4月後半から6月にかけ、三重県の熊野灘沿岸に大型アオリイカの群れが接岸し、いわゆる春イカシーズンを迎える。2kg、3kgといったモンスター級が上がるのも、決まってこの時期だ。そこで4月25日、デカイカをイカダから狙おうと、戸田英明さんと南伊勢町迫間浦の日乃出屋を訪れた。
開始早々アオリイカ登場!
日乃出屋の出船場所に到着したのは、午前5時半ごろ。
ところが道中から降り続く雨がさらに勢いを増し、強風も手伝ってさながら台風直撃のような光景だ。
予報では朝方にやむため、大下船長と相談の結果、出船を1時間ほど遅らせることにした。
そして7時、雨が上がると同時に出船。
10分ほどで桟橋タイプのイカダに渡してもらい、2人で準備にかかる。
当日の狙いは、アオリイカはもちろん、ソフトルアーやジグ、エサまで持ち込み、渋い時間帯は五目釣りで遊ぼうというプランだ。
魚種豊富な五ケ所湾はチヌカカリ釣りのメッカだが、根魚やカワハギ、アジ、サバなど魚種は豊富。
今回はとにかく釣れるものは何でも釣ろうという無節操な釣行でもあるのだ。
そんな無節操な釣りが大好きな戸田さんだが、朝まずめはやっぱりアオリでしょ……、と『EZ-Q®CAST/DUEL』の3.5号を岸沿いのブレークにキャストし、速すぎないアクションでじっくり探っていく。
そして、すぐに「乗りました~」。
まだカメラの準備すらしていないうちから、エギングロッドが大きく絞り込まれた。
ようやくスタンバイできたころには、500g級のアオリイカを手にする戸田さんの姿が。
いきなりの春イカ登場に、2人とも異様なテンションで、「今日はどんだけ釣れるんや」と笑い合う。
だが、その後はお決まりの後が続かず……、というのはご想像の通り。
イカダエギングの最大のメリットは360度全方位がポイントだということで、あちこちにエギをキャストして丹念に探っていく戸田さんだが、反応はなく1時間ほどでいったんエギングは中断し、他魚を狙うことにした。
タックルはそのままで、エギのかわりに付けたのはジグサビキ。
短めのサビキの下に堤防ジグをセットし、サビキのハリには『パワーイソメ/マルキユー』を刺す。
軽くキャストし、ボトムからのリフト&フォールで早速ヒットしたのは、パンパンに膨れたフグ。
その次もフグ、さらにフグとフグ地獄だ。
ようやくフグとは違う引きでイシダイ(サンバソウ)をゲット。
小型だがマハタまでキャッチし、スカリの中が彩り豊かになってきた。
エサ釣りでカワハギも!
ここでエサ釣りにチェンジ。
カワハギ仕掛けに交換して、オキアミとアカイソメを刺し、底を探っていく。
すると、すぐにド派手なアタリと強烈な引きで、20cmオーバーのキュウセンが上がってきた。
さらに強烈な横走りを見せたのは、まずまずサイズのカワハギ。
アタリもないのにエサを取られることが何度もあり、専用のタックルとアサリのエサで狙えば、これも面白そうだ。
昼前、予想はしていたものの、雨上がり後の強風が吹きつけてきて何とも釣りにくい状況に。
イカダに立っていると、海に突き落とされそうなほどの強さだ。
デカイカ求めて移動
ここで見回りに来た大下船長から、「一発デカイカ狙ってみるか」と、移動の提案。
聞けば春には決まってエギングで大型のアオリイカが上がるポイントがあるそうだ。
そそくさと荷物をまとめ、磯周りに設置してあるイカダに渡してもらった。
すぐにエギに付け直して、うっすら見えている沈み磯周りにキャスト。
ラインが風で流されてアタリが取りにくいが、丁寧なラインメンディングでじっくり攻めていく戸田さん。
1時間ほどしてフォール中のラインが引き込まれ、待ちに待ったヒットだ。
大きくロッドが絞り込まれ、ドラグがチリチリと音を立てる。
途中藻に突っ込まれたが、強引に引きずり出し、無事取り込んだのは1kgにやや届かないぐらいのナイスなアオリイカ。
後の計量では800gほどだった。
ようやく春らしいサイズに戸田さんから笑みがこぼれたが、まだ時間はある。
さらなる大型を狙ってキャストを繰り返していったが、その後は反応なく午後5時半に終了となった。
迫間浦はイカダや釣り堀のメッカとして知られているが、実は知る人ぞ知るデカイカ天国。
日乃出屋では過去に3kgクラスの実績もある。
またこれからさらに水温が上がれば、チヌだけでなく五目釣りもオススメ。
足場がいいので、子供連れでも安心だ。
お父さんはエギングでアオリ、奥さんと子供たちはカワハギやベラと遊ぶ……なんてこともできるのがうれしい。
<週刊つりニュース中部版 長谷川与之部/TSURINEWS編>
日乃出屋