秋も深まり、夜は防寒着が手放せない季節となった。しばらく前まで好調だった鳥羽方面の豆アジも下火になり、海の中も冬の気配だ。そんなアジに代わり、現在好調なのがムツの子。本来は深海魚だが、小さいうちは沿岸部に生息するため陸っぱりでも狙える。
漁港をランガンしながら探っていく
小さいとはいえ、この時期の中心は20cm級。
ライトタックルなら十分に楽しめる。
そして何より、食べておいしいところが最大の魅力なのだ。
実際のところ、ムツを狙うなら鳥羽よりも志摩方面の方が手堅い。
だが、志摩は遠いのだ。
そんな訳で今回は、パールロード沿いの漁港をランガンしながら探っていくことにした。
所用を済ませて午後から出発し、現地に到着したのは11月12日の夕方。
まずは『アイスジグW2/RAPALA』でメバルをチェックする。
係留船の間にキャストすると、最初のフォールでラインが止まった。
即座にアワセを入れると、漁港としてはまずまずの20cm弱。
今年もメバルは健在のようだ。
ポイント移動後ヒットが続く
そして暗くなったところでポイント移動。
アジには少し遅くメバルには少し早い季節のためかアングラーも少なく、常夜灯の下は貸し切りだ。
早速五目ソフトをセット。
ジグヘッドは市販品に手を加え、サークルフック(ネムリバリ)にしたものを使用する。
手を加えるといってもハリ先を少し曲げるだけだが、その効果は絶大。
ハリをのまれないので、鋭い歯によるラインブレイクが激減する。
日没直後は今ひとつだったが、ほどなくヒット。
ムツにしては引きが弱いと思いながら寄せてくると、上がってきたのは豆アジだ。
これはこれで楽しいターゲットだが、今回は外道でしかない。
表層でアジがヒットしたので、次は底を探る。
ここでようやく姿を見せたのは22cmほどの本命ムツ。
フックはしっかりと口元に掛かり、ラインには傷ひとつない。
ここから連発とはいかないまでもヒットが続き、25cm級の良型も顔を出した。
だが、凶暴な顔の割にはアタリが小さく、アワセの難しさは豆アジ並だ。
中にはひったくるようなアタリもあるが、大半はわずかな違和感のみ。
それを掛けていく繊細な釣りを強いられた。
潮止まりでも諦めずに探っていく
いくつかの常夜灯を渡り歩き、何とかツ抜けを達成。
だが、午後8時ごろになるとアタリが途絶えた。
タイドグラフを見れば見事に潮止まり。
それでもネチネチ探っていくと、久々のヒットはまさかのメッキだ。
ハズレ年の今年、まさかこんな場所で巡り会えるとは。
続けてカマスや豆アジもヒットしたが本命の反応はなく、ここからは次のターゲットに狙いを絞る。
そのターゲットとはゴンズイ。
外道の王道を行くような魚だが、実はムツに負けず劣らず、とてもおいしい魚なのだ。
ワームでも釣れない訳ではないが、動きよりもにおいに反応を示す魚なので、ここは素直にエサの出番。
ブラクリ仕掛けにオキアミをセットし、足元に落とし込む。
ところが、これがまた渋かった。
さすがに11月ともなると、ゴンズイといえども厳しいのだろうか。
だが、おいしいのは脂の乗るこれからの時期。
こちらも本気だ。
かろうじてレギュラーサイズの20cm級を2匹キャッチしたが、数も型もまだまだ不満だ。
そこで地元の名人に教わった秘密のポイントに移動したが、9時すぎまで粘って1匹追加するのが精いっぱい。
残念だが、ここでタイムアップとなった。
今回ムツは20~25cmを11匹とまずまずだったが、ゴンズイが今ひとつ。
この手の魚は狙うと釣れないのが常とはいえ、あまりにも貧果だ。
おいしくなる季節はこれからなので、再度挑戦したい。
<週刊つりニュース西部版 APC・浅井達志/TSURINEWS編>
伊勢自動車道・伊勢西ICから鳥羽市街へ抜けパールロード経由。