「前編の【概要&料理編】に引き続き、中深海のマダラジギングを解説。後編では【釣り方】編をお届けします。
タラジギングの釣り方
【大事なポイント】
深場の釣りで大事なのは、まずラインをしっかり張ること。
海底付近がヒットゾーンになるこの釣りでは、ラインがたるんでいては何をしているのか全く分からず、根掛かりばかり多発してしまう。
メタルジグ投入直後は大なり小なりイトふけが必ず出るので、すぐにスロー系メソッドに入らず、最初の着底後はまず速巻きでラインを10m以上巻き取ってラインをピンと張ってやる。
そこから再度着底させてからがスタート。
これにより繊細な誘いをかけたり、海底の情報や小さなアタリを感じたりすることが可能になる。
基本の誘いは、狙いのタナが狭いので、リールの巻きは細かく刻んでサオの高弾性をいかすこと。
そして、メタルジグを横に向けて水平姿勢を保ったままひらひらとフォールさせる。
具体的なシャクリ方としては、スローピッチジャークとロングフォールジャークがある。
【スローピッチジャーク】
リールを1/4~1/2回転巻きながらシャクって、ロッドティップがまっすぐに戻ったところでゆっくりサオを下げながら、同じく1/4~1/2回転巻いてイトふけを取り、テンションがかからないギリギリでフォールさせる。この繰り返しだ。
シャクるコツとしては、ロッドエンドをヒジに当ててロッドを立てるようにシャクると、ロッドの復元力がうまくメタルジグを動かしてくれるので、ロッドが復元してくるリズムに乗ってふわふわとシャクってやればいい。
これらを基本にアタリが出ないときはもっとシャクリ幅を小さくしたり、逆に大きくシャクって長くフォールを入れたり、リールをもっと小刻みに巻いたり、ステイ(止め)を入れたりと、パターンを少しずつかえてみるといいだろう。
その日のパターンを探っていくのもこの釣りの楽しさのひとつだ。
【ロングフォールジャーク】
続いてロングフォールジャークだが、これはリールを1/4~1回転巻きながら足元から頭上まで大きくシャクって、ロッドティップがまっすぐに戻ったところから、リールは巻かずにゆっくりサオを下げながらフリーフォールさせる(軽くテンションをかけつつスライドフォールさせるパターンが有効な場合もある)この繰り返し。
そして秘密にしたいところだが(笑)、私の経験ではマダラはロングフォールに好反応な時が多く感じる。
ロングフォールを意識するときは上げの時のみリールを巻いて大きくシャクり、フォールの時はリールは巻かないようにしてフォール幅をかせぐ。
ぜひ試してみてほしい。
タナとアタリ
【タナ】
タナは、基本は海底から3~5mまでだが、潮の流れが緩い時など5~10m上、海底より少し浮いたところに群れている場合もある。
そんな時は海底から5m上まではただ巻きや速めのワンピッチで上げてから、刻んで誘っていくようにしよう。
【アタリ】
アタリはジャーク後のフォール中に出やすいので、イトふけの出しすぎには注意。
また誘い上げて着底させ直す時などは、完全フリーフォールではなくラインとサオの角度を直角に保ちながら軽くサミングしてほんの少しのテンションをかけながら落とすことで、落下中にまとわりつく魚の気配を感じ取ることができる。
アタリがあれば、イトふけを取りながらシュッとサオを立て、巻きアワセを入れよう。
そして、巻き上げ距離が長いので、テンションを一定にしてバラさないよう気を付けたい。
注意点
【サオの強度と取り込み】
スロージギング用のサオはジグの操作に特化しており、あまり曲げてファイトすると破損する物もある。
大物が掛かった場合は、サオはプレッシャーを与えられる程度の曲げにとどめ、リールのドラグを駆使してファイトしよう。
同じ理由で、魚を無理して抜き上げるとサオの破損の原因になるので、ある程度のサイズ以上はリーダーをつかんで抜き上げたり、タモですくい上げるよう心がけたい。
釣り上げたマダラはよりおいしくいただきたいもの。
身が軟らかく傷みやすい魚なので、あまりベタベタ触らずにエラを切って海水で血抜きしたら、速やかに潮氷(クラッシュ氷に海水を張ったもの)に入れて冷やし、持ち帰ろう。
タラジギングまとめ
なんとなくマダラ狙いのスロージギングのイメージが湧いただろうか?
基本的にはゆっくりした誘いが中心で、巻き上げ距離が長い以外は非常に体にやさしい釣りである。
ただ、非常に手返しの悪い釣りなので、掛かった1匹を確実に取り込めるように、事前のセッティングを大事にしよう。
最近では巻き上げや回収時のみ電動リールを利用したスタイルも増えてきており、女性や体力のない方でも入門しやすくなってきている。
<奥村眞佐夫/TSURINEWS編>
この記事は『週刊つりニュース関西版』2018年6月1日号に掲載された記事を再編集したものになります。