プロが教える「旬魚」の見分け方:ハマチ 切り身は「色」に注目

プロが教える「旬魚」の見分け方:ハマチ 切り身は「色」に注目

秋口に釣りやすくなり、市場への入荷も増えるハマチ(ブリの若魚)。おいしいハマチの見分け方を、奈良県中央卸売市場の丸中水産株式会社勤務の著者が紹介。

(アイキャッチ画像撮影:TSURINEWS関西編集部)

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有吉紀朗

1967年兵庫県明石市生まれ。奈良県在住。水産系の学校出身で仕事も水産系。小型船舶免許も高校生で取得。釣り歴40年以上だけど下手の横好きで自分が釣れれば誰でも釣れる。

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大きさで名前が変わる『出世魚』

「こっちのハマチはみんな養殖だよ。」と関東の知人が言っていた。同じような魚で「イナダ」というのが売っていると言うのである。でも実際はハマチもイナダも同じ魚で、標準和名はブリ。大きさで名前がかわる出世魚だ。

関西ではツバス→ハマチ→メジロ→ブリと出世
関東ではワカシ→イナダ→ワラサ→ブリと出世

九州ではワカナゴやヤズが入る。どの大きさでどの呼び名というのは本サイトでも明確な基準がないようでややこしい。もちろんスーパーでも明確な基準はない。見るからにハマチクラスをツバスとして売ったり、養殖のハマチクラスの大きさでも養殖ブリで売られたりしている。

関西のスーパーでも全国展開するお店は値札シールが共通なので、同じ魚でも色々な名前がある。出生魚には他にボラやスズキがあるが、このブリほど地方名は多くない。それほど各地で慕われ人気があるということだ。

プロが教える「旬魚」の見分け方:ハマチ 切り身は「色」に注目場所・大きさで呼び名いろいろ(提供:WEBライター・有吉紀朗)

大きさで味わいが変化

また、大きさによってここまで味わいがかわる魚も少ない。寒の時期に獲れた天然ブリは、幼魚のツバス(ワカシ)から想像できないほどの脂が乗っており、やはりおいしい。が、ツバスは小型魚ならではのメリットもある。価格が安いので1匹買いができ、刺し身から焼き物、煮つけと工夫しながら料理できるのだ。これがハマチ(イナダ)クラスとなるとまた味わいも香りも違ってくる。

「ブリの旬は寒の時期、ハマチの旬は晩夏から秋」と言うと、「間違いだよ。ハマチは養殖だから年中、味はかわらないとあるサイトに書いてあった」と指摘されたことがある。おそらくこれは関東の方が書かれたものだと思う。元々、ハマチ養殖の発祥は四国香川県、その後も西日本がハマチ養殖の出荷が多かったので、関東ではいつのまにか「ハマチ=養殖」と誤解している人が多いようだ。

私は若いころ養殖ハマチの脂がおいしいと思っていたが、年齢が進むにつれやはり天然のあっさりした歯応えのある若い魚を好むようになってきた。最近は養殖業者も飼料メーカーと共同であっさりした脂のハマチを出荷してきている。

プロが教える「旬魚」の見分け方:ハマチ 切り身は「色」に注目サイズで味わいが変化(提供:WEBライター・有吉紀朗)

「ヒラマサ」との見分け方

ハマチ(ブリ)によく似た魚でヒラマサがいる。数年前にテレビドラマで話題になった独身のプロの名前がヒラマサだったので、釣りを知らない人でも名前を聞いたことがある人も多いはず。

ヒラマサは夏が旬の魚でブリより値段が高い。上顎の骨の後端の角を見て角ばっていればブリ(ハマチ)、丸ければヒラマサ。較べればすぐに分かるが、魚を持つとヒラマサのほうが平べったいし胸鰭の長さも違う。短いほうがヒラマサ。

プロが教える「旬魚」の見分け方:ハマチ 切り身は「色」に注目ハマチ(上)とヒラマサ(下)(提供:WEBライター・有吉紀朗)

カンパチも似ているが、色も頭の八の字も違う。同じ大きさの魚を釣るとハマチのほうがスピードがあるがスタミナがない。根にはあまり突っ込まない。反対にカンパチのほうは体高があるのでパワーと重さを感じるし、根に走ろうとする。

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