各波止で盛況の小アジ釣りもいよいよ佳境を迎えている。大阪湾南部ではサイズも徐々に大きくなってきた。成長に併せて時合いも短くなり、サビキ釣りでは朝夕の一時限定となる場所も多い。そうなると楽しいのがウキ釣りだ。秋がシーズンの、ノベ竿で狙う小アジのウキ釣りの魅力を紹介していこう。
(アイキャッチ画像撮影:TSURINEWS関西編集部・松村)
目次
アジのサイズとサビキシーズン
5本以上のハリに小さなアジが鈴なりで掛かってくる。子どもさんやビギナーなら誰もが楽しめる小アジのサビキ釣り。大阪湾では南部に当たる泉南方面では6月から釣れ始め、神戸から明石海峡方面では少し遅れて今が盛りと釣れている。
サビキ釣りはマキエカゴ(ドンブリカゴ)から出るアミエビの中に、スキンや魚皮などがハリに付いた疑似バリを紛れ込ませて、まきエサに群がるアジが間違って食べるのを狙う釣り。大きな群れでまきエサに群がるシーズン初期の豆アジや小アジはいとも簡単に釣れてしまうが、少しずつ大きくなってくるとそうはいかない。
ノベ竿で狙うアジのウキ釣り
これから秋口にかけて釣れるアジは夏場の10cmほどの豆アジが成長したもので、9月や10月になると17、18cmに成長したサイズも釣れるようになる。ただ、大きくなるにつれて群れが小さくなり、警戒心も高くなる。そのためにサビキ釣りなど疑似バリを間違って食わせる釣りでは日中の警戒心が高い時間帯は釣るのが難しくなる。
サビキ釣りの時合いとしては朝や夕方のマズメ時、それも30分や1時間といった短時間勝負となる事が増えてくる。
こうなると、1尾のアジとの駆け引きを楽しみつつ、確実に数を伸ばせるウキ釣りが面白くなる。アジのウキ釣りにもいろいろと方法はあるが、これから秋までオススメしたいのが、ノベ竿に小さなウキを付けたシンプルな「1本釣り」と呼ばれる釣り方だ。基本的に涼しげな風を受けながらの夜釣りがベストだ。
アジの1本釣りの魅力
この釣りの魅力は…
・釣具が少なくお手軽
・ウキに出るアジのアタリで掛けアワせる難しさ
・アジ1尾ずつと対等に向き合える
・細い竿にシンプルな軽い仕掛けなのでアジの引きが十分に味わえる
・比較的、良型のアジがよく釣れる
・秋の夜長を存分に楽しめる
など。
基本的にオススメなのは、足場のいい小規模な漁港などの港内向き。こんな所で、クーラーボックスや椅子に腰を据えてのんびりと狙うのが楽しい。朝、夕マズメにサビキでアジが釣れているようなポイントなら確実。そして、やはり常夜灯などがあれば最高だ。
仕掛けはシンプルイズベスト
まず、アジの1本釣りで使用する竿は渓流竿やハエ竿など、リールを使わないノベ竿の中でも、かなり細い竿が面白い。ヘラブナ用などはかえってパワーがありすぎるくらいだ。アジはご存じの通り、口が柔らかいので、あまり硬い竿だと口切れでバラしてしまう事もある。
竿の長さは目安として5m前後より長ければOK。自分の体力にあったものでいい。あまり短い竿だと、ウキ下が深い時に対処できないからだ。筆者はメバルの探り釣り用(6m)や渓流竿(4.5~5.3m)などを愛用している。
仕掛けは道糸1号、ハリス0.6~0.8号(40cmくらい)で、ウキは明るい場所でするなら、カヤウキやセルウキなどの棒ウキタイプが見やすい。ハリは小アジバリ8~9号、袖バリ10号など、やや細軸タイプのハリがアジの吸い込みもよく掛かりやすいのでオススメだ。
常夜灯などがなく、真っ暗な場所で釣るなら電気ウキが必要だ。電気ウキもできるだけオモリ負荷の軽いタイプ(表記ではBくらい)の方がアタリが出やすく食い込みもいい。オモリはウキの浮力に見合ったものを持参しよう。
まきエサの有無について
エサは基本的に2つに分かれる。1つはまきエサ(アミエビ)を用意して少しずつまきながら、サシアミをさしエサにして釣る方法。もう一つはアオイソメをさしエサにして、まきエサをせずにアジの居る場所を探る方法だ。
アミエビを使う場合はエサバケツにアミエビと少量の集魚材などを入れて(アミエビのみでもOK)、シャクで少しずつまく。サシアミはオキアミよりも小さく、アミエビよりも大きくてちょうど中間サイズ。基本的にはハリに刺せるくらい大型のアミエビと思えばいい。
アオイソメの場合は中サイズのイソメを1匹、ちょん掛けにして釣る。まきエサはせずにアジの潜んでいそうな場所を移動しながら探っていく釣りで、いわばウキを使った探り釣りのようなイメージだ。
ただ、夜にウロウロと歩き回ると危険なので、探り歩く釣りはベテラン向きだろう。ということでここからはサシアミ+アミエビの釣りを解説したい。
水深とウキ下の調整
まず重要なのはポイント。港内の波静かな場所で、常夜灯などがあればその周辺に釣り座を構えよう。釣り場の水深は4、5mの深さが理想的だが、夜釣りではかなり浅い場所でも食ってくるので水深はあまりこだわらない。係留されている船の間が広ければ、いいポイントになっている事もある。
さて、釣り座が決まれば次はウキ下の調整。実はこれが釣果を左右する。と言うよりも、アジのサイズに影響してくる。小アジが徐々に大きくなるとはいえ、サイズにバラつきが出てくるのが晩夏から初秋の頃。1本釣りではできれば少しサイズのいいアジを狙ってみたい。
良型狙いは深めのタナで
夜のアジは表層から中層に豆サイズ、その下に少し大型、底近くにさらに大型が潜んでいたり、回遊してきたりと言う事が多い。ウキ下を浅く設定して、まきエサと合わせると一瞬でウキが消し込んだり、横走りして小アジが食ってくる。
小アジが釣れれば少しタナを深くしていく。どんどん深くしていってアジのサイズを確認していこう。理想としては、浅いタナにはアジがたくさん居るのに、タナを深くするとアタリが減ってくるような状況。そんな状況下で、まきエサをパラパラとまきながら、水面のアジをかわしてじっくりと深いタナで狙うと、数は少ないながらサイズがアップする傾向にある。
良型のアタリとアワセ
そして、サイズのいいアジはウキに出る反応もかわってくる。小型のアジはウキを引っ張り回すのに比べ、サイズがよくなるとゆっくりとスーッとウキを引いていく上品な?アタリにかわる。ウキがフワフワとする時は、ほんの少しテンションを掛けて誘い上げてやるか、もう少しタナを浅くするとウキが入る事が多い。
ウキが水面下に入り込んだら、竿を軽く立てるくらいのアワセを入れる。強いアワセは不要。さらに強引に浮かせにかかると口切れでバラす事が多いので、軟らかい竿の胴で魚の引きを抑えながらゆっくりと浮かせる。かなりの大物でない限り、そのまま抜き上げればOKだ。
エサ取りのうまいアジとの駆け引き
ただ、夜のアジはエサ取りもうまいので、ウキに反応が出ても掛からない事が多々ある。ウキ下を微調整したり、オモリの位置をかえたり、ハリの形状をかえたり…と、工夫をしながらアジとの駆け引きを楽しむのも1本釣りならでは。
昼間などに散々サビキ釣りで釣っていた場所で、「こんないいサイズのアジがいるのか…」と感心してしまうような良型がヒットするので面白い。また、アジの引きは小気味よく、サイズの割りには強烈なのでそれも魅力の一つである。
この釣りは群れが小さくなっても、じっくりとエサを見せて食わせる事ができる分、サビキでは釣れなくなった晩秋から初冬でも、アジが釣れる場所は多い。
<松村計吾/TSURINEWS関西編集部>