古くから大阪北港を始め、大阪湾奥の波止で春の釣りを彩ってきたのが、シラサエビをエサにしたエビまき釣り。メインの対象魚はハネ(フッコ)、スズキで、チヌやキビレも交じってくる。春の本番を迎えたエビまき釣りのタックルとエサ付けを、大阪北港の名手・新宅功治さんに聞いた。
春のシラサエビ事情
さて、エビまき釣りは元気のいいシラサエビをまき、動きのいいエビをさしエサにすることで釣果が大きくかわってくる。生きたままのシラサエビを現地に持っていくので、電池式のエアレーションとエビ生かし用のクーラーやバケツなどは必須。
一般にシラサエビは淡水のスジエビのことで、国内産としては琵琶湖でエサ用として業者が取っているものが店先に並ぶ。ほかに、輸入物などもあり、その時期によって国内産が中心であったり、輸入物が中心となったりする。
その主な要員は、スジエビの産卵期が絡んでくるためだ。産卵期のスジエビは弱く、畜養している最中の歩留まりも悪いことから、販売を避ける店もある。そのかわりとして輸入物のスジエビが販売されることが多くなるのがこのゴールデンウイークの前後なのだ。
活きエサの保存方法
春先はバケツ内の水の水温も上がりにくいが、日中、暑くなってくると水がぬるくなり、どんどんとエビが死んでいく…なんてことになる。そのために、暖かくなる連休以降はできれば、保冷効果のあるクーラータイプが望ましい。常連の中にはクーラーの中を2つに分け、1つはエビを入れる水槽に、もう一つは氷を入れておくスペースとしている人もいる人もいるほど大切に扱っている。
使用する時にもシラサエビの泳ぐ水槽に直接手を浸けないようにした。エビを取り出すときにはきっちりと金魚用などに売られている小さなネットですくって取り出す。
最後がエビをまく時に使用するシャク。こちらはフカセで配合材などのまきエサを巻く時に使用するシャクとは少し違い、水を切ることができるように、カップの底に小さな穴が開けられている。
エサの刺し方
さて、シラサエビを用意したら、重要なエサの刺し方に移る。新宅さんのさしエサの刺し方は「アゴ刺し」「ホホ刺し」「尻尾刺し」の3種類。このうち、尻尾刺しはエビが長生きするものの動きが悪くなるためにほぼ使わない。定番としてはホホ刺しとなる。
刺し方はシラサエビの頭部で、目の付け根の少し後方に頭部の殻だけにハリを薄く刺す。深く刺してエラや内臓、脳などに達してしまうとすぐに死んでしまうので注意。
ちなみにアゴ刺しとは目の付け根の間で、角(額角)の付け根に下から上へハリ先がほんの少し出るくらいに刺す。こちらも脳に刺してしまうと死んでしまうので注意が必要だ。動きとしては①ホホ刺し→②アゴ刺し→③尻尾刺しとなる。当日は、ほとんどホホ刺しで通していた。
さて、このように準備ができたらいよいよエビまき釣りスタートだ。当日披露してくれたエビまき釣りの極意は、次回をお楽しみに!
<松村計吾/TSURINEWS関西>
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