日本の自然環境を蝕む「第三の外来種」問題 問われる飼育者のモラル

日本の自然環境を蝕む「第三の外来種」問題 問われる飼育者のモラル

外来種問題が徐々に浸透していっている昨今ですが、現在また「新しい外来種」の悪影響が懸念されるようになっています。

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その他 サカナ研究所

「第三の外来種」問題

これらの改良品種が自然環境下で確認された場合、そのほとんどが人為的な放流によるものと考えられます。

例えば金魚は「金魚すくい」などで安価・安易にとりひきされることもあり、生態系などに対するリテラシーのない人が、罪の意識なく河川などに放流させる例があります。またより悪質なものでは、養殖業者が見た目のすぐれない個体を用水路などに大量廃棄してしまうこともあるようです。

錦鯉は長生きで大きくなることもあり、ペットとして飼育が続けられなくなってしまった結果、自然環境下に放流されてしまうことがあるようです。

日本の自然環境を蝕む「第三の外来種」問題 問われる飼育者のモラル錦鯉を野外で見かける機会も増えた(提供:PhotoAC)

このようなことが起こると、放流された水域の在来種に深刻な影響を及ぼす可能性があります。またそうならなくとも、派手な見た目に改良された魚たちは自然界では目立つため、生き残れる可能性は極めて低く、誰も幸せにならない行為だといえます。

このように、人工改良された観賞魚が環境に悪影響をもたらす例が近年目立っており、国外外来種、国内外来種につぐ「第三の外来種」と呼んで警戒を強めている人たちもいます。

いずれにしても、飼育個体を安易に環境に放してはいけないということは、今後もより強く啓蒙されていくべきだと言えるでしょう。

<脇本 哲朗/サカナ研究所>