魚の世界にも派閥があるのをご存知ですか?中でも最大規模を誇る派閥が『スズキ目』!今回は釣魚、観賞魚それぞれの意外なスズキ目の魚をご紹介します。
(アイキャッチ画像作成:TSURINEWS編集部)
種の分類について
地球上に生息するすべての生物は【界>門>綱>目>科>属>種】で分類をすることができます。
魚は脊索動物亜門に属し、体の特徴(ヒレの数、骨の本数)などによってさらに細かく分類されます。
例えば、冬に美味しいブリは細かく分類すると、
【動物界>脊索動物門>脊椎動物亜門>顎口上綱>硬骨魚綱>条鰭亜綱>新鰭類>スズキ目>スズキ亜目>アジ科>ブリモドキ亜科>ブリ属>ブリ】
といったように分類をすることができます。
世界中の魚の数を正確に知ることは難しいですが、推定でも2万種類をこえるといわれており、それぞれが同様に分類されています。
最大派閥のスズキ目
2万を超えるサカナのうち、ある『目』に属するサカナが大多数を占めていることを皆さんはご存じですか?
その最大派閥こそが『スズキ目』。
1万種を超える
実は1万を超える超える種類のサカナが、このスズキ目に属しています。
こうなってくると、スーパーの鮮魚売り場に並ぶサカナも統計的に見れば、2種類のうち、どちらかはスズキ目という事になってしまいますが、あながちこの統計も間違いではないのです。
スズキ一族ともいえる、このスズキ目には「え、こんな魚もスズキ目なの?」と驚くようなものもたくさんいます。
人間界の鈴木さんの割合
ちなみにサカナの大多数を占めるスズキ目ですが、人間の苗字でも「鈴木」さんはなかなかの割合を占めています。
あなたの周りにも1人は、鈴木さんがいるのではないでしょうか?
日本全国的にみると、一番多い苗字は「佐藤」、次いで「鈴木」、3位が「高橋」となっています。
全人口で見ると約1.6%が鈴木さんのようです。
話が少しそれてしまいましたが、スズキ目のサカナのうち、釣り場で見かけることの多いスズキさん、観賞魚でよく見かけるスズキさんをいくつかご紹介していきます。
スズキ家は、本当に大家族なのです。
釣りでよく見るスズキ家
マダイ
こちらはみなさんご存じのおサカナでしょう。赤く美しい祝い事に欠かせないサカナと言えばマダイですね。
タイも実は、スズキさんの家系です。
【スズキ目>タイ科>マダイ亜科>マダイ属>マダイ 】
マハゼ
江戸前の天ぷらが、美味しいマハゼもスズキさんの家系です。
【スズキ目>ハゼ亜目>ハゼ科>ゴビオネルス亜科>マハゼ属>マハゼ】
キュウセン
エサ取りで嫌われがちなキュウセン(通称ベラ)もスズキ目に入ります。どこがスズキなのだろうと思うかもしれませんが、れっきとしたスズキ目のサカナです。
【スズキ目>ベラ亜目>ベラ科>カンムリベラ亜科>キュウセン属>キュウセン】
シロギス
白くて美しい砂浜の女王と言われるシロギスもスズキ目です。
【スズキ目>キス科>キス属>シロギス】
タチウオ
「いやいや、もう絶対違うでしょ。なんならウナギとかの仲間じゃないの?」そんな心の声が聞こえた気ましたが、安心してください。
銀色に輝くタチウオもれっきとしたスズキ目の一員です。
【スズキ目>サバ亜目>タチウオ科>タチウオ属>タチウオ】
観賞魚でよく見るスズキ家
カクレクマノミ
アニメ映画でも主役を務めた、このサカナも実は、スズキさんの家系です。色や大きさも全然違いますが、スズキ目です。
【スズキ目>ベラ亜目>スズメダイ科>クマノミ亜科>クマノミ属>カクレクマノミ】
ナンヨウハギ
こちら同様のアニメ映画に出演したおサカナ。真っ青な体で、きれいな楕円形のフォルムですがスズキさんです。
【スズキ目>ニザダイ亜目>ニザダイ科>ナンヨウハギ属>ナンヨウハギ】
タテジマキンチャクダイ
観賞魚業界では比較的有名で、幼魚と成魚で体の模様が変わる非常に美しいサカナです。
【スズキ目>スズキ亜目>キンチャクダイ科>サザナミヤッコ属>タテジマキンチャクダイ】
ヒフキアイゴ
黄色く、黒い斑点が特徴のヒフキアイゴ。背中のトゲに毒があるので触るときには注意が必要なスズキさんです。
【スズキ目>ニザダイ亜目>アイゴ科>アイゴ属>ヒフキアイゴ】
こんな魚もスズキ家
クロマグロ
日本で知らない人がいないと言っても過言ではない「クロマグロ」もスズキさんの家系です。
【スズキ目>サバ亜目>サバ科>サバ亜科>マグロ族>マグロ属>クロマグロ 】
コバンザメ
もはや名前にサメとついていますが、コバンザメは硬骨魚類の為、サメとは全く無関係なスズキさんです。
【スズキ目>コバンザメ科>コバンザメ属>コバンザメ】
イトウさんはサケ目
サカナの中には【スズキ=鈴木】のように人間の苗字と同音のサカナが他にもいます。
例えば「イトウ」。
しかしイトウさんは、大多数のスズキさんの家系ではありません。
イトウは分類すると【サケ目>サケ科>サケ亜科>イトウ属>イトウ】になります。スズキ家とイトウ家は名前も違えば家系も全く違うようです。
スズキさん家は大所帯
サカナの世界ではスズキ目のサカナが大多数を占めており、思ってもみないサカナまでスズキさんの家系だったのです。
大きさや見た目の特徴、生活様式や食性も種類によってかなり異なります。人の鈴木さんと同じように、サカナのスズキさんにもいろいろなタイプがいるみたいです。
<近藤 俊/TSURINEWS・サカナ研究所>