サンマとアユの『はらわた』が食べられるワケ 胃が無いサカナだった?

サンマとアユの『はらわた』が食べられるワケ 胃が無いサカナだった?

何気なく捨ててしまうサカナの「はらわた(内臓)」。しかし、サンマやアユのように一部のはらわたは好んで食べられることも。はらわたを食べることができる理由が気になり、調べてみました。

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なんだかクセになる「はらわた」

「サカナのはらわた」と聞くと「苦い」「臭い」などのネガティブな印象を持っている人も少なくないと思います。一方で、熱狂的な「はらわたファン」もいるのではないでしょうか。

「はらわた」は大人の味?

はらわたが好んで食べられるサカナは「サンマ」や「アユ」が有名です。共通して言えるのは「苦みがクセになる大人の味」という点ではないでしょうか。

筆者は幼少期にサンマのはらわたは苦すぎて食べることはできませんでしたが、大人になるにつれ徐々に食べれるようになりました。今となってはあの苦みのトリコとなり、「好物」と言っても良いくらい。筆者と同じような方も、少なくないのではないでしょうか。

はらわたの料理例

サンマとアユの代表的な料理は、「焼きサンマ」と「アユのうるか」かと思います。焼きサンマは秋の味覚でもあり、どこの家庭でも鉄板の献立なのではないでしょうか。

サンマとアユの『はらわた』が食べられるワケ 胃が無いサカナだった?秋の風物詩「焼きサンマ」(提供:photoAC)

一方、アユのうるかとは「アユの内臓の塩辛」のことです。作り方によって苦みの度合いに差があり、好みの味を見つけてみるのも面白いかもしれません。日本各地で作られていますが、岐阜産のうるかが最高峰と呼ばれているようです。食塩濃度が高いのでお酒のツマミに最高ですが、食べ過ぎにはご用心です。

はらわたが食用に向かない理由

ほとんどのサカナのはらわたが食用に向かない理由は、胃の中に消化中のエサが入っていることが多いからです。サカナは死ぬと内臓から劣化を始め、家庭で捌くころには劣化が進みきっており、場合によっては人の健康に影響を与えることもあります。なにより、サカナ料理の中から消化中のエサが…なんてことがあったら消費者の気分も最悪。

釣り人もサカナを釣った直後に内臓やエラを外しますよね。また、スーパーに並んでいるサカナの内臓が取り外してあるのも鮮度を保つことが目的です。

はらわたが食べられるワケ

それでは、なぜサンマとアユのはらわたは食べることができるのでしょうか?その理由を調べてみました。

サンマのはらわたが食べられるワケ

まず、サンマのはらわたを食べることができる理由をご紹介。

サンマのはらわたを食べることができる理由は、「内臓に消化物がほぼ入っていないから」です。この点、サンマは胃を持っておらず、食べ物となる動物プランクトンを数十分で消化します。これらのサカナを総称して「無胃魚」と呼びます。

また、サンマ漁がおこなわれるのは夜間。サンマは基本的に日中にエサを捕食します。つまり、捕れたサンマの胃にはほとんどエサが入っていない状態となり、これもサンマのはらわたを食べることができる理由でもあります。ただし、アニサキスなどの寄生虫の危険もあるため、必ず火を通して食べるように注意しましょう。

アユのはらわたが食べられるワケ

一方、アユのはらわたを食べることができる理由は「食べるエサが藻類だから」です。一部のアユは水生昆虫を捕食するようですが、基本的にアユのエサとなるのは石に付着した「藻類」。人間が食べても害がない藻類のため、アユのはらわたを美味しく食べることができるのです。

ちなみに、アユを取り巻く環境によってはらわたの味も違いが出るそうです。天然か養殖か、清流かやや水質が悪い河川か、などの外的要因で味が変わるのも面白い点ですよね。

サンマとアユの『はらわた』が食べられるワケ 胃が無いサカナだった?アユは藻類を食べる(提供:photoAC)

また、サンマのはらわたも含めて、特有の苦みがありますよね。あの苦さは「胆のう(胆汁)」の味です。

はらわたの栄養

実はサカナのはらわたは栄養豊富。代表的な栄養としては、「ビタミン類、鉄分、カルシウム」が挙げられます。いずれも人が生活を送るうえで欠かすことができない栄養。健康や美容にも効果的です。

ちなみに、夏の釣りモノとして名高いアユの内臓にはビタミンAが豊富。ビタミンAは天然モノよりも養殖モノのほうが豊富なようです。 ビタミンAは、視力や皮膚などの保持効果がと言われています。 

「サカナの内臓」と聞くと少し敬遠してしまうかもしれませんが、この機会に食わず嫌いの方も、この機会にぜひ「はらわたデビュー」してみてはいかがでしょうか。

<田口/TSURINEWS編集部>