伊藤さとしのプライムフィッシング：真冬でも浅ダナセット？③

「基本は8尺前後、つまり規定最短かな。というのも好条件の釣り座に入れたと言うことは、おそらく水深がある浮き桟橋に入ったはず。であれば魚が多くいるのは桟橋直下だから、できるだけ短い竿がいい。」

「打ち返しのリズムに自信が持てないなら9～10尺竿を振ってもいいけど、長くなればなるほどバラケのコントロールが難しくなる。

つまり自分のハリ付け（振り込み）技量との相談ってことになるかな。」

「厳寒期のセットだとバラケを長く上バリに抱えさせる釣りではなくなるから、PCまたは細パイプトップが付いた浅ダナ用小ウキになるよね。」

「取りあえずウキケースに入っている中から最小またはそれに準ずるサイズだね。」

「そうなることもあるし、多少でもナジませるほうがいい場合もある。でもスタートは1～2節はナジませるつもりのバラケタッチで始めたほうがいいかもね。」

「できるなら食わせが漂うであろう周辺にバラケが浮遊していてほしいよね。でもバラケはそこに留まるわけではない。いつかは下に落ちてしまうわけだから、食わせよりも上から降らせる要素もなくてはならない。

だから最初は上からもタナ周辺でもバラケが漂うようなイメージで打ち始める。そしてウキの動きを見ながら、完全に上から抜くのか、それともナジませ気味で釣るのかと調整するわけだよね。」

「そういう傾向はあるよね。でもただ抜けばアタるなどと安易に考えていてはアタリは出せない。抜くということの意味をもっと理解しないと。」

「抜きセットの場合、ウキから下がすべてハリスというイメージなんだよね。通常の釣りでもハリスの長さって誰もが調整するよね。でもウキから下がハリスとなると、よりウキの浮力とかハリの比重とか、つまりは重さに関わる部分が重要になる。

つまりは仕掛けのトータルバランスが完成し、かつバラケタッチが合致してようやくアタリが出せるようになる。」

「難しいとかじゃなくパズルの部品が増えるということかな」

「下ハリスが張り切ってから触ってアタってくるような状況ってことだよね。厳寒期にそういったケースはあまり考えづらいけど、抜きとの対比と考えるならありかな。

だとすれば最重要パーツはハリスの長さ（段差）ってことになるよね。どれだけ魚がバラケから遠巻きになっているか。つまり距離感を重要視すればいいってことになる」

「そうは言ってないけど、それでもしアタってくるならむやみにウキを小さくしなくてもいいって話にはなるよね。」

「そうだね。ただ仮に距離感は同じだとするなら、持たせ気味の釣りのほうがハリス段差は広め（下ハリスが伸びる）になるし、抜き気味（ウキから下がハリス）なら、下ハリスの長さはさほど長くなくてもいいということになる。」

「そういうこと。そもそも仕掛けがハリスという考えなのだから、ハリスそのものは30cm前後でも十分な時もある。それにあまりに長いとハリスが張らずにアタリにならなかったり、スレが多くなってしまうよね。」