今回は東京湾の船釣りの好ターゲットのひとつ、シロギスについて、その生態に釣り方、アタリを解説しましょう。特に「モタレ」に関しては少し深堀りしてみましたので、ステップアップを考えておられる方はぜひ参考にしてください。
(アイキャッチ画像提供:TSURINEWSライター永井英雄)
筆者の落ちギス釣り外伝
筆者自身、40年以上前の学生の頃、数年で通っていた船宿にキス釣りの名人が何人もいて、そのうちお一人と仲良くさせていただきました。どこかの大学教授だったと聞いており、平日でも日を空けず通われていたので印象的でした(筆者はなぜ通っているのを知っているのかといえば、家が近所で船宿に押しかけバイトをしていたため)。
45年前当時、第三海堡周り40mだちで、道具立てはカワハギ竿を代用。名人達は自家製あるいは著名な高級竹竿(クジラ穂が当たり前)。ラインは、まだPEライン製がなかったと思われ、テトロン3号(名人クラスはさらに細い)。ハリスは1号未満で、長短は好み。くだんの大学教授は最長1mの自作仕掛けで、短くても80cmでした。
筆者もそれを真似て、釣り方(誘い)まで似せるものの同じような釣果には至らず。エサは当時ゴカイが主流で、たまに青イソメを使用。ゴカイのときは軟らかいので、多少長めでも吸い込みやすいのか、目立つのかよく釣れていたように思えます。
実践でテクニックを学ぶ
なかなか名人達は最後の決め手までは、すんなり教えてくれず、大学教授からは、あとは勉強、自習するようにと学校さながらの応答でした。40mの深場でも、テトロン3号で十分アタリがわかりました。今ならPEライン0.8号未満かもしれませんが、当時の自身の小遣いからすればテトロンは高級ライン、かつ魔法の糸でした。
風が強く波が高くない日並なら、落ちギスでも小さなものもいますしアタリも小さいと思われるでしょうが、意外にも明確です。プル、プルプル、、、コツ、コツコツと明確に表れます。ブルっ、ブルブルとくるのは、20cm超のときでした。その点、大きさによるアタリのちがいは顕著でした。
前述の通り、カワハギ竿を代用するのは、8:2の先調子、25号~30号負荷表示で、オモリを付けると竿先がおじぎするぐらいの硬さ。こうして、ロッド、リールとライン、仕掛けのバランス、エサ付け、誘いと、一連の事項を学んだ気がします。
ハリスは1号未満にはしませんでした。なぜならこの第三海堡周りは、うれしい外道が豊富で、マコガレイ、アイナメ、ホウボウなど、いずれも30cm超、500g超の小さな大物が掛かり、これがもう一つの楽しみでもあったためです。
今はなき好漁場の思い出
それから、筆者自身の所見を少し付け加えさせていただきますと、こと落ちギスに関しては、現在一つテンヤマダイで水深40mぐらいでも、8号ないし10号、潮が速いときで12号を使う程度の重さ。
マダイより魚体の小さなシロギスを対象として比較した場合、15号から20号、ラインはPEライン0.8号前後にして、第三海堡周り、あるいはそれに近しい場所あたりで落ちギスが狙えるのではないかと考えます。
シロギス釣りでも、よりライトな釣りができないものかと考えます。それは、よりアタリを明確につかむためです。今では、第三海堡も航路安全上から掘削され、あとかたもないですが、あの周辺の好漁場はどうなっているのでしょう。現在、落ちギスをそこで狙っている船宿はないようですが。
<永井英雄/TSURINEWSライター>