9月29日、大阪・谷川港から出船する大勝丸に乗船。この日は東大阪の島袋さんのチャーターでアジ五目釣り。老かいな船長の潮、ポイント読みがズバリ当たってアジ、サバ、チャリコなどがクーラー満タンとなる爆釣劇だった。
(アイキャッチ画像撮影:TSURINEWS関西編集部・松村)
目次
大勝丸にて出船
大勝丸は谷川港から出船する仕立船で、80歳を超える船長が長年の経験を生かして、ほとんど魚探を使わず、潮読みによるポイント設定をしてくれる風情のある遊漁船だ。
谷川港は入り口が狭く、奥は細長い形状になっているが、大勝丸は通常、南側の護岸中央付近が船着きになっている。ただ、この日はお客さんの要望で駐車場が広い、港入り口に当たる護岸からの出船となった。
まずは友ケ島近くで竿出し
6時に出船した大勝丸は最初のポイントである友ケ島(地の島)の北側でスローダウン。が、着くなり船長のひと言「潮が速すぎて1時間以上は釣りにならんかも…」に不安がよぎる。
胴突き仕掛けのキホン
さて、ここで大勝丸の船長流の胴突き講座だ。「初心者にも簡単にこなせる…」胴突き仕掛けでの釣りだが、基本はオモリを底に着けたら待つのみ。これがビギナーにもできる第一歩。
エサのアオイソメが勝手にクネクネと動いて、魚にアピールしてくれるから細かな誘いは必要なしである。
釣り方ステップアップ
それができたら次はステップアップ。船長曰く「オモリを浮かしたり、底をオモリでトントンたたくと釣れん!」。オモリで底をたたくと近くにいる魚たちが警戒して離れたり、びっくりして逃げるからだと言う。
基本の動作としては、オモリが底に着いたら、浮かさずにそのままオモリが底に着いた状態をキープする。この時、船が流れるとオモリが底をズルズルと引きずるのだが、時にはそれもあり、そして時にはラインを少しずつ出して、オモリをその場に置いておくイメージの釣りもあり。
少人数制のメリット
多くの釣り人が竿を出す大型乗合船では、糸を出してしまうとオマツリの元になるので、船長によっては「糸を出し過ぎないように」とアナウンスをするが、大勝丸は少人数制なので、送り込む釣りができるのだ。
ある程度オモリを置いた状態でアタリがなければ、少し大きく持ち上げて、仕掛けの位置をかえ、再び着底させるといい。これが食いがやや渋い時にも効果を発揮する釣法だ。
オモリを浮かさない理由
さらに、気を付けたい動作としては、オモリが着底した時に、人によってはクセで糸を巻き取り、糸の張りを確認する。実はこれはあまりよくない動作なのだという。船長は「仕掛けを上げると、枝バリが下方にいってしまい、幹糸の近くにエサが来てしまうので、魚が警戒したり、幹糸にエダスが絡んだりする」と言う。
あくまでも枝バリは潮の流れに合わせて水平に、幹糸からエサが離れるような状態が望ましい。そこで、オモリが着底したら、上げる動作をせずにそのままオモリを底に着けた状態をキープしたい。
25cm級アジが登場
さて、1投目はやはりあっという間に船が流されてポイントを外れたので、少し潮の緩い場所を選んで2流し目。早々にミヨシに座る島袋さんの竿先に心地いい反応が出た。大きくアワせたがこれは掛からず。
すぐにトモで竿を出す船長にトンと言うアタリが来て、竿を立てるとコンコンと軽快な引きが伝わってきた。電動リールのスイッチを入れて巻き上げると、 25cmほどのマアジが浮いてきた。まずまずのサイズだと思っていると「小アジやな」と船長。
タナ浮かせて40cm超アジ!
その直後に、再び船長にアタリがあって、これはよく引く。魚が違うのか、それともアジが大きいのか…。浮いてきたのは40cmを超すマアジだった。25cm級でも美味しいそうなアジだったが、狙いはこの大アジなのだ。
「小アジは底、大きいアジはちょっと浮いている事が多いよ」と船長。そういえば、最初の小アジは下バリ、2尾目の大アジは真ん中のハリに食っていた。仕掛けの全長内のほんのちょっとしたタナの違いでアジの大きさもかわるのだ。
小島沖へ移動
アタリは時折あるが、潮が速いままなので、ポイント上をすぐに通過してしまうのか、連続でのヒットがない。そこで、船長が業を煮やして場所移動を決意。一気に戻って小島沖の漁場へ。
こちらも潮は速かったが、1投目から島袋さんにもアタリがあってアジが釣れ出した。時には2連でヒットしたり、こちらでも40cm近いアジが釣れたりと賑やかになってきた。
ドラグ調整が重要
このポイントではアジのほかに、チャリコや40cm近いマサバも釣れて、船の水槽はかなり混雑状態になってきた。船長も好調に釣るが、島袋さんはバラシも多い。船長が確認すると、リールのドラグを締めすぎているようだ。
「アジが引いた時にドラグが滑るくらい緩めに設定しておかないと、口切れでのバラシに繋がったり、大物が来た時にハリス切れでバラしてしまうんよ」とアドバイス。確かにドラグを調整してからバラシが激減した。
2人で好調にアジをメインに釣り上げて、12時前に「そろそろ行きましょうか」と船長の合図で納竿となった。
港に帰って、水槽から釣れた魚を取りだして船長が1尾ずつ締めてくれる。それを、島袋さんはハサミを使って内臓とエラを抜きながらクーラーへ。こうすれば帰ってからの処理が楽ちんで生ゴミも出ない。
ゆったりした時間が流れる
大勝丸は日よけの屋根もテントではなく、和風なすだれを使っている。心なしか、テントよりも吹く風が涼しく思えたのはこの影響か…。いずれにしても、穏やかながら的確なアドバイスを時折送り、基本的には釣り人の好きにさせてくれる。
船長が釣り上げた魚も全てお客さんに持たせてくれるのもありがたく、当日は氷を入れると25Lのクーラー2つが8分目まで埋まるほどの大釣りとなった。
都会の喧噪を避けて、休日にのんびりと風情を楽しむなら、こんな五目釣りがいい。都会の釣り人を癒してくれる空間が大勝丸にはあるのだ。
<松村計吾/TSURINEWS関西編集部>
大勝丸
乗船場:大阪府泉南郡岬町多奈川谷川