覚えておきたい釣りエサの『刺し方』3選 種類は変われどキホンは同じ

覚えておきたい釣りエサの『刺し方』3選 種類は変われどキホンは同じ

釣り針への『さしエサ』の刺し方は、エサの種類や狙う魚によって異なるが、実は共通する点も。今回はエサ付けが重要な理由と、具体的な刺し方を3つ紹介。

(アイキャッチ画像提供:TSURINEWS関西編集部・松村計吾)

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目次

『エサの刺し方』は重要

よく釣りエサをハリに刺す場合、適当にハリにつければ良いと思っている人を見かけるが、釣果を考えた時、それは大きな間違いである。ハリとエサは釣り具を通して、人と魚の唯一の接点であり、その接点をおろそかにすれば、魚との縁が切れると言っても過言ではない。

まさに釣りエサは『一刺し入魂』なのである。

エサの刺し方が重要な理由

釣りのターゲットとなる魚は数多くいる。そして、それぞれの魚種によってエサの食べ方も違う。同じ人間であっても、大口を開けてバクバク食べる人も居れば、おちょぼ口でちょこちょこと少量ずつ食べる人も居る。

食性・捕食方法の違い

魚は小魚を食べる肉食性のフィッシュイーターを始め、雑食性も居れば、草食性の魚も居る。さらには水中でも中層でエサを食べる魚や、砂の中に潜む小生物を拾うように食ったり、貝などをバリバリと割って食う魚もいる。

「食べ方」で「刺し方」を変える

食い方で見ると一気に吸い込んだり、突くように食う魚、吸い込んだり吐いたりを繰り返す内に徐々にバラバラにしてから食べる魚もいる。食べ方に合わせたエサの刺し方を考えてやることが釣り上達の道である。

基本的なエサの刺し方3選

実はエサの刺し方のバリエーションは、虫エサを例に挙げると分かりやすい。

虫エサの場合、頭付近にハリをチョンと刺すだけの「ちょん掛け」、頭のすぐ下からハリを入れて虫エサの身体にハリを通す「通し刺し」、一度入れたハリを虫エサの体外に抜いてはまた刺し、布を糸で縫うように刺す「縫い刺し」が基本的な刺し方となる。

エサはかわっても、この3つの刺し方及び、房掛けが基本となるのである。では、どんな魚に3つの刺し方が有効なのかを紹介していこう。

1. ちょん掛け

「ちょん掛け」のやり方は、虫エサの頭のすぐ下辺りにハリを横から刺すだけ。これが切り身になると切り身の端にハリを入れる。シラサエビなどでは尾羽の付け根の関節に横からハリを入れる。生きた小魚でノマセ釣りをする時に用いる、鼻掛けや背掛けなども、ちょん掛けの一種と言える。

覚えておきたい釣りエサの『刺し方』3選 種類は変われどキホンは同じアオイソメのちょん掛け(撮影:TSURINEWS関西編集部・松村)

ちょん掛けのメリット

ちょん掛けのメリットは、エサを自然に動かすことである。虫エサなどではこの刺し方により、身体は自由に動くのでクネクネと勝手にアピールしてくれる。切り身の場合は自らが動くことはないが、ハリで固定する部分がほんの一角のため、海中でフワリフワリと自然に漂うように誘ってくれる。この自然さを演出するのが大きな目的である。

覚えておきたい釣りエサの『刺し方』3選 種類は変われどキホンは同じ深海釣りでの身エサのちょん掛け(撮影:TSURINEWS関西編集部・松村)

ちょん掛けが有効な魚

ちょん掛けが有効な魚としては、まず、大口でエサを丸呑みしてくれる魚である。自然な動きを演出したり、エサそのものを動きを邪魔しないことで、魚に対するアピール力を高める。そして、エサを見つけて食べる時は大口でエサを丸呑みしてくれる…そんな魚に向いている。いわば、食べさせる難しさよりも、エサで食いを誘発する方に力を入れる魚である。

覚えておきたい釣りエサの『刺し方』3選 種類は変われどキホンは同じイワシの鼻掛け(撮影:TSURINEWS関西編集部・松村)

深海釣りでのアコウダイやキンメダイ、胴突き仕掛けでのメバルやアジ釣りなどに多用される。

シラサエビは「ホホ掛け」「鼻掛けも」

ちなみに生きたシラサエビをエサにする場合は、ホホ掛けや鼻掛けと言った、さらに動きを邪魔しない独特な刺し方も多用される。シラサエビの場合は、スズキやチヌ(クロダイ)などがターゲットである。

覚えておきたい釣りエサの『刺し方』3選 種類は変われどキホンは同じシラサエビのホホ掛けもちょん掛けの一つ(撮影:TSURINEWS関西編集部・松村)

2. 通し刺し

虫エサではカレイ釣りなど、動きよりはエサのニオイなどで「見せて食わせる」釣りによく使われるのが「通し刺し」である。一つテンヤでエビの尻尾からハリを入れて腹側に抜くのもそうだし、グレやチヌ釣りでオキアミを刺す場合にもこの通し刺しが一般的だ。

覚えておきたい釣りエサの『刺し方』3選 種類は変われどキホンは同じオキアミを丸く通し刺しに(撮影:TSURINEWS関西編集部・松村)

通し刺しのメリット

通し刺しの特徴は何と言っても「エサのホールド性の高さ」である。ちょん掛けに比べると、エサの中に入っているハリの部分が長いため、生きているエサなどでは動き自体は抑えられるが、遠くへ投げる時などに重宝する。虫エサで言うと、投げ釣りでカレイやアブラメを狙う時などは定番の刺し方である。

覚えておきたい釣りエサの『刺し方』3選 種類は変われどキホンは同じ遠投が効く虫エサの通し刺し(撮影:TSURINEWS関西編集部・松村)

3. 縫い刺し

「縫い刺し」を多用する魚は前述の2つの刺し方に比べると少ない。と言うのも、縫い刺しの場合、通し刺しよりもエサの動きを抑えてしまうことや、ハリに対してエサの形状がジグザグになってしまうので、どちらかと言えば魚が吸い込みにくくなるからだ。では、なぜ、縫い刺しを使用するのだろうか。

縫い刺しのメリット

縫い刺しはエサに対してハリを何度も刺して、出して、縫っていく。つまり、エサのどの部分を突かれても、ハリの軸があるため引っ張り取られにくいのである。さらに多少、歯が強い魚がエサの一部分をかじり取ったとしても、縫ってある分、ハリにエサが残る可能性が高い。本命の魚が残ったエサに食いつくことも考えられる。また、縫い刺した場合に、ハリに付けるエサの形状として長いエサを丸くダンゴ状に見せることもできる。

縫い刺しの例

たとえば船のカワハギ釣りに使用するアサリなどでは、水管などの硬い部分を通して、舌(斧足と呼ばれる)に通し、最後に内臓にハリ先を持っていく刺し方をする。これもよく見ると縫い刺しになっている。

覚えておきたい釣りエサの『刺し方』3選 種類は変われどキホンは同じ丸く付けた貝の身(撮影:TSURINEWS関西編集部・松村)

この場合、水管と舌に刺すのはホールド性を高めるためである。カワハギはアサリの内臓が好物なので、まずは内臓をめがけて突きにくるが、実はそれだけでは口が小さくエサ取り名人のカワハギはハリに掛かりにくい。そのため、縫い刺しにして、アサリを全体に丸く小さくコンパクトにすることでカワハギにアサリを吸わせるとハリ掛かりさせやすくなる。

次のページで番外編の『房掛け』を紹介!