東京湾の船キス釣り入門 【生態・釣り方・アタリ(魚信)を解説】

東京湾の船キス釣り入門 【生態・釣り方・アタリ(魚信)を解説】

今回は東京湾の船釣りの好ターゲットのひとつ、シロギスについて、その生態に釣り方、アタリを解説しましょう。特に「モタレ」に関しては少し深堀りしてみましたので、ステップアップを考えておられる方はぜひ参考にしてください。

(アイキャッチ画像提供:TSURINEWSライター永井英雄)

アバター画像
永井英雄

昭和36年生。船釣り歴47年。キス、カレイ、LT五目、一つテンヤマダイなど主に小物釣りを楽しんでいます。東京湾・湘南エリア・内外房エリアを主体に活動。

×閉じる

船釣り エサ釣り

ハイシーズンのアタリ

東京湾では、晩春はやや水深も深い部類に入るものの、夏にかけてはしだいに浅場に移り、そして産卵を終えたシロギスが再び浅場からしだいに深場へ落ちていきますので、同じ対象魚でも季節感があります。

釣り場は、海堡周りの20m以上の深場から中の瀬の20m前後へ、そして木更津や富津沖の15m前後、そして木更津、富津沖の10m未満の浅場に加え盤洲の浅場に釣り場が変わっていきます。

浅場でのアタリ

浅場のアタリはシロギスならではのブルブル、クンクンと明確、10m未満の水深なら更に軽いオモリ、ロッドも軽量かつ細身の竿先ですから、20cm超のシロギスでは驚くほど明確なアタリ=クン、キューン、、、とひったくるようなアタリに出会えます。

やや深場でのアタリ

20m以上の深さでもアタリはブルブル、クンクンなど良型や、食いが活発なときにはいいアタリに出会えます。慣れてきますと、例の「ノリ」や「モタレ」を感じ取る場面も多いと思われます。

オフシーズンのアタリ

ハマるといえば、オフシーズンの落ちギスです。アタリの出方も多様で、サカナの食いが活発なときとそうでないときの強弱→ブルブルブルと強いアタリ、コツっと単発か、プルプルと静かなアタリなどが混在します。

水深が深い分、潮の流れの強弱にも影響され、大潮回りなど速い潮のときは、ラインもフケ気味でアタリも弱く感じられるものです。その中でも、前述の「やや深場のアタリ」で触れました「ノリ」や「モタレ」を感じ取るには、竿先が細く軟らかい感度良好なものが必要となり、またアタッてからサカナに違和感なく吸い込ませる(シロギスの就餌の特徴)ので、向こうアワセで竿先からやや胴近くの部分にサカナの引きを乗せられるような竿が理想されます。

この「モタレ」を取れるようになって、相応の数が釣れるようになると、シロギス釣りでも相当な腕の釣り師とみられ、きっと能書きも多く、少なくとも一言居士的なモノ言う釣り師になっていることでしょう。(笑)

「モタレ」を深堀り

東京湾の船キス釣り入門 【生態・釣り方・アタリ(魚信)を解説】アタリを待つ竿の位置(提供:TSURINEWSライター永井英雄)

参考まで、「モタレ」の場面を端的に紹介しますと、竿先にわずかに表れるわずかなサカナの重量感(エサをくわえたところか)のモタレで竿先を徐々に上げていきます。

東京湾の船キス釣り入門 【生態・釣り方・アタリ(魚信)を解説】聞きアワセはじめ竿の位置(提供:TSURINEWSライター永井英雄)

竿先が上方60~70度ぐらいでアタリが明確になりながら、あとは穂先の軟らかさでクンクンクンと連続する「引き」に変わってくるところが、ベテラン達がいう妙味ではないでしょうか。

東京湾の船キス釣り入門 【生態・釣り方・アタリ(魚信)を解説】穂先をゆっくり上げていく(提供:TSURINEWSライター永井英雄)

『釣り人各々の「アタリ」の想像』から、ラインの先にあるエサ、エサがどのような状態になっているか、そのエサをサカナがどのようなアプローチしようとしているか、想像をたくましくしてみましょう。

シロギス船釣行の留意点

趣深いシロギス釣りですが、船での釣行の際は注意点もあります。

冬期は厳しい戦いも覚悟しよう

前述の「オフシーズンのアタリ」でも触れました通り、深場での落ちギス釣りでは、浅場の活発なアタリを当初から期待せず、むしろシブいアタリ、不鮮明なアタリを前提に挑んでちょうどよいのかもしれません。その上で、良型のシロギスに出会えたときは、きっと意外なほど元気で鮮明、明確なアタリに出会えることになるでしょう。

東京湾の船キス釣り入門 【生態・釣り方・アタリ(魚信)を解説】こんな良型に出会えるかも(提供:TSURINEWS編集部)

深場での釣りでは、アタリの不鮮明さは船釣り全般にわたる物理的な共通項であり、深場に及ぶ釣り物には、いかに抵抗となるものを少なくし軽減できるかがキモです。そのため、感度良い竿先と細いラインと仕掛けが求められます。

浅場でのシロギス釣りとは、やや異なる道具立てを準備したり、仕掛けの長短、ハリスの細さ、ハリの大きさなどの選定から、あれこれと考えさせられます。ここでは、仕掛けの仕様を詳細に述べるつもりはありませんので他の記事に譲ることとして、冬期での準備は、落ちギス用の道具立てと、仕掛けの選定ともいえるでしょう。

ライフジャケット着用

最近の船釣りでは、どの船宿もライフジャケットの着用は徹底されつつあるようです。厳冬期に事故に遭遇すれば、分単位、秒単位で生命の危険が生じます。

平成30年(2018年)2月からすべての小型船舶の乗船者にライフジャケットの着用を義務化され、国土交通省の安全基準の適合したものでなければ船宿の船長が違反となります。着用していなかったことで助かる命も助からなくなったり、いつ、とんでもない不幸な海難事故に遭遇するかはわからないのです。

近年でも数例の釣り船の事故は発生しています。定められたルールを互いに順守し、悲しみにならない楽しいひと時を常に持てるよう心掛け、無事に釣果を持って笑顔で帰宅できることが、釣り以前の心がけ、そしてマナーとすべきことです。

次のページで筆者の落ちギス外伝!