アユ鈎の選び方をメーカー担当者が解説 シワリとストレートの特徴とは?

アユ鈎の選び方をメーカー担当者が解説 シワリとストレートの特徴とは?

種類が多く、号数もいろいろあるアユ鈎(バリ)。鈎メーカー「オーナーばり」スタッフの筆者が、状況に応じた「鈎選び」について解説しましょう。

(アイキャッチ画像提供:オーナーばり・垣本将輝)

アバター画像 TSURINEWS編集部

淡水の釣り アユ釣り

アユ鈎先の種類

アユ釣りのハリの鈎先の形状は、「シワリ」タイプ(鈎先が緩やかにカーブしているタイプ)と「ストレート」タイプの2種に大きく分けられます。「シワリ」タイプは泳がせ釣りに、「ストレート」タイプは引き釣りにという使い分けが一般的に知られています。

シワリタイプ

なぜ「シワリ」は泳がせ釣りに向くのでしょうか?鈎先が内側を向き、鈎先の傷みが少ないというのが特長です。

アユ鈎の選び方をメーカー担当者が解説 シワリとストレートの特徴とは?鈎先が内向きにカーブしている(提供:オーナーばり・垣本将輝)

泳がせ釣りは、イトにオバセを入れ、斜め後ろ上の後方からテンションをオトリアユにかけることで、より底へ、そして前方に泳がせる釣法です。そのためオトリは底付近を泳ぐため、鈎先と底の接触は多くなり、鈎先の消耗は早い傾向にあります。そこで、鈎先が内向きにカーブした「シワリ」タイプがいいとされてきました。

「ストレート」タイプでも泳がせ釣りができないわけではないですが、鈎先がストレートであるがゆえに、シワリより鈎先の消耗が激しく、根掛かりが起きやすくなります。

ストレートタイプ

一方で、ストレートタイプが「引き釣り」に向くとされているのはなぜでしょうか。オトリは斜め上の前方からイトで引かれるテンションで泳ぎます。そのため、相対的に泳がせ釣りよりも上の層を泳ぐことが多くなります。

イカリ鈎は泳がせ釣りよりも上にあり、底に接触しにくい状況になります。そのため、鈎先が外向きのストレートでも根掛かりしにくく、鈎先の消耗は少ない状況になります。

特徴として、掛かり(鈎先の立ち)が速いというのがあります。つねにイトにテンションが掛かっている引き釣りでは、その抵抗で鈎先の立ちを本当の意味での掛かる状況、すなわち貫通させる状態に持っていきやすいのです。より掛かりの速い「ストレート」の攻撃力を生かせやすいのが引き釣りになるのです。

アユ鈎の選び方をメーカー担当者が解説 シワリとストレートの特徴とは?早掛けタイプの鈎(提供:オーナーばり・垣本将輝)

引き釣りでシワリの利用も

では、引き釣りでは「シワリ」の鈎は使えないのかというと、そうではありません。このタイプはある状況になると鈎先が立ち、自動的に貫通させやすいという特徴があります。というのも、鈎先の向きがちょうど力のかかる方向に向いており、テンションが掛かると自然と貫通しやすい鈎先になっているからです。

オバセにより、直接的なテンションが掛かりにくい泳がせ釣りでも、また引き釣りでも、しっかりとオートマチックに掛かりやすいのが「シワリ」の特徴です。

特徴を理解し使い分けを

ただ、現在のアユ釣りでは引き釣り泳がせや、オバセをほぼゼロにしたゼロテンションの引き釣りなどさまざまな釣法がでてきており、一概に泳がせ釣りと引き釣りに分けることができない状況にあります。

しかし、シワリとストレートの特徴を理解して使えば、自分の釣法やタックル、仕掛けに合うのがどちらであるかは見えてくると思います。

掛かりの速さとバレにくさの関係

「掛かりが速くてバレない鈎」をみなさんは理想とするかもしれませんし、我々もその理想を追い求めて、数多くの種類の鈎を製造しています。しかしながら、この二つの性質は鈎形状においては対極のものであることを理解してください。

一般的に「掛かりの速い鈎」というのは、短軸で、鈎先が外向きで短く、腰(軸からフトコロに曲がる部分のこと)の曲がりが急でフトコロが狭い、といった特徴になります。一方で、「バレにくい鈎」というのは、長軸、鈎先が内向きで長く、腰の曲がりが穏やかでフトコロが広いという特徴を持ったものになります。

基準となる鈎を持とう

この2つの相反する形状を考慮しながらアユ鈎を製造していますが、まずはみなさんに使っていただきたいのは、一番使用頻度の高い鈎です。その鈎を基準にして、バレたり、ケラレが多発するなら鈎の種類の変更を考えてください。普段使う鈎が合わないならば、若干性質の異なる鈎を使用してみてください。その時の状況を判断しやすくなるはずです。

時期によっての使い分けも

また、初期は水温が低くまだ掛かりアユの皮は軟らかいので、魚が小さくても少し大きめの6・5号くらいの鈎が身切れを防ぐため有効です。一方、真夏の土用隠れのころには皮が非常に硬くなるので、このころからは5~6号といった小鈎が有利になる場面もあります。

また、4本イカリを3本イカリに変更して、より深掛かりさせるということも有効です。掛かりアユのサイズに号数を合わせるのが基本ですが、こういった状況判断も試してみてください。

<オーナーばり・垣本将輝>