今年のサクラの開花は早めであった。サクラの花芽は前年の夏にできているが、それが一定期間寒さにさらされることで、開花が促進されるという。気温の上昇とともにサクラ前線が北上すると、我々アングラーにとってキスの動きが気になってくるところ。中~南紀にかけて、キスが早く姿を見せそうなポイントを取り上げてみたい。
田辺・芳養周辺
芳養川河口から目良にかけての広い砂浜のキス釣り場の人気はもう二昔前のこととなってしまったが、冬場も水温が下がりにくいので、ポイントが点在する。
旧芳養漁港周辺は、両サイドをシモリに囲まれた中浜(団地の前の浜)、旧の芳養漁港内のチョイ投げ(ルアーロッドにオモリ10号程度でOK)で、キスが期待できる。
根掛かりが若干あるので、仕掛けは短めがいいが、ある程度水温が上がってくれば浜でも3色以内の近場でくる。
より手軽なのは漁港内のチョイ投げで、若干ムラはあるが、水温が上がり気味の上げ潮回りに、20cmクラスも交じって1色以内でビビッドな魚信がくるので面白い。
大屋周辺は、芳養川河口から南部堺にかけての磯場の周辺の砂地がポイントになる。
芳養川の右岸から大屋の間は、テトラと磯場に挟まれた砂浜がある。
干潮時でないと入れないが、砂浜にオモリを置いて投げることができる。
どちらかというと、大屋の磯寄りの方がキスの魚影が濃いように思う。
根掛かりをうまくかわしながら遠近探ると、キスに出会える確率が高い。
外道にチャリコ、ヘダイなどがくることもあり、夜釣りでコロダイなどを狙うキャスターも時折見かける。
さらに南部よりに、大屋の磯がある。比較的平らなテーブル状の磯であるが、3色以上投げれば砂地で、キスの型は18~20cm前後と比較的揃っている。
比較的水深があり、特に大屋の突堤(現在途中が台風で削られているが)から、芳養川河口のテトラ堤の方向が比較的安定している。足場には十分注意したい。
さらに、南部寄りの砂浜からも狙うことができる。
印南港周辺
印南インターから数分のところにあり、釣行しやすい印南港は、冬場でもキスがくるポイント。
港の外は荒磯が続いているが、港内には印南川が流れ込んでいて、砂底があり、キスがいる。
狙いやすいのは、北側の大きな波止の先端近くから、港内のミオ筋の方向。船の航行の妨げにならないように、十分注意したい。
シーズン初期は遠近広く探ってキスの居場所を探すといい。
水温が上がるとチョイ投げでもOK。
そのときは印南川の河口から続く赤灯波止も面白く、良型が足元近くで急にサオ先を押さえ込むこともあり、油断できない。
港内は荒れが入りにくいので、南風が吹いて水温が上がった後などは狙い目である。
紀伊半島西岸で黒潮の影響を強く受けるのはおおむね御坊以南である。
従って早場のキスもこのゾーンが狙い目となる。
今回は、私が今までの3~4月の釣行でキスの魚信が得られた場所を紹介してみた。このほかにも探れば面白いポイントがあるはずだ。
また、遠投力に自信のあるキャスターなら、さらにイマジネーションを働かせてキスとの遭遇チャンスを増やすことができると思う。
鯉のぼりの季節に向かって、いよいよ水温の動向から目が離せない。今年もキスの足音が聞こえる季節になってきた。
<週刊つりニュース関西版 APC・牧野博)/TSURINEWS編>
田辺・芳養周辺