駿河湾の『サクラエビ』漁獲自主規制続く 資源量回復せず見通し立たず

駿河湾の『サクラエビ』漁獲自主規制続く 資源量回復せず見通し立たず

サクラエビの深刻な不漁が続いている駿河湾。今季の秋漁を前に、資源量の確認を実施したところ、未だ資源量が回復には至っていないことが判明しました。

(アイキャッチ画像提供:PhotoAC)

TSURINEWS編集部

その他 サカナ研究所

禁漁続く「サクラエビ」

「海のルビー」とも呼ばれるサクラエビ。美しい体色と、小型ながらも風味の強い味で人気の高いエビです。深海生物のひとつで、日本ではほぼ駿河湾のみの漁獲物となっています。

駿河湾の『サクラエビ』漁獲自主規制続く 資源量回復せず見通し立たず生のサクラエビ(提供:PhotoAC)

駿河湾でのサクラエビ漁は毎年春と秋に実施され、秋漁は例年11月1日に解禁されます。例年であれば解禁を直近に控え忙しくなる時期なのですが、実は駿河湾のサクラエビ漁は2018年の春から著しい不漁となっており、漁獲の自主規制は休漁が続いている状態です。

そのため本年度の秋漁が実施できるかどうか、漁の解禁日を前に静岡県の水産・海洋技術研究所が事前調査を行いました。結果は残念ながら資源量の回復は見られず、漁業者が継続している漁獲自主規制の成果は見られませんでした。

調査でわかった現状

今回の調査は、サクラエビの産卵状況を調べるもの(6~10月)と、親エビなど成体を対象にしたもの(9~10月)の2種類が実施されました。その結果判明したのは、産卵時期が遅れ、富士川沖など湾奥に卵が少ないこと、漁場にも生まれたての赤ちゃんみたいなエビしかおらず、漁ができる群れはいなかったという厳しい現実でした。

富士川沖は主産卵場と考えられており、18年秋漁から事実上の「禁漁区」とされていたのですが、それでもその周辺海域の資源量回復は特に遅れていたといいます。

静岡県の桜えび漁業組合はこの結果を受け、今年も漁獲自主規制を継続する方針を発表しました。しかし先の見えない規制に漁業者たちは「もう、目いっぱい。本当に我慢してきている。」と苦しい心境を吐露しています。(『サクラエビ資源量、依然回復せず 秋漁前に分析結果発表』静岡新聞 2020.10.20)

不漁原因は不明

サクラエビの主産卵場とされる駿河湾の奥部では依然として資源量が少なく、現状では回復の見通しは立っていません。これらの原因は現時点では不明となっており、関係者による懸命の究明作業が続けられています。

「サクラエビ再生のための専門家による研究会」によると、現時点で原因として有力なものは「黒潮大蛇行、漁師らの取り過ぎ、水温躍層の発達、富士川水系の濁り」の4つだといいます。

研究会はこれらの仮説実証のための海洋調査研究への協力を漁協に呼び掛け、定置網への水温や塩分、流速、濁度を測れる器材の設置、エサのプランクトンや海の濁度の定期的な測定等の協力を行うことで合意したそうです。

駿河湾の『サクラエビ』漁獲自主規制続く 資源量回復せず見通し立たず干場の光景も幻に?(提供:PhotoAC)

これらの仮説のうち、特に「濁り」については漁業者側も原因のひとつではないかとみられています。かつては降雨後も数日でとれた海の濁りが、今はなかなか取れない、川にはアユもいない、といった環境の変化が指摘されており「幼生が濁りと一緒にプランクトンを取り込み、十分成長できないのでは」との意見も出ているそうです。(『サクラエビ不漁原因の仮説、由比港漁協 海洋調査協力を決定』静岡新聞 2020.9.4)

関係者の尽力により早期に原因が見つかり、有効性のある対策が打たれることを、いち消費者として願ってやみません。

<脇本 哲朗/サカナ研究所>

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