「マンボウ」が北海道で増加中 関連が疑われる「海洋熱波」とは?

「マンボウ」が北海道で増加中 関連が疑われる「海洋熱波」とは?

南の海に棲息する「マンボウ」が最近、北海道で獲れているとのこと。そこには「地球規模の危険現象」が関与していました。

(アイキャッチ画像提供:PhotoAC)

TSURINEWS編集部

その他 サカナ研究所

北海道でマンボウの水揚増

皆さんはマンボウという魚に対し、どのような印象をお持ちでしょうか。きっと多くの方が「南の海にのんびりプカプカ浮かんでいる」というイメージを想像される方が多いのではないかと思います。

実際に彼らは暖海を好み、日本沿岸では主に黒潮の影響のある海域で見られる魚です。しかし、そんなマンボウがここ数年、北海道の秋鮭漁の定置網にかかっているといいます。

「マンボウ」が北海道で増加中 関連が疑われる「海洋熱波」とは?漁獲されるマンボウ(提供:PhotoAC)

しかもそれは稀にある現象といったものではなく、日によっては一度に数匹かかるのも当たり前とのこと。南日本では食用にされることも多いマンボウですが、北海道では食材としての需要がなく、漁獲されても廃棄するしかないそうです。

マンボウが網にかかっていた一方で、主力のサケの水揚げは危機的状況となっており、ピーク時の1割ほどにまで減少しました。その他、主要な漁獲対象魚であるサンマやイカなども記録的な不漁が続いています。(『北海道にマンボウ!?「海洋熱波」が変える漁業』NHKニュース 2020.11.27)

猛威振るう「海洋熱波」

マンボウが盛んに漁獲されていた時期、釧路沖では20日連続で異常に水温が高い状態が継続していた事がわかっています。このように、特定の地域の海水温が平年と比べて極端に高い状態が5日以上続くという現象を「海洋熱波」と呼びます。

この海洋熱波は現在世界中の海で発生しており、専門家の間でも近年、注目度が高まっています。北海道から東北にかけてはここ数年サケやサンマの不漁が続いていますが、これは海洋熱波の頻発により、サケやサンマが寄りつきにくくなっているためではないかと考えられています。

「マンボウ」が北海道で増加中 関連が疑われる「海洋熱波」とは?サンマは不漁が続く(提供:PhotoAC)

その一方で、本来温暖な海に棲むマンボウやブリが回遊しやすい状況になっているのです。海洋熱波が発生している海域では、水温が3~4℃も上昇することがありますが、これは大気にすれば15~20℃くらいの変化に相当するといいます。

世界的問題の海洋熱波

現在世界的には、海洋熱波は発生頻度が高まるとともに長期化していると考えられています。2011年にオーストラリア西部付近で海洋熱波が10週間続いた例がありますが、このときは生態系全体が壊滅的な状態に陥ったといいます。(『海洋熱波で世界中の生態系に被害、漁獲高減少と温暖化も進行 論文』AFPBBニュース 2019.3.5)

商業漁業の対象種となる魚が低水温域に移動し、そのまま戻って来なくなったために、これまでの漁業が成立しなくなってしまった地域もあるそうです。また環境の変化に比較的弱いサンゴ類においては、今後の海洋熱波の発生やそれに伴う水温の上昇で、最大90%が死滅する可能性もあるのだといいます。

「マンボウ」が北海道で増加中 関連が疑われる「海洋熱波」とは?サンゴが死滅した海では生態系が荒廃する(提供:PhotoAC)

更に悪いことに、海洋熱波の進展は地球温暖化そのものを促進させる可能性もあります。現在、大気中に放出された余剰な熱のおよそ90%は海洋に吸収されているのですが、海洋熱波が発生することでその能力が弱まる可能性があるからです。

「北海道でマンボウが獲れる」というニュースは決して突発的な珍事ではなく、地球からのSOSのひとつなのかもしれません。

<脇本 哲朗/サカナ研究所>

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