地中海を砂漠化するラビットフィッシュ 正体は日本でお馴染みの厄介者?

地中海を砂漠化するラビットフィッシュ 正体は日本でお馴染みの厄介者?

いま、地中海の環境をどんどん破壊している魚がいます。ラビットフィッシュという可愛い名前で呼ばれるその魚は、実は日本にもたくさんいる魚です。

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「ラビットフィッシュ」

ヨーロッパとアフリカという2つの大陸に挟まれた、世界最大の内海・地中海。豊かな生態系が存在し、様々な動物を育むこの海が、いま危機を迎えています。

地中海を砂漠化するラビットフィッシュ 正体は日本でお馴染みの厄介者?美しい地中海(提供:PhotoAC)

その原因は「ラビットフィッシュ」と呼ばれる魚。可愛い名前ですが、この魚がいま急速にその分布域を広げており、その結果「地中海の砂漠化」が起こっているというのです。

いったい、このラビットフィッシュとはどんな魚なのでしょうか。

ラビットフィッシュはアイゴ

ラビットフィッシュの和名はアイゴ。釣りをする人にはよく知られており、日本にもたくさん生息している魚です。英名はウサギと似た顔をしていることから名付けられたといいますが、たしかによく見るとつぶらな瞳やちょっと遠慮がちな口元など、コケティッシュな顔立ちをしているかもしれません。

地中海を砂漠化するラビットフィッシュ 正体は日本でお馴染みの厄介者?アイゴの顔(提供:PhotoAC)

アイゴは温暖な海域を好む魚で、本来地中海には生息していませんでした。しかし、スエズ運河の掘削によってアイゴの生息していた紅海と地中海がつながり、地中海にも分布域を広げました。

アイゴは植物食性の強い魚で、海藻を飽食します。彼らは様々な種類の海藻を食べることができる上、体重に対して摂食する海藻の量もとても多いと言われます。そのため彼らは、世界中の温暖な海で「砂漠化」をすすめる一員となっているのです。

「食べて駆除」はできないの?

アイゴは海藻食であることも影響し、非常に磯臭さが強い魚です。その臭さはときに「アンモニア臭」にも例えられることがあるほどで、魚が好きな人でもこれだけは食べられない、という人は少なくありません。

しかし一方で、古くから食べる文化のある西南日本の沿岸部では、水揚げ後すぐに内蔵を出したり、調理時に調味料をうまく使うなどして、その臭いを消して食べています。よく締まった筋肉質の身は歯ごたえがよく、旬の冬になれば脂も乗り、とても美味な魚となります。

地中海を砂漠化するラビットフィッシュ 正体は日本でお馴染みの厄介者?アイゴの寿司(提供:PhotoAC)

我が国においても、アイゴは近年温暖化により分布域を広げている魚の一つです。関東地方の海では非常に増えており、東京湾奥で見かけることもありますが、食材としてはまだまだ認知されていないように感じます。アイゴが増えている地域では、同時にそれを美味しく食べる方法もまた広がっていくと良いなと感じています。

<脇本 哲朗/サカナ研究所>