専門の学者によって命名され、学術的にも重要な「標準和名」。しかしときに、耳にするとつい脱力してしまうような間の抜けた和名の魚も存在します。
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「モノノケトンガリサカタザメ」が展示
鹿児島県鹿児島市のいおワールドかごしま水族館で、とあるサメの赤ちゃんの展示がいま、関係者の注目を浴びています。
館内の名物「黒潮大水槽」の中を泳ぐのは「モノノケトンガリサカタザメ」というエイの一種の幼魚。すでに展示中だった親から昨年9月に誕生したものです。サメとつくのにエイの仲間というのも面白いですが、それ以上に「物の怪」「とんがり」など一度聞くと忘れられない和名となっています。
この水族館が1997年に開館して以来、この魚は近縁の「トンガリサカタザメ」と間違われたまま、20年以上にわたり気付かれず展示されてきたそうです。しかし、個体の頭の形などがトンガリサカタザメと微妙に異なることがわかり、詳しく調べたところ、実は新種だったと判明したのです。
このエイはトンガリサカタザメと非常に近い仲間でよく似ており、かつ頭の部分を裏側から見るとお化けの頭の三角形の白い布のように見えることから「モノノケトンガリサカタザメ」と命名されたそうです。新種のため、詳しい生態などはまだ明らかになっていません。
ユニークな和名の魚たち
さて、多数の魚が生息する我が国では、このモノノケトンガリサカタザメのように、耳にするとちょっと脱力してしまうような「標準和名」をもつ魚が数多く存在しています。
その中でも比較的知られたものとして、九州でホゴと呼ばれる「ウッカリカサゴ」が挙げられます。また、度々メディアで取り上げられる「オジサン」も知名度があり、耳残りの良い名前です。
全国の浅海に生息するフグの一種「キタマクラ」は単語はおどろおどろしいですが、魚の名前としてはとてもユニークといえます。ほかにも北日本の深海に生息している「アバチャン」、干物で人気のイボダイの仲間「ボウズコンニャク」などもユニークな和名の代表と言えそうです。