深海に潜む変顔のおっさん『ニュウドウカジカ』とは? 「醜い生物保存協会」のマスコットで話題に

深海に潜む変顔のおっさん『ニュウドウカジカ』とは? 「醜い生物保存協会」のマスコットで話題に

ニュウドウカジカは北太平洋の冷たい深海底に生息する魚です。これまであまり注目されてこなかったものの、2013年にはある理由から大きな注目を集めるようになりました。今回は、このニュウドウカジカについて、どんな魚なのか紹介していきます。また同じウラナイカジカ科の魚についてもいくつかご紹介します。

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(アイキャッチ画像提供:椎名まさと)

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ニュウドウカジカは食べられる?

このように独特の顔が特徴のニュウドウカジカではありますが、食用にもなります。そして意外と美味しい魚でもあります。

深海に潜む変顔のおっさん『ニュウドウカジカ』とは? 「醜い生物保存協会」のマスコットで話題にニュウドウカジカの唐揚げ(撮影:椎名まさと)

筆者はこれまでに2回ほどニュウドウカジカを入手しており、これを揚げ物にして食べたところ、極めて美味でした。胃や肝も茹でて食べたのですが、これも非常に美味しいものでした。

深海に潜む変顔のおっさん『ニュウドウカジカ』とは? 「醜い生物保存協会」のマスコットで話題に胃を茹でてポン酢で食べると美味(撮影:椎名まさと)

しかしながら「北海道の魚類 全種図鑑」などでは、残念なことに「ほとんど利用されていない」などと記述されています。

本種が多く漁獲される底曳網漁業は海底の環境や生物に大きな負荷がかかる漁法であるため、漁期の制限や、網の目の大きさの制限などがありますが、それでも利用されない魚が大量に海に投棄されるのは見るに堪えないところです。そして底曳網で漁獲された魚は、海にもどされても多くが海底に辿りつけても弱って死んでしまうのです。

であれば利用されない魚であっても、死んでしまうのであれば持ち帰って市場で販売するのがベストではないかと思います。

我が家にやってきたニュウドウカジカ

筆者の家には2015年、このニュウドウカジカがやって来たことがあります。北海道の羅臼町に滞在していた私の友人から頂いたものでした。

このときの個体は全重6.1キロ、全長も67センチもあり、分厚い縦扁した体をしているニュウドウカジカは先述のように皮膚も柔軟で抑えることも難しいことから、側面から撮影することが困難で断念しました。

深海に潜む変顔のおっさん『ニュウドウカジカ』とは? 「醜い生物保存協会」のマスコットで話題にニュウドウカジカ撮影のひとコマ(撮影:椎名まさと)

そのため、各部位を観察しながら、背面からの撮影となったのでした。その後は唐揚げや煮物などにして美味しく食したのでした。

このほか、ニュウドウカジカを「抱っこ」した写真も撮影しており、それは、本サイト「サカナト」のプロフィール写真にも使っているほどお気に入りの写真となっています。

参考文献

尼岡邦夫・松浦啓一・稲田伊史・武田正倫・畑中 寛・岡田啓介編.1990.ニュージーランド海域の水族.深海丸により採集された魚類・頭足類・甲殻類.海洋水産資源開発センター,東京.411 pp.

尼岡邦夫・仲谷一宏・矢部 衞.2020. 北海道の魚類 全種図鑑.北海道新聞社,札幌.590pp.

目黒昌利・本村浩之. 2011. 鹿児島県野間池沖から得られたボウズカジカ Ebinania brephocephala (カサゴ目:ウラナイカジカ科)の記録.Nature
of Kagoshima 37: 27~29.
https://journal.kagoshima-nature.org/037-006/

ナショナルジオグラフィック ブロブフィッシュhttps://www.nationalgeographic.com/animals/fish/facts/blobfish

CNN.co.jp 世界で最も醜い動物は?
https://www.cnn.co.jp/fringe/35037240.html

『サカナト』で読む

<サカナトライター:椎名まさと>