山陰沖のハタハタが記録的不漁 昨年度の秋田に続く状況に危機感も

山陰沖のハタハタが記録的不漁 昨年度の秋田に続く状況に危機感も

日本海側の食卓に欠かせない食材であるハタハタ。かつての大不漁の危機を脱したというイメージのある魚ですが、最近また危機的状況に陥りつつある可能性があります。

(アイキャッチ画像提供:PhotoAC)

TSURINEWS編集部

その他 サカナ研究所

山陰沖でハタハタ不漁

兵庫県沖を始めとした日本海山陰沖の海域で、今年も例年通り9月に沖合底引き網漁が解禁されました。しかし、本来であればこの時期主要な漁獲物になるはずの「ハタハタ」が、今季は大変な不漁に見舞われています。

山陰沖のハタハタが記録的不漁 昨年度の秋田に続く状況に危機感もハタハタ(提供:PhotoAC)

兵庫県の但馬水産事務所によると、9月の漁獲量は過去3年の平均値に比べ9割減となる約26tにとどまっています。これに関し、漁業関係者は「あり得ない数字」と驚いているといいます。

要因として、主要な漁場へのハタハタ回遊が極度に少なく、水揚げがなかったことから、漁師たちも早々と他の魚種へ狙いを変えたことなどが考えられています。当地では秋の風物詩でもあるハタハタですが、店頭に並んだ期間もごくわずかで、地元の消費者らは「寂しい」と残念がっているそうです。(『ハタハタ記録的な不漁で「まだ一度も食べてない…」 全国有数の漁場、兵庫・但馬沖で水揚げ9割減』神戸新聞NEXT 2021.11.9)

秋田でも厳しい見通し

実は山陰沖だけでなく、我が国における最も有名なハタハタの産地・秋田でも、昨シーズンは記録的不漁となっています。

秋田では毎年11月から翌1月にかけ、産卵のため沿岸に近づく魚を狙う「季節ハタハタ漁」が行われます。これについて、昨年の漁獲量は沖合、沿岸漁合わせて計409t。これは資源管理のために設けた漁獲枠(650t)の6割強にとどまる数値で、長期間に渡る禁漁が明けた1995年以降では過去3番目に少ないものです。

山陰沖のハタハタが記録的不漁 昨年度の秋田に続く状況に危機感もハタハタが押し寄せる秋田の海岸(提供:PhotoAC)

秋田県の担当者は、ハタハタが通常生息している水深20m前後での海水温が高く、産卵期に入るのが遅れたために接岸も遅れ、結果として漁の回数が減ったと指摘。卵の絶対数自体も少なく、資源の減少が懸念されると説明しています。加えて成長段階にある若い魚の漁獲も少なく、来期についても厳しい見通しとなっているそうです。

ハタハタ不漁の原因

ハタハタは日本海を広く回遊する魚で、秋田沖と朝鮮半島東岸沖をそれぞれ産卵場とする個体群がいることがわかっています。そして山陰沖はそれぞれの個体群の若魚が集まり、餌を食べて成長する海域となっています。

但馬水産事務所は、2歳魚や3歳魚などの若魚も、例年より早く産卵場に移動した可能性があると推測し、「適切なタイミングで網を入れられなかったこと」が漁獲量の減少につながった原因だとしています。

山陰沖のハタハタが記録的不漁 昨年度の秋田に続く状況に危機感も伝統食「はたはたのいずし」(提供:PhotoAC)

しかしそもそも、ハタハタ資源が豊富な時代は、秋田県でも1万tを超える水揚げが安定してありました。それと比べれば現状の資源水準が低いことは論を俟たず、禁漁も視野に入れて根本的な対策を取るべきという声はあります。

かつて「秋田のハタハタは資源が枯渇した」と言われたこともあり、長期間の禁漁を経てようやく漁を再開した経緯があります。今回の状況に関しても、冷静に現状を判断しないと、また枯渇の危機にさらされてしまうかもしれません。

<脇本 哲朗/サカナ研究所> 

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