魚の冷凍&解凍時の注意点を解説 温度と時間でドリップを防止せよ

スーパーの鮮魚コーナーに並ぶマグロなどの刺身のトレーに、赤い液体が染み出しているのを見たことがないでしょうか。あの液体はいったいなんなんだろう?血?実はあの謎の液体にはたくさんの旨味が含まれているらしいのです。今回は謎の液体「ドリップ」について調査しました。

TSURINEWS編集部 TSURINEWS編集部

その他 サカナ研究所

謎の液体は『ドリップ』

あの液体は赤いからと言っても血液ではありません。その正体は『ドリップ』と呼ばれる細胞中に含まれ組織液なのです。

冷凍や解凍の際に、細胞を包む細胞膜や細胞壁が破壊され、細胞外に染み出た組織液がトレーに溢れてきます。

赤身魚の場合は、筋肉を形成する細胞中に赤い色素を持つミオグロビンというタンパク質が多く含まれています。染み出てきたドリップもこのミオグロビンにより赤くなるのです。

ドリップは旨味そのもの

タンパク質は様々なアミノ酸で構成されており、アミノ酸は旨味成分として広く知られています。

ドリップが染み出てくることは、水分と共に旨味成分も抜けてしまうことを意味しています。では、どうしてドリップが出てくるのでしょうか。

その原理について調べてみました。

なぜドリップは出るのか

スーパーで並ぶ多くの魚は、水揚げから一度冷凍されていることがほとんどです。

この時、水を凍らせると氷が膨張するのと同様に、魚の身に含まれる水分(組織液など)も膨張しています。膨張することにより細胞は傷ついたり、細胞同士で押し潰しあってしまいます。

これが解凍されると、凍っていた水分(組織液など)は液体に戻り、ドリップとしてトレーに溢れ出てくるのです。

一度冷凍されてから食卓へ(出典:PhotoAC)

氷の結晶の生成

しかし冷凍や解凍の工程を工夫することにより、ドリップの量を格段に減らすことが可能です。

冷凍すると、細胞の中ではまず最初に氷の核が形成され、そこから時間をかけて氷の結晶が生成されます。この結晶を生成する段階で時間がかかってしまうと、結晶はドンドン大きく成長してしまい、膨張により細胞膜などを破壊してしまいます。

そして氷の膨張に関しては、温度がとても重要です。氷の結晶には成長しにくい温度が存在し、その温度は-40℃付近、反対に氷の結晶がもっとも大きく成長するのは-5~-1℃と言われています。

この温度帯にとどまる時間が長いほど、氷の結晶は大きくなってしまいます。

一般家庭の冷凍庫の温度はだいたい-18℃以下に設定されていますが、冷凍庫内の使用状況などのよってはそこまで温度が下がらなかったり、冷凍に時間がかかってしまします。

冷凍時の注意点

冷凍する際はあまり冷凍庫に食材を入れないようにしましょう。冷風がうまく当たらないと、適正温度まで下がりにくくなってしまいます。

また、最近の冷凍庫には急速冷凍モードが備わっていることが多く、魚に限らず食材を冷凍する際はぜひご活用ください。

そんな最新機能が冷蔵庫に備わっていない場合は、保冷剤と一緒に冷凍するといいでしょう。温度を一律に下げやすくなるのでおススメです。

冷凍庫は整理しよう(出典:PhotoAC)

解凍時の注意点

冷凍時と同様に-5~-1℃に長くとどまらないことが肝心です。食品を解凍するときは時間はかかりますが、冷蔵庫や氷水など1~5℃の低温でゆっくり解凍してください。

急速に解凍してしまうと、温度変化によって細胞膜などへのダメージが大きくなり、ドリップが出やすくなってしまいます。反対に5~25℃での自然解凍は衛生的に非常に良くないので、絶対に避けましょう。

細菌は5~60℃ぐらいの間で最も繁殖すると言われています。

自然解凍の場合、外側から徐々に溶けていき、中心部の解凍が始まる頃には、外側は細菌の繁殖しやすい温度にさらされることになります。

解凍の際は手間かもしれませんが、正しい方法で行うようにしましょう。

お店で選ぶ時

スーパーで魚を選ぶ際は、まずドリップが出ていないものを選ぶようにしましょう。すでに旨味が抜けてしまっているものを選ぶ必要はありません。

また、上記の工夫一つでドリップを出しにくくすることもできます。ぜひ、正しい冷凍・解凍方法をマスターしてみてください。

今まで味わうことのなかった旨味に気づけるかもしれません。

美味しく召し上がれ♪(出典:PhotoAC)

<近藤/TSURINEWS・サカナ研究所>