8月4~6日、福井・九頭竜川で「第43回G杯争奪全日本アユ釣り選手権(主催:がまかつ)」が開催され、全国の予選を勝ち抜いた48人の精鋭が激突。2日間の熱戦の末、決勝の舞台に立った谷川光之選手と楠本慎也選手の戦いは、流芯の激流に大型アユをねじ込み、怒濤の入れ掛かりを披露した楠本選手が圧倒、第37回に続いてV2を達成した。
(アイキャッチ画像撮影:TSURINEWS関西編集部・松村)
大型アユが舞う九頭竜川
緩やかな瀬あり、怒濤の流れが存在する荒瀬ありと、バラエティーに富んだ川相を持つ九頭竜川だが、大会の頃は少し追いが落ちているのか、「土用隠れ?」という声も聞かれたが、掛かるアユはこの時期にしては非常に大きく、大会初日には28cmクラスも飛び出したり、強烈な引きにラインブレイクが出るなど荒々しさが目立つ状況。
予選を勝ち抜いた48選手が激突
初日は48人の選手が12人ずつ4組に分かれ、エリアをかえつつ4試合を行った。各試合ごとの順位で1位が12点、2位が11点、3位が10点のポイントが加算され、4試合合計のポイントで上位3人が6日の準々決勝にコマを進める方式だ。
予選のルールは第1試合のみ2時間で、残りの3試合は各1時間半が釣りタイム。釣り上げたアユの尾数で競うが、G杯特有のルールである、規定数(今回は8尾)をクリアした選手から竿を納められる「早がけ」も採用。早がけでいち早くその試合のトップが確定する選手もけっこう居た。
結果、予選1組からは、がまかつフィールドテスターの田嶋剛選手が1位で抜け、2位には谷川光之選手、3位は佐々木将臣選手が進出。予選2組からは盛合彰彦、楠本慎也、渡辺睦の各選手、予選3組からは東隆信、山口浩平、山内雅彦の3選手が、予選4組からは西部春美、藤井夢人、佐藤豊文の3選手がそれぞれ準々決勝へ。
ベスト8は強豪揃い
6日の準々決勝からはマンツウマン方式での真っ向勝負。4つのエリアで4組が対戦した。1つのエリアを上下に分け、45分ハーフの1試合90分で勝ち抜けを目指す。
東選手VS藤井選手、西部選手VS谷川選手、盛合選手VS楠本選手、田嶋選手VS山口選手の対戦となった準々決勝は谷口地区で行われた。押しの強い流れが一面に広がり、川底には石が数多く点在する。一見、どこでも掛かりそうなのだが、そこは少々クセのある九頭竜川である。
同じように見える流れの中でも掛かる場所、掛からない場所が明確に分かれており、養殖のオトリをいかに早く天然のオトリに交換して、強い流れを攻めきれるかにかかっている。スタートで失敗すると、そのまま何もできずに敗退…という事も考えられる状況だ。
そんな中、東選手VS藤井選手は尾数にして3対4と僅差で藤井選手が勝ち上がった。西部選手VS谷川選手は6尾ずつの同数ながら重量で勝った谷川選手が、盛合選手VS楠本選手は13対3の大差を持って第37回大会でも頂点を極めた楠本選手がV2に向けて突き進む。田嶋選手VS山口選手は10対7で、田嶋選手が前年度覇者の山口選手を下した。
今回の大会エリアでは上流部に当たる板東島周辺で行われた準決勝は谷川選手VS田嶋選手、楠本選手VS藤井選手の顔合わせ。いずれ劣らぬ強豪揃いとなった準決勝は、やや追いが渋い状況の中、上流部では前半にスタートダッシュを決めた谷川選手が前半のリードを保ってそのまま勝利、下流部では一発目をバラしてしまった楠本選手だったが、中盤からの粘りで藤井選手を引き離して決勝の舞台へ。
谷山選手が痛恨の高切れ
60分ハーフの120分の試合タイムで行われた決勝は、本部のある五松橋の上流部が舞台だ。前半は上流に楠本選手、下流に谷川選手が入ってスタート。やはり数は少ないか…と思いきや、谷川選手はエリアの中央付近で1尾目を掛けるが痛恨のバラシ。その後、再び良型のアユを掛けたが、なんとこれは高切れ。オトリを1尾失ない、残りのオトリは1尾での勝負を強いられる事に。
一方、上流部の楠本選手もなかなか掛からない展開で苦戦。ようやく1尾目を掛けたのは開始後40分も経ってからだった。オトリがかわってさあ進撃と思ったが前半終了までに2尾を追加しただけで終了した。
オトリが1尾となった谷川選手は、エリアの下流部にある瀬肩で勝負をかける。ここではやや小型ながら、いきなりオトリがかわった。ここから谷川選手の怒濤の攻めが開始され、前半を終わってみれば谷川選手のリードは明らかだった。
上下を入れかわった後半に入ると、谷川選手の動きを見ていた楠本選手がまずは谷川選手が攻めていた下流の瀬肩へ。ただ、すぐにオトリがかわらなかった事もあって、すぐに見切りを付けて境界線付近まで上る。
流芯の大石回りで快進撃
谷川選手が釣っていた場所よりも、さらに流芯に近いポイントまで入って荒い流れにオトリをねじ込んだ。
すると、目印がぶっ飛ぶようなアタリで、アユがヒット。強い流れとアユの大きさズルズルと下流へ付いていく豪快なやり取りの末、25cm近いアユを取り込んだ。
再び、元の場所へ戻ると同じような場所を攻める。そして、ここから怒濤の巻き返しが始まった。掛かるアユは良型揃い、そして強い流れ。九頭竜川の荒瀬を独り占めにした楠本選手があっという間に10尾を超す。
一方、エリアの上流では谷川選手もペースはゆっくりながら、掛けていく。前半のリードを保てるのか、それとも後半の追い上げ、追い抜くのか…手に汗握る素晴らしい試合展開となったが、なんと、谷川選手が上流部でも高切れをしてしまい万事休す。
終わってみれば楠本選手が13尾を釣り(オトリ込み)、8尾の谷川選手を逆転。見事、37回大会に続いてのV2を達成した。結果的には13対8という数字ではあったが、一歩間違えば全く違った試合展開、結果となっていたであろう、九頭竜川の怖さを実感した。
なお、来年のシード権を掛けた戦いが五松橋下流で、田嶋選手VS藤井選手の間で行われ、こちらは17対7と大差をもって、田嶋選手が勝利。3位に入賞するとともに、来年度のシード権を獲得した。
楠本選手コメント
決勝では谷川選手が連続で掛けていたポイントに行きましたが、釣れるならすぐに掛かるハズと思い、掛からなかったのですぐさま移動しました。谷川選手が流芯の方へあまり突っ込んでいなかったので、天然オトリにかわったすぐに、根掛かりを恐れず流芯の大石の横を狙ったのが正解でした。とにかく打って打って打ちまくろうと…。
最終成績
優勝:楠本慎也選手(13尾)
準優勝:谷川光之選手(8尾)
3位:田嶋剛選手
4位:藤井夢人選手
※尾数は決勝戦での釣果。オトリ込み。
<松村計吾/TSURINEWS関西編集部>