春が旬の『バカガイ』は美味な二枚貝 「馬鹿」の所以はだらしなさ?

春が旬の『バカガイ』は美味な二枚貝 「馬鹿」の所以はだらしなさ?

東京湾に多産し、江戸前寿司のネタとしても欠かせないバカガイ(アオヤギ)。味の良さは歴史的にも知られるところですが、なぜこんな可愛そうな名前がつけられてしまっているのでしょうか。

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TSURINEWS編集部

その他 サカナ研究所

春は二枚貝が美味しい

最高気温が20℃を上回り、春の陽気を感じるようになると、潮干狩りシーズンが本格的にスタートします。一年で最も潮が大きく引く春先は潮干狩りに最適で、内湾に面した干潟には潮干狩り場が次々とオープンし、家族連れで賑わいます。

店頭においても、アサリやハマグリなどといった二枚貝が店頭に並び、レストランでも貝を使った季節メニューが目立つようになります。漁も盛んに行われるようになるため、安価に購入することができます。

じつはアサリやシジミなど、多くの食用二枚貝の産卵期は夏。そのため、それに向けて栄養を蓄える今の時期は味の上でも旬なのです。

関東のエース二枚貝「バカガイ」

アサリやハマグリのような全国的にメジャーなものもありながら、その一方で局地的に愛されるものも多い食用二枚貝。サラガイやイシガキガイのように、知名度こそ低いものの、産地では長く愛されているものはたくさんあります。

春が旬の『バカガイ』は美味な二枚貝 「馬鹿」の所以はだらしなさ?バカガイ(提供:PhotoAC)

関東における「バカガイ(アオヤギ)」もそのひとつ。殻幅10cm程度になる大きめの貝で、見た目はハマグリにも似ていますが殻が薄く、あまり持ち重りしません。

アサリやハマグリなどと違い、生かしていても泥を吐きにくく、殻ごと調理すると料理が砂だらけになってしまいます。そのため潮干狩りでは人気がなく捨てられてしまいますが、味が大変良いために関東ではむき身にして流通しています。

春が旬の『バカガイ』は美味な二枚貝 「馬鹿」の所以はだらしなさ?基本的にはむき身・加工品で流通する(提供:PhotoAC)

貝柱は小柱、足は青柳とよばれ、江戸前寿司ネタには欠かせない存在です。また千葉県内房では、串刺しにしたむき身を干し上げた「姫貝の干物」が人気のお土産となっています。

なぜ「バカガイ」?

食用として愛されるにも関わらず、可愛そうな名前をつけられているバカガイ。その由来は色々あるとされ、「移動能力が高いことから『場変え貝』と呼ばれた」など「馬鹿」が由来ではないという説もあります。

一方で、潮干狩りで採れた個体を見ているとなんだか「この名前もやむを得ないかな……」と思ってしまうことも多いです。

春が旬の『バカガイ』は美味な二枚貝 「馬鹿」の所以はだらしなさ?味はとても良いが・・(提供:PhotoAC)

一般的に二枚貝は捕獲されるとすぐに殻を閉じるのですが、バカガイは殻を閉じる速度が遅く、まるで捕まってしまったことに気づいていないかのように足をだらんと投げ出しています。殻をつついたりして刺激を与えると、慌てて殻を閉じるのですが、その際に自らの足を挟んでしまったり、勢い余って殻で切ってしまったりすることもあるのです。

「小柱」「青柳」など、食材としての雅名があるバカガイ。ちょっと可愛そうではありますが和名はやっぱり「馬鹿貝」で良いような気もしますが、いかがでしょうか。

<脇本 哲朗/サカナ研究所>

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