釣れるようになります。
一般的に9~10月の産卵期には、最近は自主規制があります。そして、11月から一斉に、遊漁も漁も再開されます。秋のおいしいタコ釣りは、なかなか興味深く楽しい一日になる釣りです。
明石界隈の乗合船の多くが、この「秋タコ」を狙って出船します。船にもよりますが、年内12月まで狙えるので、お正月用のストックが蓄えられます。冷凍保存が効き、味も大きく損なわれずに重宝します。「秋タコ」で鍋や冬のおでんが美味しく、夏に食べるタコとは、少々趣も違うように感じます。
秋タコ釣りのタックル
サオは、短い胴付サオが使用できますが、やはりタコ専用の2m未満の短サオが使いやすいと思います。というのも足を広げたタコは、水の抵抗による重さも相まって、腰の強いロッドが必要になってくるからです。
また、ただ固いだけではなく、適度に曲がることが重要で、タコの身切れのバレを防ぎます。そしてノリがわかる穂先も必要なため、専用ロッドの利点は大きいでしょう。
リールは、手持ちの釣りですから軽く、そしてパワーのある両軸タイプがおすすめです。小型、軽量、パワータイプ、メーカー製品でいくつか該当します。ラインは、PE2~3号が80mも巻ければ十分です。リーダーは14号を1m、PEラインとの接続はスイベルを使用します。取り込みの時に細いPEより太いリーダーが便利です。
タコエギの選び方
最近はエサ釣りより、ゲーム性の高いタコエギが主流になってきています。何をそろえたら良いか、迷った時は、廉価版でもかまわないので、その価格分で各色をそろえましょう。というのも釣れないときに釣れている人とカラーを合わせることが、釣れる一番の近道だからです。
そしてタコには、形よりカラーが重要になってきます。800円のエギを買うならば、私は400円のエギを2色買います。こだわりは、カラー選択です。多くはエギを2本使用しますが、私は3本使って、シリコンのタコベイトも付け目立つようにしています。
仕掛けの装飾について
効果の程は定かではありませんが、個人的にケミホタルを使用しています。クリスマスツリーのような集寄のタコビラは、潮の抵抗が大きいため、私は使っていません。
一方で、赤や緑の発光体は、小さく潮の抵抗がありません。頭が良く、臆病者だが、好奇心は非常に強く、また自分のテリトリーへの侵入者を追い出すタコには、目立つ光が役に立っているような気がします。
脱走対策は万全に
脱走対策は必要です。網袋やスカリはきちんと閉めます。すごい腕力と吸盤で、大型になるほど、信じられない行動で逃げてしまいます。船上の排水口の位置がなぜかわかるらしく、一直線に逃げます。
脱走されると、釣り上げのバラシより10倍は、悔しい思いをします。活きたままクーラーに入れると、低温によりすぐに永遠の眠りにつきますが、その前に大量の墨を吐きます。袋に入れても、とんでもない真っ黒けになり、家での下ごしらえが恐ろしいことになります。
生かしておいたタコは、1匹づつ絞めておけば、きれいな状態で持ち帰ることができます。タコの絞めは、目の間、眉間の奥にある脳をハサミやドライバー等で刺し、一瞬タコの色が変われば、OKです。面倒ですが、これさえ行えば、帰宅後の墨による大騒ぎなしに、無事に過ごせます。
秋タコ釣り方のキホン
誘いの基本は、テリトリーへの侵入者を演じます。タコの注意が向けば、次は侵入者から、今度はエサだと勘違いさせる必要があります。着底させたら、小刻みに震わせたり、小さくトントンと動かしたりして、侵入者の動きをアピールして、おびき寄せます。震わせたり、小さく動かす時に、必ずオモリが海底から大きく離れないようにします。しゃくった後は、次は僅かに静止させ、エサと勘違いさせ、触るのを待ち、これを繰り返します。
アタリとアワセ
エギを触りに来て、ヌんとした軽い重みが出ます。これは前アタリで、ここでアワセてもかかりません。ひと呼吸かふた呼吸待ちます。慌ててないで、私は5つ数えていきます。そうすると、足8本の付け根の口で食べようとエギに乗っかってきて、大きな重みを感じます。
カウント5の後、両手でサオを持ち、必殺の強烈なアワセを入れます。力強く思い切りしゃくること。最初はエギをつかんでいるだけなので釣られては来ますが、エギのフックにタコをかけなくては、途中で逃げられます。力いっぱいです。これで、ズンッと重みが出ればOKです。これがタコ釣りの真骨頂で、痛快な瞬間です。
直近の実釣レポート
11月6日に秋タコ狙いのボート釣りへ出かけました。明石市二見沖、岸寄りの海苔棚の手前です。乗合船は、海苔棚の通路に入っていますが、ロープが張り巡らせた場所は危険です。
君子危うきに近寄らずで、ボート釣りは周辺の安全が第一です。7時から釣り開始。緩く潮が動く日で干潮は10時44分。3時間ほど、朝の潮が本日の狙いです。
エギの選択は、夏に調子の良かった黄紫緑のタコエギを使用。水深8~9mの浅いポイントから開始です。潮はゆっくりと1kt以下で東に流れ、底をトントンと誘いを入れていくと「ヌン」と軽い重さを感じます。
慌てないように5カウントして、両手で大アワセ。ズンと来る久しぶりのタコの重み。嬉しい秋タコ600gが上がってきました。おはようタコさん。うまそうです。
自己記録3kg手中も大脱走?
ボートを潮上に戻し、続けて同じサイズを追加です。面白くてうれしくてで、舞い上がりそうです。そして、3回目の前アタリ。カウント5の後、大アワセ。根がかりかと間違えましたが、少しサオが上がります。これは大ダコです。
ゆっくりと巻き上げ玉網に入れたのは、大きな頭と太い腕の3kg超えの自己最高記録の大きなタコでした。触るのも怖いような大きさですが、写真を撮ってスカリに放り込みました。しかしなんと、こいつが脱走しました。長さ140cmのスカリから、大きな吸盤で船体にへばりついて出てきたようです。考えられない行動ですが、その悔しいこと悔しいこと。おでんが逃げた。
出足好調の釣りが、この脱走劇で一転して、根がかりを2回もするようなドジもしてしまい、800gの良型が来ても意気消沈状態です。型物が5ハイ釣れた絶好調ですが、4ハイ持って10時前に沖上がりです。
翌日に大ダコリベンジ釣行
予定外の敵討ちに翌日も秋タコ釣行です。満潮6時20分、干潮11時54分ですが、この日も潮は緩いので、朝の3時間で大きいのを狙ってみます。大ダコ狙いと気負って行くと、大概はボーズになるものです。
しかし、今年の秋タコシーズンなかなか調子は良いようです。乗合船も好調な 釣果ですが、夏とは違うタコポイントを探しながら、私も何とかお土産には、事欠かないくらいです。
しかし、悔しさで気負った分、型が小さくなり、300gから600gの小型から中型を5ハイ釣りました。どうやって食べようかなと食いしん坊を考えていたところに、さらに重めの前アタリが出て、大アワセに重量感が出ました。やった!キロオーバーです。6ハイを釣り、敵討ちはできずですが、10時に沖上がりとしました。
今後の展望
朝の短時間で、おいしいタコが手に入る「秋タコ」シーズンです。ボート釣りも乗合船もまずまずの釣果が出ています。潮が小さく緩い日は、タコ狙いが面白く、釣って喜ばれるおいしさもおすすめなのでぜひ挑戦してみてください。12月まで釣れるので、お正月用も楽しみです。
<丸山 明/TSURINEWS・WEBライター>