暖冬予報の今年の冬、寒がりの釣り人にはありがたいことだが、それでも寒いことに変わりない。冬といえば鍋、鍋に欠かせない食材といえば、やっぱりフグ!そう、今回はてっちり鍋を…ではなくフグのカットウ&食わせ釣りだ。釣り人たるもの、自前で食材を調達したい。寒風吹くこれからの季節、フグを釣って鍋であたたまろう!

釣れるフグの種類

フグといってもさまざまな種類がある。釣りをしない人にもなじみがあるのが、フグの王様トラフグだろう。養殖もされており、関西のてっちり、てっさ、てっぴはあまりにも有名だ。
今回のカットウ&食わせ釣りでも、トラフグが釣れることもあるが、狙って釣るのはまず不可能。
一般的にこの釣りで狙えるのは、ショウサイフグ、コモンフグ、ヒガンフグの3種類だ。
また、秋には無毒のサバフグが釣れることも多いが、生息域が違うため交じることはあまりないようだ。
気になるフグの毒
フグといえば真っ先に連想するのが「毒」だろう。
フグは種類によって毒のある部位が異なる。そのためフグをさばく免許を持つには、さばく技術よりも知識を求められることが多い。
もちろん中部エリアでフグ狙いで出船している船では、船長やおかみさんがフグ調理免許を持っており、釣ったフグは全てさばいて身欠き(みがき)の状態で持ち帰ることができる。
フグ釣りエリア
中部エリアにおける主なフグ釣りのフィールドは、愛知県・知多半島の南知多エリアから出船している伊勢湾、そして三重県・鳥羽沖、国崎沖がメインになる。
伊勢湾は伊良湖周辺がポイントになることが多く、水深が浅く岩礁帯を流すため根掛かりが多いのが特徴。鳥羽周辺は水深40mまでを攻めることが多く、伊勢湾に比べてまだ根掛かりは少ない。
フグ釣りのサオ(ロッド)

ここからタックルの説明に入ろう。
まずサオだが、カットウ釣りに関しては専用のサオが多く発売されている。
このサオに求められるのは、フグがエサをつついたときにそのアタリを感知できる鋭敏な穂先と、フグを掛けるときにカットウバリを貫通させるしっかりしたバットパワーを有することが条件だ。
食わせ釣りに関してはカットウザオの流用も可能だが、カワハギ専用のサオでもOK。カワハギのようなおちょぼ口を持つフグを釣るには、カワハギ釣りに共通するものがある。
フグ釣りのリール
合わせるリールは、カットウ、食わせともに小型の両軸リールが一般的。PE1号を150m巻けるスペックがあれば十分だ。
必須ではないが、できればハイギアタイプを使うと、手返しの面で有利に立てる。
フグは狙う水深が5~30mと、決して深くはない。ラインは100mもあれば十分だが、場合によっては根掛かりとの闘いになり、高切れの恐れもあるので150m以上巻いておくのが無難だ。
ラインはアタリの取りやすいPEライン。太さは1号が標準だ。これに先イトとしてフロロカーボンの3~4号を1~2mほど接続しておく。
カットウ釣りの仕掛け
カットウ釣りの仕掛けは、オモリと一体型になったエサ付け専用のハリの下に、カットウバリと呼ばれる掛けバリを1本ないし2本セットする。

オモリは専用のものが市販されているが、カラーバリエーションが豊富。例えば曇っているときはグロー、晴れているときはアカキンやピンク、ホログラムシールが貼ってあるものが有効だ。
また専用のセット仕掛けが市販されており、これを購入するのが無難だが、自作するなら専用のカットウバリ14~15号に、フロロカーボン12~14号を20cm前後接続する。2本のカットウバリを付けることが多く、その場合は段差を付けるため1本のハリスは15cm前後と短くしておこう。
根掛かりの多い釣りなので、数セットは用意しておきたい。
カットウ釣りのエサ
カットウ釣りで使われるエサは、アオヤギ(バカ貝)のむき身やブラックタイガーなど冷凍エビのむき身が使用される。
アオヤギは冷凍したものを販売している船宿が多いので、それを購入するのが手っ取り早い。
エビのむき身を使うときは、塩を振り掛けて身を締めてから使うとハリ持ちがいい。

カットウ釣りの誘い方

エサのアオヤギを、エサバリにたっぷりと付けよう。この時、外れにくいようにハリに刺すことを心がけたい。外れにくい水管にハリを通し、縫い刺しにする。刺したらハリの軸の上方にこき上げ、2~3個のアオヤギをハリに付ける。これで集魚効果を高め、フグにアピールする。
エサを付けたらそっと仕掛けを投入。底を取ったら根掛かりしないように、すぐに1mほど巻き上げてアタリを待つ。
カットウ釣りのアワセ方
コツッとかコンコンというアタリが穂先にあれば、即アワセを入れる。

カットウ=引っ掛けというイメージを持っている人も多いと思う。
フグを素早く引っ掛けようと、大きくサオをあおる人を見かけるがこれはNG。せっかくエサに寄ったフグを散らしてしまうことになる。ハリスの長さ分だけ、すっとずらすようなイメージで上に持ち上げよう。
フグがハリに掛かればズシッという重量感が手元に伝わる。この瞬間がカットウ釣りの最大の醍醐味といえるだろう。
カットウ釣りの巻き上げ方
素早くリールを巻き、イトのテンションを緩めないように一定のスピードで巻き上げよう。ポンピングはNGだ。カットウバリにはカエシがないので、イトを緩めるとバラシの原因になる。
大型のフグだと青物のように横走りしたり、水面に向かって急上昇してきたりする。走ったときはサオの弾力でため、上に向かってきたときは一気にイトを巻き取ろう。
