ライトゲームのゲストとして厄介なのが、フグとベラという、ワームを齧ってしまう小魚である。水質を選ぶ魚でもあるので、潮通しが悪い湾奥などにはまったくいないこともあるが、多い場所は夜釣りでも猛攻が止まらない。これらの魚の習性を知って、少しでも被害を低減しよう。
(アイキャッチ画像提供:TSURINEWSライター井上海生)
憎き歯のある小物ちゃん
フグ、ベラの厄介さは、デイゲームで顕著だ。ワームを投げると、必ずといっていいほど齧りついてくる。貪婪で何でも食うような魚なので、歯も発達しており、ワームを齧ってずたずたにしてしまう。ワームは1本80円ほどするので、こいつらに5本以上齧らせてしまうと、かなりのダメージである。
ジグ単の釣りでは対策がしにくい。マテリアルが固いエラストマーのワームを使う手もあるが、別にこれとてフグもベラも齧ってしまう。塩ビの一般的なワームよりはマシではあるが、根本的な対策にはならない。マイクロメタルジグならば損傷することはないが、デイゲームでメタルに反応する魚がいないときには、無意味な釣りになってしまう。
こうなると、習性を知って、なるべく被害を低減するしかない。
基本的には昼行性
フグ、ベラはともに基本的に昼行性だ。これは助かる。つまりデイゲームをあえてしない限りは、ほとんど被害に遭うことはない。アジやメバルやカサゴほど目が大きくないし、おそらく目が利かないのだろう、夜になるとワームのシルエットを追いにくくなるようだ。
まあそういうところを見ると、完全な昼行性ではなく、夜目が利かないと言った方がいいかもしれない。デイゲームを避けることで、いくらか彼らをかわせる。
ただ、そもそも群れの密度や数が多いエリアでは、夜も昼とそう変わらないほど食ってくることがある。おそらく、フグやベラは、沿岸の魚の王者であるシーバスが食わないからだろう。大型魚のベイトとならないため、そんなにビビって行動を制限することがないのだ。なかなか難しいものである。
光に集まる性質がある
デイゲームを避け、夜のライトゲームであれば、おおむねフグとベラの攻撃をかわせる。しかし、上述の通り夜も普通に齧ってくることがある。特に活性が高いのは、常夜灯など光が当たる範囲だ。少しでも目が見えれば捕食活動を行うので、常夜灯下のビカーッと光が当たっている範囲では、フグとベラを警戒した方がいい。
また、蓄光のワームを食ってくるのが輪をかけて迷惑なところだ。ちょっとでも光るものを見るとアタックしてくる。彼ら歯のある小魚を避けようと思うなら、夜、ほとんど光が当たらない場所でも、グローカラーや点発光カラーやチャートカラーは使わない方がいい。
ワームを「静」の状態にすると、わりと食ってこない。あまり目立たないワームを、なるべく動かさずに、潮に漂わせてふわふわさせていると、アジやメバルが優先的に食うはずだ。
22時頃眠る?
筆者はもっと割り切った考え方をしている。フグやベラの猛攻が止まないときには、「そこにアジもメバルもいない」と決め込んで移動するのだ。実際狙い物がいても、歯のある雑魚に邪魔されてしまってはかなわないし、釣りの効率が悪くなるし、何より気分が悪い。ささっと移動した方が気楽にアジングできる。
ただ、フグ・ベラがまったく食ってこなくなる時間もある。22時くらい。この時刻になると彼らも眠ってしまうのである。フグは海底付近でホバリングするようにして佇み、ベラは一部の群れは砂の中に潜って眠るらしい。ならばそこが本命の釣り時、と思ってしまうのだが、その時間はアジもメバルも大体眠ってしまうのだから、難しいものだ。
あえて狙い物にするのもアリ?
昼行性の習性を利用して、あえてフグ・ベラの雑魚ゲームをするのもアリだ。ジグヘッドにつけるのを、イカゲソにしてやればいい。エサ持ちよく、生エサだけあってよく釣れる。
ちなみにカサゴもメバルも反応するので、「ゲソング」と言って案外これはいい遊びである。
<井上海生/TSURINEWSライター>