清流・菊池川、その流れは場所場所で緩くまたは速く激しく流れて四季折々であらゆる川釣りが楽しめる。特に多いのはハエ釣り(ハヤ釣り)だが大物狙いのコイ釣りも少なくない。今は落ちアユとか山太郎ガネ(カニ)の釣りと捕獲も盛んだ。
菊池川のヘラブナ釣り人はまだ少数
ヘラブナ釣り師は5本の指で数えられるほどで、あとは私のお弟子さんたちと週刊つりニュースの私の記事を読んで来られる人だけのようだ。
まさにヘラブナ釣り人の数は菊池川では極少数派。
だが、私が熊本県内で過去多くの川でヘラブナ釣りをやってきたが、この川は緑川に次ぐすごい釣り場か、もしかするとそれ以上~菊池川の開拓は未だ1年足らずで未開拓も多いので~かもしれない。
震災後、菊池川でまあ~のんびり~時々盟友諸氏やお弟子さんがやってくる以外は~ヘラブナ三昧の日々、と思ったが2か月ほど前から、
「弟子にしてください」
『あんたはなんばいよっと、ハエ釣りの名人でっしょが』
「ハエ釣りは辞めます」
『やめんちゃよかばい、もったいにゃ』
~震災に遭って以来、面倒くさいことは一切しない、ましてお弟子さんの世話なんかとんでもにゃぁこつ~と思っていたが『そぎゃん言うなら、ばってんヘラブナ釣りは一度はやりだすと蟻地獄ばい、それに己に優しく他人には厳しいのが私の信条、ちなみに教育方針はスパルタ式ばい、覚悟はよかな?そっでよかなら』
で、幸いハエ釣りの名人と言われただけあってサオさばき、エサの付け方、仕掛けの作り方などのヘラブナ釣りの基礎は教えなくても即OK牧場だったので、後は~誰でも一度は経験するのよ~誘惑の甘い罠のヘラブナ地獄をどう乗り切るか。
彼は知らないが一緒にヘラブナ釣りをする度にその都度が入門試験、一度でもヘマをすれば即破門の宣告が待っているのが私の主宰する「火の国塾」の掟であります。
夏の終わりと秋の釣りを経験して幾つかの試練をクリアしたようなので、後は冬の厳しい釣りと春の驚くようなヘラブナの狂い釣りをいかに克服するのかが、いわゆる春夏秋冬1年間ヘラブナ釣りを経験してようやく幼児教育終了となる。
が、しかし、教える私もそう時間があるわけではない。
できれば1年で大卒になってもらわねば~の思いで、先のことは分からないが短期間で私の持っている全てのヘラブナ釣り学を叩き込むつもりだ『覚悟しろ』。
ヘラブナ蟻地獄の穴を掘って掘って掘り尽くして二度っと元には戻れないようにと思っているが、師匠の私が言わなくてもせっせと大きな穴を作っているようで『オラしらね』~ハエ釣りに戻らないという決意は固く今まで愛用していた多くのハエ釣りの銘竿を釣友に譲ってしまうという退路も絶ってのヘラブナに賭けている。
やや上流に斜めに構え逆おわせ釣り
11月10日の釣り場は菊池川の保多田の通称「木工所」前。
やや流れのある本流での中通し仕掛けの釣り、早朝からサオを出して私が着いた朝8時ごろには、すでに数尾の釣果を上げるご機嫌の釣りをやっている。
彼の中通しとは違う釣り方で、今回はサオ10尺、ミチイトに『ザイト/OWNER』2号、ハリス1号、ハリは『セッサ/OWNER』8号でエサは『底餌クロレラ/IKKEI』と『蒼天/IKKEI』を上バリに『強力グルテン/IKKEI』を下バリのセットで、真正面の日差しを避けてやや上流に斜めに構えての逆おわせ釣り。
ただし、おわせ釣りを勉強中の私は逆に上流に向かってエサを落とすこの逆おわせはまだまだ試作段階だが、菊池川のヘラブナ釣りには絶対欠かせない釣法と思っている。
エサがゆっくり落ちて流れに沿って落ちていく先に着地点を見つけてウキの動きを待つ、エサを落とす地点が違うだけで穂先とウキとエサが一直線になる。
逆もまた真なりという数学的思考がヘラブナにわっかるかな~と思ったが、ウキはちゃんとアタリを出してくれました、なんでもありの菊池川に感謝だ。
ハマると中々抜け出せない
一方、お弟子さんの彼は乗りに乗って釣りまくっている。
近ごろでは行く所敵なしの勢いで天狗の鼻は高くなる一方だが、私的に言えばこれで結構なことであります。
乗っているときはどこまでもイケイケドンドンだし、釣り始めて3時間後に尺2寸(約36cm)が釣れた時点でこれ以上はヘラブナを傷めると思い一応フラシ(魚籠)の中身を写させてもらった。
冬がそこまできているこの時点でかくもヘラブナを釣って楽しむことができる幸せを満喫している一言は「いやー楽しか~で~っす」。
菊池川のいろんな種類の魚を釣っている釣り師の皆さん中で、特にハエ釣りの人たちの今世紀最大の山鹿の大不思議は「財ちゃんがねえ?ヘラブナ釣りを、世の中何が起こるかわっからんばい」~善は急げとかで40cmのヘラブナを釣った時点で異例の釣号を私から贈られたその名は財津三景、まさに超老型新人、菊池川では早くも「師匠の誰かさんより上手(うま)い」という噂もある……。
師匠の私からすれば苦笑いするしかないが、確実なことは彼がセッセセッセとヘラブナ蟻地獄の穴を広く深く掘っているのは確かだ~
『オラしらねぇ、ほれほれもっと掘れだ』
ジャガジャン!
<週刊つりニュース西部版 APC・一美湖次郎/TSURINEWS編>