魅力的なターゲットが目白押しの春だが、今週のつり作戦では記録更新の大物が狙える春の親イカエギングをピックアップした。
解説は、陸っぱりエギングのエキスパート・上杉貴人さん。
この時期のポイント選びから釣り方まで詳しく解説してもらっているので、この春エギングを始めようという方は必読! ぜひ本稿を参考に、キロアオリを攻略しよう!
釣り方とエギの選択
回遊ルートでの狙いは、まずしっかりと潮流の向きを確認し、自らの立ち位置を決めることから始まる。
これは潮に対して上手くアプローチするためのもので、潮が当ててくるような立ち位置を取るとエギが後ろから潮に押されるためにシャクってもエギが上がりにくく、なおかつラインテンションが掛けにくくなるのでフォール時間が短くなり、結果エギを抱かせるタイミングが作りにくくなる。
まずはそこを意識して立ち位置を決めたらエギをキャストしていくのだが、潮流に対して少し上手方向にキャストすること。
流れに対して普通にキャストすると、着底するまでにエギが流されてしまい、潮流に対してアプローチする時間が短くなってしまうことで結果的に釣果が落ちるのだ。
最初は潮にエギを押させてきっちりと底取りし、そこからシャクり上げて、最初のフォールでラインテンションが掛かる位置にキャストすることを心掛けよう。
シャクり方だが、回遊狙いの時は2段シャクリと呼ばれるアクションがメーンとなる。
これは1回目に軽くエギを持ち上げるイメージでシャクり、2回目に強くシャクって大きく跳ね上げ、移動距離を抑えつつもフォール時間を作るというシャクり方。
回遊の個体に対してアピールと抱かせる間を併せ持たせることができる理想的なアクションだ。
これをメーンアクションとし、移動距離は大きくなるが連続してジャークを繰り返すことで遠くにいるアオリイカにエギの存在をアピールすることができるハイピッチショートジャーク、そしてアピール力は少ないが、ピンポイントでアクションをすることでイカがエギを触ったが乗らない時や、エギを抱こうか迷っている個体へのフォローアクションとして使うスラックジャークを時折織りまぜる。
そしてどのアクションでも言えることだが、最後は潮流に乗せてフォールさせてやることを心掛けてやろう。
そうすることによってエギが不自然な動きを見せないので、イカに対して違和感を与えず、なおかつスローフォールさせてやることによってさらに抱かせる間を作ることができる。
回遊狙い時のエギ選択であるが、慣れるまでは操作性と飛距離のバランスが取れた3.5号で固定していいだろう。
ただ、沈下速度だけは状況に合わせたい。
ノーマルタイプをメーンに使い、底取りがイージーにできるのであればシャロータイプを使用しよう。
こうするとさらに抱かせる間を作ることができるのだ。
藻場狙いの場合は派手なジャークよりもスラックジャークなどでスローに、そしてタイトに攻めてやる方がいい結果を得ることが多い。
産卵行動に入るとあまり大きく追いかけることをしないため、速い動きに対して反応しないことが多く、藻場の左右をしっかりと、そしてゆっくりとエギを通して居付き及びその周辺をウロウロしている個体にイージーに捕まえられるエサと認識させてやることが大事だ。
エギはスローに見せることができるシャロータイプをメーンに、水深や潮流を考えてノーマルタイプを織り交ぜて攻略していこう。
春イカのエギングタックル
春の親イカシーズンは比較的スローに誘ってやるのが有効となるので、やや長めのロッドの方がラインスラックを生かしたシャクリをしやすく、移動距離も抑えることができる。
そこを考慮すると8~8ft後半くらいの長さがいいだろう。
潮流の中でエギを流していく場合も、送り幅がある方がテンションコントロールもしやすく、有利となる。
リールは2500~3000番クラスがエギングロッドに合わせてできているリールサイズなので、キャストフィールやバランスはベストマッチだ。
シングルハンドルは手を放すと勝手に回ってしまうことがあるので、エギングのスタンダードとなるダブルハンドルがいい。
ラインに関してはエギを高く跳ね上げるということや引っ張り強度、伸び率や感度を総合的に考えるとPEラインしかないだろう。
号数選択だが、ラインは太くなると潮流や風の抵抗も受けやすくなるので、できるだけ細いラインがよく、最近のライン性能を考えると0.6号、太くても0.8号までにしておきたい。
リーダーは根ズレに強いフロロカーボンで、ラインとのバランスも考えて2.5号から3号を1.5mほど入れてやるといい。
あとは春の大型アオリのランディングを考えると、ギャフは用意しておきたい。
それとデーゲームでは藻場の位置や回遊してくる個体、エギのポジション、それにチェイスしてくるアオリイカもしっかりと確認でき、不意に飛んできたエギから目を守る意味でもキャップやサンバイザー、偏光グラスは用意しておこう。
そして最も大事なのはライフジャケットで、落水した時に命を守ってくれる立派なタックルのひとつでもある。
家に帰るまでが釣り、安全第一でエギングを楽しんでいただきたい。
<週刊つりニュース関西版 上杉貴人/TSURINEWS編>