身近な自然で自由研究のススメ:近所の川に住む魚の種類を調べてみよう

身近な自然で自由研究のススメ:近所の川に住む魚の種類を調べてみよう

身近な川にどんな生き物がいるか、気にならない少年たちはおそらくいないだろう。その興味をもう少し理科寄りにして、夏休みの自由研究のテーマとしてもいい。あらかじめ注意勧告しておくと、毎年のように水の事故で死者が出ている。必ず保護者の許可と大人の同伴を得て、自由研究に取り組もう。

(アイキャッチ画像提供:TSURINEWSライター・井上海生)

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井上海生

フィールドは大阪近郊。ライトゲームメイン。華奢なアジングロッドで大物を獲ることにロマンを感じます。

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淡水の釣り 小魚釣り

研究テーマ「川の生物の生態系」

ただ「身近な川にどんな生物がいるか?」という単純なテーマで自由研究をしてみてもいい。しかしもうひとつ踏み込むならば、諸君の「身近な川で、<どのような生態系が組まれているか>」まで考えてみよう。テーマの選定理由は「理科で習った『生態系』を、身近な場で実際に見てみたい」とでも記せばいいところか。

必ずしも、すべての魚を見る必要はない。そこまで深追いしようとすると、冒頭に述べたような事故の危険が高くなる。せいぜい、川の沿岸から1.5m以内だ。その先には踏み込まないこと。あとは図鑑を引くかして、推測を絡めながらまとめればいいだろう。

身近な自然で自由研究のススメ:近所の川に住む魚の種類を調べてみよう川のフィールドワークは気を付けて(提供:TSURINEWSライター・井上海生)

研究の目的「食物連鎖を実際に見る」

「生態系」とは、特定の範囲内でどのような食物連鎖があり、それにより生物たちの生死がどのように循環しているか、という図と考えればいい。生態系には外的環境要因が大いに絡むので、夏休みの自由研究のレベルでクローズアップするなら、「どんな魚が何を食べているか」「どんな生き物が弱くて、どんな生き物が強いか」、この部分、「食物連鎖」をキーにして図化するといいだろう。

わかりやすくたとえばいえば、私たち「人間」は、「畜肉」や「野菜」を食べる。それら畜肉すなわち豚や牛は、植物を食べる。その植物は、土中に含まれる微生物などを水を経由して摂取し育つ。植物は光合成によって酸素を発生させ、人間たちの呼吸を助ける。そのような循環図・食物連鎖がある。

――それを、「川」という限られた範囲内において、考えうる限りにおいて図化してみよう。

研究方法「フィールドワーク」

まずは、川にどのような生物が棲むかを調べたい。そのような「フィールドワーク」では、まず、小さな網が必要となる。網を手に入れたら、水辺の茂みを、素早く網ですくってみよう。小エビや小さな魚が網の中に引っかかるはずだ。

身近な自然で自由研究のススメ:近所の川に住む魚の種類を調べてみよう小さな網が必須(もっと網目の詰まったものを)(提供:TSURINEWSライター・井上海生)

もう少し凝った方法としては、「ハヤとり瓶」を用いる方法がある。これは、もう、超面白い。ただ、ハヤとり瓶漁が禁じられている地域も多いので、自治体に確認は必要だ。ハヤとは、「ウグイ」のこと。ウグイは日本古来の川の生態系では、ちょうど真ん中から上くらいに立つ生物だ。捕食者ともなり、被捕食者ともなる。この魚が見られると、すなわちその川は、比較的多くの生命に富む川だと考えられる。

その他、その川で釣りをしている人に、釣れる魚を聞いてみるといいだろう。おおかた、ブラックバスやコイといった魚種を狙っているものと思われる。川の生態系の中では、頂点に立つ魚たちだ。

研究結果を図にまとめよう

近所の川に棲む魚の「生態系」を、食物連鎖を重点において調べる。その結果がある程度まで明らかになったら、図にまとめてみよう。ヒントを与えておくと、図の底部にくるのは微生物や小エビといったもので、頂点に立つのはブラックバスやニゴイである。ブラックバスは、海外からきた「外来種」だ。

身近な自然で自由研究のススメ:近所の川に住む魚の種類を調べてみよう大型魚、コイ(提供:TSURINEWSライター・井上海生)

その他、水質のよい川では、次のような魚がいると考えられる。

・オイカワ
・ウグイ
・アユ
・フナ
・タナゴ
・カジカ

繁殖力の強い外来種として混じるのは、おおむね、次の3種だろうか。

・ブラックバス
・ブルーギル
・ライギョ

外来種外来種と言いながら、これら外来種も、すでに日本の川に居ついて久しい――。ちなみにブラックバスやブルーギルは、当初、食用として日本に輸入されたものだ。そんな歴史も付記できれば、充実した内容の自由研究となるだろう。

<井上海生/TSURINEWSライター>