難しくて面白い「東北アカムツジギング」入門:青物狙いとはどう違う?

難しくて面白い「東北アカムツジギング」入門:青物狙いとはどう違う?

高級魚代表のアカムツはジギングで狙うことができ、釣り物としても人気があります。ただ、これが一筋縄ではいかない釣り物なのです。東北エリアの赤ムツジギングを紹介しましょう。

(アイキャッチ画像提供:TSURINEWSライター堀籠賢志)

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堀籠賢志

フライフィッシング、バス、シーバス、鮎釣りなど様々な釣りを経験。現在はジギングとイカ釣りを広く楽しんでいます。東北地方の面白い釣りを紹介する事で震災復興に繋げたいという熱い気持ちで活動中。

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アカムツジギング

私がアカムツジギングを体験したときの感想は、「なんともつかみどころのない釣りだなぁ」というものでした。特に青物など一般的なジギングをある程度経験したことのあるアングラーには方向性が180度かわる、真逆の釣りのような印象を受けるかもしれない釣りが、アカムツジギングだと思います。

水深50mでごく軽いジグを使ってアカムツを釣ることができるなら、なんの違和感もなく釣りに集中できると思いますが、それを許さない水深の壁とアカムツの生態。今回はアカムツジギングのちょっと違和感を覚えるところを考察してみたいと思います。

難しくて面白い「東北アカムツジギング」入門:青物狙いとはどう違う?つかみどころがないアカムツ(提供:TSURINEWSライター堀籠賢志)

アカムツの生態

ジギングをやっていると、魚を掛けることでなんとなく、その魚の癖がわかるように感じます。または動画などで、魚の捕食シーンなどをご覧いただければ、よりその魚のことを理解できるはずです。

アカムツについてのネット記事などを検索しても、なかなか水中での自然なアカムツの生態観察に繋がる記事は見当たりません。実際にアカムツの生態については、まだまだ解明されていない部分も多く、重要な水産資源としての活用を目指すために研究が重ねられていますが、まだ充分ではありません。

私がこれまで釣り上げたアカムツから得られた感覚は、

・海底の地質は岩、岩盤などにはアカムツは少ない
・底質は泥砂などの軟らかい地質を好む
・小魚、イカ、エビ、カニなどの甲殻類、虫系のベイトを捕食している
・ボトム付近に生息していることが多い
・釣りのレンジとしてみた場合、ボトムから3m程度まででのヒットが多い
・少数での群れで生息

新潟の水族館、マリンピア日本海が撮影した画像からは海底に身体を埋めているアカムツの姿が映し出されています。

こういった画像、実際のバイトした際の掛かり方から推察すると、アカムツは青物などと比較してベイトを追い回して捕食するといった派手な捕食行動をするよりも、どちらかといえばベイトを待ち伏せして捕食することが多いのではないか?といった印象を受けます。

もちろん、状況次第では積極的にベイトを追い回して捕食することもあるでしょうが、中深海という生息環境では、ベイトが豊富に存在して簡単に捕食できること自体、とても少ないことだと考えられますので、釣りをしていてそんな状況に巡り合うことは少ないでしょう。

青物ジギングとの相違点

一般的なジギングの代表、青物のジギングとの比較からアカムツジギングの特性を見てみたいと思います。

ブリなどの青物は積極的に自らが動いてベイトフィッシュを追い回して捕食します。活性が悪い場面でも、ハリ掛りは悪くなりますが、じっとして獲物を待ち構えて捕食することはほとんどないです。動体視力がよくてジグの素早い動きにも付いてきて捕食しようとします。

一方、アカムツはどうでしょう?アカムツがハリに掛かる瞬間のアタリはジグを食べにきていてハリに掛かるというよりは、ジグを見に来てハリに不意に掛かってしまったというような掛かり方をします。

ロッドに伝わるバイトの瞬間の振動は、トモ釣りのアタり方とよく似ています。低水温で追いの悪いアユが掛かった時のアタリと酷似しています。

実際の捕食行動を観察できればいいのですが、水深が水深だけに無理なのが残念です。しかし、これまでアカムツのアタリで青物のようにジグを引ったくるようなアタリは皆無ですので、アカムツは待ち伏せ型の捕食行動が大半を占めるのだと考えています。

中深海という厳しい生息環境の中で生き延びるためには、エサを選り好みしている余裕はないでしょう。そのため、ジグの大きさなどで選択的に食う食わないはほとんどないように思います。

難しくて面白い「東北アカムツジギング」入門:青物狙いとはどう違う?アカムツは待ち伏せタイプ?(提供:TSURINEWSライター堀籠賢志)

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