希少な「天然ギンザケ」が謎の大量漁獲 養殖種としては超メジャー魚

希少な「天然ギンザケ」が謎の大量漁獲 養殖種としては超メジャー魚

スーパーで見かけない日はない「銀鮭」。実は本来日本ではほぼ獲れないはずの魚なのですが、なぜこれほどに食材として定着しているのでしょうか。

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TSURINEWS編集部

その他 サカナ研究所

天然ギンザケが北海道で大漁

本来日本の近海ではめったに獲れないはずの天然ギンザケが、いま北海道の定置網で大量水揚げされており、話題となっています。首都圏の魚市場にコンスタントに出荷されているほどで、珍しさから都内の鮮魚専門店などでも人気を集めているといいます。

希少な「天然ギンザケ」が謎の大量漁獲 養殖種としては超メジャー魚ギンザケの切り身(提供:PhotoAC)

ギンザケはもともと北米やロシアの河川にしか遡上しない魚で、北海道では回遊中にたまたま迷い込んだものや、養殖施設から逃げ出したものがごく少量漁獲される程度だといいます。しかし今年は8月中旬ごろに知床半島周辺の定置網に入り始め、9月上旬ごろには北海道東部の定置網にまとまって入るようになったそうです。

サケの定置網漁が盛んな根室市の歯舞漁港では、1網で100匹以上のギンザケが穫れることもあるといいます。しかしその理由ははっきりとはわかっていないそうです。(『希少な天然ギンザケ、北海道で大漁 首都圏の店頭にもお目見え』JIJI.com 2021.10.9)

ギンザケとはどんな魚か

ギンザケは名前の通りサケの一種ですが、いわゆる秋鮭と呼ばれるシロザケとは別種です。低水温を好み、西部太平洋地域の分布域は千島列島以北となっており、北海道を含め日本の河川には基本的に遡上しない魚です。

希少な「天然ギンザケ」が謎の大量漁獲 養殖種としては超メジャー魚丸のまま流通することはまずない(提供:PhotoAC)

大きさはシロザケよりやや小さく、60cm前後で成熟し、河川の上流域で産卵します。サケ科に共通する特徴ですが、ギンザケも孵化したあとしばらくは川底にとどまりながら腹部の卵嚢の栄養で成長し、3~5cmに成長してから浮上します。しかしシロザケが浮上後比較的すぐに降海を開始するのに対し、ギンザケの稚魚は河川で1~2年ほど過ごしてから降海します。降海後1~2年で母川に回帰し、産卵を行います。

食卓ではメジャー魚

ギンザケは他のサケ類と比べて生息域が小さく、資源量も少ないとされています。我が国では、かつてはオホーツク海やベーリング海で行われる北洋漁業で漁獲されていましたが、資源保護の為の漁獲量制限により、現在ではほとんど行われていません。

しかしその一方、養殖種としては非常に重要な種です。チリ産の養殖ギンザケをスーパーで見かけない日はなく、また国内でも東京湾を始め、各地で養殖が行われています。

希少な「天然ギンザケ」が謎の大量漁獲 養殖種としては超メジャー魚どんな料理でも美味しい(提供:PhotoAC)

養殖種として珍重されている理由は、その成長の速さ。ギンザケはシロザケと比べて成長が早く、海水に移してから半年かからずに出荷サイズに成長するため、養殖が容易なのです。

低水温を好む魚のため、水温が21℃を超えると死滅してしまうのですが、その成長の速さ故に東京湾のような低緯度地域でも、冬の低水温期だけで出荷サイズまで育てることができるそうです。

気になるのはその味の差ですが、技術の進歩により天然物と養殖物の味の差は小さくなっていると言われています。ただ今は折角天然ギンザケが手に入りやすくなっていますので、養殖物と味を比べてみるのも面白いのではないかと思っています。

<脇本 哲朗/サカナ研究所> 

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