予定されていた徳島県釣り連盟のイサギのフカセ釣り大会が、悪天候のため中止になった。大会参加を準備していた私と三宅さんは「大会があったら私が優勝したのになあ」、「ほんまに、私は準優勝だったのになあ」、「わははっ」と談笑。続けて「憂さ晴らしに行くでー」、「行こ、行こう」と、6月22日に徳島・牟岐大島へ釣行となった。
(アイキャッチ画像提供:webライター・濱堀秀規)
釣友と二人「ピストル」へ
牟岐大島は、区割りした磯の場所も船中の下りる順番も、クジで決める。昔からの知恵でこうなったが、他の地区から考えると公平な決定方法で、誠にすばらしい方法である。船中のクジの結果は、なんと三宅さんが1番、私が2番である。そして、磯は3番周り。
「よっし、鉄砲いこう」と船長。「うん?ほんな所あったっけ」と思案していると、「ピストルいくで」とのこと。「はいはい、アムロいきまーす」と二人でピストルへ一緒に下りた。
朝一番は激流を釣る
朝一番の潮は、見たことがないくらい速い潮が、左沖にある「潜航艇」の方にゴーゴー流れている。「うわー本流釣りや」と言いながら釣り始めると、三宅さんが早々に、B浮力のウキでイサギを掛けて取り込んだ。
この状況は、たくさんおるかも?と感じて頑張ったが、潮が速すぎてタナに入っていかない。そこで、「仕掛けは変身トウー、仮面ライダーじゃ」と1匁の重い浮力にかえた。しかしタナ2本ではエサが残る。そこで、一気にタナをサオ3本にすると、エサだけが取られてウキに反応がない。
タナ2本半でイサキ
今度は、タナを2本半にしてゴーゴー潮の中を流すと、スポッツと大きな音聞こえるかと思わせるくらい見事に、ウキが海中に消えていった。アワせると、かなり引く。深さもあるので水圧がかかり思ったよりでかく感じるだけだろうけれど、「バレるなよ」と念じながら、慎重にサオを立ててリールを一定速度で巻き続きけた。見事にイサギゲットである。
ゲストで遊ぶのも楽しい
その後は、なぜかイサギが姿を見せてくれない。隣磯の「引き金」の人がシイラを掛けて、私たちの前でこねくり回している。最後はバレたが、相手がシイラなら仕方がない。
そうすると今度は、三宅さんにも止まらない引き。沖でバシャンとシイラが跳ねた。三宅さんは、わざとサオとイトを直線にして切ったようだ。「シイラ釣ってよ、おいしいのに」、「いやー、いらんわ」の会話のあと、私にもシイラがヒット。やり取りをして、手前まで距離を詰めてきたが、シモリに回り込まれ、ラインブレイク。
33cmグレも登場
V9が入ったまきエサをたっぷりまくと、今度は足下に黄色いエサ取りと、60cmはあるキツ(イスズミ)が交じって見える。そして、尻尾の黒いキツに交じって、尻尾の白いグレも見える。グレは30cmくらいと小さい。
「よっしゃ!またしても、ライダー変身」とグレ仕掛けにかえた。今その時、釣れる魚を釣るのが阿波釣法の教えであるので、「引っ張り合いを楽しもうぜ」と狙ったが、エサだけが取られる。
エサ取りにかすめられたような感じもあったし、本命グレにエサだけ取られたような感じもあった。そこで、今度も、ウキにアタリが残るまでハリスを短くしていった。最初は2ヒロ→1ヒロ→矢引と短くしていって何投目か、まきエサと仕掛けを合わせると、矢引にした仕掛けのウキがスーッと入っていった。登場したのは33cmのグレである。
タナが肝心
イサギ釣りもグレ釣りもタナを合わすことがアタリを出す決め手である。エサが残るとタナを深くして、エサだけ取られるとタナを浅くする。これが基本であるが、まさかこんな浅い矢引のタナで、見えるグレが食ってくるとは!海中はもう真夏である。
その後も、イサギやグレの引きを追加で楽しんだ。夏の釣りなら、エサの量がもっとたくさん必要になるので、今度はもっとたくさんのまきエサを準備してこようと思う。
磯釣りには、船釣りと違った面白さがある。また行きたくなるのはどうしてだろうか。釣果にかかわらず、美しい景色や、きれいな空気に出あえる磯釣りそのものが楽しいからに他ならないからだろうな。
<濱堀秀規/TSURINEWS・WEBライター>
大幸丸渡船