釣り好き気象予報士に聞く「天気との付き合い方」:風と体感温度の関係

釣り好き気象予報士に聞く「天気との付き合い方」:風と体感温度の関係

釣り好きの気象予報士である筆者が、釣り初心者に知ってもらいたい天気のことをお伝えします。今回は「風と体感温度」について解説します。

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(アイキャッチ画像提供:TSURINEWSライター多胡安那)

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多胡安那

多胡安那(気象予報士)。 テレビなどで気象解説をしながら、各種コラムの執筆も行なう。 気象予報士の目線で釣りの楽しみ方を伝えたい。

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釣りの楽しみ方をお伝え

今夜のごはんをゲットしたい!自然の中で楽しむ趣味が欲しい!ただただ暇で、何か始めたい!

これらはすべて釣りを始める理由になります。「釣りは定年を迎えたおじいちゃんがやる趣味」と思う人もいるかもしれませんが、上にあげた理由はなにも歳を重ねた男性に限ったことではありません。

若くたって女の子だって、こんな感情は普通に持ち合わせています。そんな一見とっつきにくいけれど、やってみたい!という釣り願望を持っている皆さんに、釣り初心者の私が気象予報士の視点も織り交ぜつつ、釣りの楽しみ方をお伝えします。

釣りの待ち時間は楽しい

魚釣りというのは、どうしても「待つ」時間が発生する趣味です。釣り糸を垂らした途端、次から次へと釣れるなら苦労しませんが、そんな甘いものではありません。それはベテランでもビギナーでも同じこと。みんな待つ時間を経て、じっくりと魚と勝負しているわけです。

釣り好き気象予報士に聞く「天気との付き合い方」:風と体感温度の関係待ち時間も楽しい(提供:TSURINEWSライター多胡安那)

待ち時間が数十分の時もあれば、平気で何時間も待ちぼうけをくらうことも。そんなたっぷりある暇タイムに釣り人の先輩たちは声をかけてくれたり、優しく教えてくれるわけです。釣り方のコツから潮の状況、魚の心理までそれはそれはありがたい情報です。

釣りと天気

ただ、気をつけなければならないのは、自然を相手にする趣味だということです。いくら先輩が手取り足取り教えてくれても、自然の力には勝てません。魚がいる海や川もそうですが、私たちが長い時間待つのも屋外なので、自然や天気にかなり左右されます。

雨もそうですが、特に釣りへの影響が大きいのが風。風向きや風の強さで釣果は途端に変わりますし、なにより、釣りをしている私たちの体感を大きく左右します。そして、意外と盲点なのが冬の最低気温。これに何度だまされたことか。そのあたりも含め、釣りと天気は切っても切れない関係なのです。以下、詳しく解説します。

風と体感温度

これは熱が「熱いも」のから「冷たいもの」に移動するためで、我々釣り人(熱いもの)からすれば、風(冷たいもの)に熱を奪われる形になり、寒いと感じるわけです。また、太陽光を暖かく感じたり、梅雨時にエアコンの除湿をかけるだけでひんやり感じるように、日照量や湿度も体感温度にかかわっています。

目安としては、風速1m/sで体感温度が1℃下がると言われています。気温が15℃の時に風速が5m/sだと、体感は10℃という計算になります。

とはいえ、風を遮る装備があればかなり状況はかわってきます。釣りにはウインドブレーカーやカッパなど、風を通さない素材の羽織を一枚用意しておきたいですね。

冬場の最低気温

そして冬場の最低気温。

話が少しずれてしまいますが、テレビの天気予報で何気なく使われている「気象を説明する際に使われている表現」には明確な決まり事があるのをご存じですか?

例えば「激しい雨」は「1時間に30mm以上50mm未満の雨」、「非常に激しい雨」は「1時間に50mm以上80mm未満の雨」を意味しています。「超大型で猛烈な台風」は「風速15m/s以上の半径が800km以上で最大風速が54m/s(105kt)以上の台風」という感じです。

で、問題になるのが、最低気温。注意深く聞いていると、「明日朝の最低気温」、「日中の最高気温」という表現をしていることに気が付くと思います。そう、「明日朝の最低気温」は「明日0時から9時までの最低気温」、「日中の最高気温」は「9時から18時までの最高気温」を意味しているのです。

ここで落とし穴になるのが、冬場は往々にして朝の最低気温より、日中の最高気温の方が低くなるということです。朝の最低気温が10度を超えていても、寒気の入り具合で日中の最高気温が氷点下なんてことが起こり得るということです。

最低、最高の言葉に惑わされず、しっかり数字で気温を確認しましょう。ちなみに、グラフで表されている予報ならこういった落とし穴は回避できますよ。

<多胡安那/TSURINEWSライター>