いよいよカカリ釣りも絶好期に突入する。そこで今回は、三重県の鳥羽・生浦湾と英虞湾・御座を例に、カカリ釣りでのチヌ攻略法を解説したい。
(アイキャッチ画像提供:週刊つりニュース中部版 山本太郎)
鳥羽・生浦湾
毎年のように秋の好機になると、3ケタ釣果が連発する浦村、生浦湾の釣り場。水深は最深部でも11~12mと比較的浅い湾だが、潮通しはすこぶる良好だ。決して速過ぎる訳ではないが、秋の数狙いでは軽めの仕掛けで潮流に乗せて流しながら広域を探るのが適しているだろう。
同釣り場では大型イカダ(トイレ設置)の他、カキ養殖棚に掛けてあるカセも広範囲にある。イカダはいずれも大型で安定度も高く、ファミリーやグループでも安心。数狙いならイカダ、型を狙いたいのならカセをチョイスすると無難といえるだろう。
潮通しがいいので、障害物などの少ないイカダでは、細ライン1.2~1.5号。ジンタンからガン玉の各サイズを多数そろえておき、潮流の速さや流したい距離、さしエサの種類によって小まめに交換してやる。
エサ
数狙いならエサは生きエビに勝るエサはないが、生きエビ一本で通すと20~30cmの小型が目立ち、どうしても型に不満が残る。生きエビを軸にしつつも、少しでも良型を獲りたいのなら、サナギとコーンは必須だ。
生きエビはさしエサとしてだけではなく、まきエサとしてもある程度の量は用意しておきたい。通常は5~6杯、最低でも3~4杯はほしいところ。その他、加工オキアミやサナギコーン(激荒)は欠かせない。もし数を狙いつつも、やや良型をということであれば、生きエビを若干減らし、その分激荒を多く増やすといい。
おそらくエサ取りの活性はまだまだ高いことが予想されるので、もし生きエビでインターバルが保てない場合は、激荒のサナギの片欠やコーンが大いに役立つ。
生きエビのまき方は、まず仕掛けセット前に水分が多い柔らかいダンゴを少量作り、ソフトボール大にして、その中へエビを押し込むように20~30匹入れてそっと海面へ滑らせてやる。それをゆっくりの間隔で5~6個、沈めておいてからタックルをセットする。
ダンゴには必ずさしエサと数匹のエビ+激荒を一緒に握り込み、やがて効いてくるであろう寄せと持続性をイメージしながら、自分のリズムを保ち打ち返していく。
どちらかといえば、生きエビではダンゴが抜けて早い段階、サナギやコーンでは抜けてからしばらく間合いがあってからアタリが出ることが多い。したがって、サナギやコーンの場合はアタリが出なければ潮流に乗せてある程度流した方がいい。
30匹の豊漁も狙える
仕掛けを流す動作は、ダンゴ抜けの後、ラインの角度を見ながら潮下へサオ先を腕いっぱいまで追いかける。そしていっぱいまでいけば即座にチョイ出しクラッチ(スプールフリー)を切り、サオを潮上に倒しながらラインをサーッと出していく。そしてスプールをロックしてサオ先を潮下へと追いかけての繰り返しだ。
流す距離については、その時の潮流速度、潮位などに大きく関わっていて一概には言えないが、私の経験では5~15回ぐらいの繰り返しでヒットしたのはザラにある。状況を加味しながら、そこは臨機応変に攻めてみよう。うまくいけば1日で20匹、30匹といった豊漁は全く珍しくない。
しかしながら相手も生き物。必ずといっても過言ではない「食い渋り」にぶち当たる。これはクロダイの警戒によるものからで、何も手を加えなければ数を伸ばすことは到底無理だ。
1匹釣ったら足止めダンゴを打つ
1匹のクロダイを仕留められたら、スカリのセットといったクロダイを処理する前に、エビや激荒をたっぷりと握り込んだ「足止めダンゴ」をすぐに入れる。釣ったクロダイの処理はそれからで十分だ。
クロダイが3匹、5匹と伸びてきたところでアタリの出方が変わってきたり、あるいはダンゴ抜けからなかなかアタってこなくなってきた……。これは完全に警戒による食い渋りで、こんなときはさしエサを違うものに変えてみる。
それでもダメならさしエサをほんの少し底から切ってみたり、あるいはその真逆で底に大きくずらせてみたりと、考えられるあらゆる策を講じてみる。次の手、次の手と講じていけば、必ず答えは見いだせるはずだ。
同地では大潮よりも、大潮後の中潮2~3日目が潮流が速くなりやすいのでご注意を!