意外と知らない「海水」の話 海が青い理由は水が青以外を吸収するから?

意外と知らない「海水」の話 海が青い理由は水が青以外を吸収するから?

大学時代に海洋学と海洋生物学を専攻した筆者が、意外と知らない海水のコトを紹介。海や生き物への興味関心のきっかけになれば幸いである。

(アイキャッチ画像提供:TSURINEWSライター永井航)

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はじめまして。釣りの守備範囲は金魚から大型青物まで!大学では海洋生物を専攻していたので多角的な分析もしたいと思います。

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海水の温度

釣りにおいても重要な要素の1つとなる水温。水温は釣りだけでなく海洋学や海洋生物学の観点からも重要なデータの1つである。そんな水温も世界の海では様々な数値を記録する。

まず日本近海でも北と南では大きく違う。例えばおおよそ1年前の2020年12月では北海道の北側ではおおよそ3℃、一方沖縄では24℃である。ちなみに日本沿岸の海面水温は気象庁のページから閲覧できる。過去のデータは2021年現在、1982年から見られる。

海面水温で高温になるのは赤道周辺でおおよそ30℃前後と言われる。この高水温域は台風の卵を作る場所だ。釣り人からすれば実に気になる海域である。では水温が低いのはどこだろうか。無論、極地だ。南極では通年おおよそ-2℃。北極は夏と冬で水温が異なるが冬はこちらもおおよそ-2℃。

ちなみに0℃では海は凍らない。ざっくりと理由を言えば凍結しようとする水(分子)を塩が邪魔しているからだ。(もちろん塩分濃度によって凝固点は異なる)この性質を利用してクーラーボックスに海水を入れて冷やす方もいるが、冷やすという観点においてこれは理に適っている。

意外と知らない「海水」の話 海が青い理由は水が青以外を吸収するから?海水の温度は?(提供:pixabay)

海底から熱水?

このように簡単に探せる水温のデータはほとんどが海面水温の結果だ。しかし海は広く深い。例えば海底の熱水噴出孔ではどうだろうか。まず熱水噴出孔とはわかりやすく言えば温泉だ。噴き出す水は観測されているもので400℃を超すものもあるそうだ。もちろんこれはいわゆる海水ではないが、周辺の海水が暖められて高温になるのは想像に難くない。

ちなみに海底の熱水噴出孔は生命の誕生の場所という仮説がいくつかあり、42?3億年前のものではないかという生命の痕跡が発見されている。地球を飛び出して、木星の衛星エウロパに生命が存在するのではないか?という憶測もエウロパの海に熱水噴出孔の存在が推定されていることが理由の1つだ。初の地球外生命体の発見の鍵は海にあるのかもしれない。

海水の塩分濃度は様々

海水の塩分濃度は約3.4%。塩分濃度は雨、水の蒸発量などが関係してくるため、どこでも同じではない。例えば河口では薄いのはわかりやすいはずだ。また赤道付近では降る雨に対して蒸発量が上回るため濃くなると言われる。

また極地では冬に凍り、夏に溶ける。水温のところでは触れなかったが北極熊が歩いている氷は真水だ。というのも海水は凍る時に余計な塩分を押し出して凍る。つまり氷の下の水は塩分濃度が高くなっている。周辺の気候の影響で降雨が少なく蒸発量が大きい。

意外と知らない「海水」の話 海が青い理由は水が青以外を吸収するから?塩分濃度(提供:pixabay)

紅海の塩分濃度

さらに有力河川がないという高い塩分濃度の典型例を持つのが紅海だ。紅海は塩分濃度が3.8%程度と高い。ちなみに海水の循環もインド洋とわずかにある程度。そのおかげで水温も34℃に迫るという。紅海周辺がどんな気候かというのは地図を見れば砂漠を連想させる国が紅海を取り囲んでいるので想像しやすいだろう。

ちなみに紅海というが赤くはない。私が聞いたことがあるのは昔、方角を色で示していたといい、その名残が紅海であるという物だ。あくまで個人的な感想だが、北(玄武)にある黒海と南(朱雀)にある紅海は偶然なのだろうか。

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