サカナを自宅で長期保存するコツ 「柵」の状態なら冷蔵庫で最長1カ月?

サカナを自宅で長期保存するコツ 「柵」の状態なら冷蔵庫で最長1カ月?

梅雨の時期、生モノのサカナはたとえ冷蔵庫に入れても、期間によっては腐ってしまう可能性があります。今回は、腐らせないためのコツを解説していきます。

(アイキャッチ画像提供:PhotoAC)

TSURINEWS編集部

その他 サカナ研究所

サカナが腐るとはどういうこと?

サカナの身が腐るというのは、腐敗しているということですが、腐っている部分は筋肉です。

筋肉にはATP(アデノシン三リン酸)という筋肉の収縮などに関する物質が含まれており、呼吸によって生成されています。しかし、死んでしまうとATPは生成されなくなり、死後硬直の後、時間の経過とともイノシン酸やヒポキサンチンなどに分解されます。

イノシン酸はうま味成分としても知られ、ATPの分解が進行するとともに増えてきます。

この状態を【熟成】と言い、最近では意図的にこの状態にすることで美味しくする調理法も確立され始めています。

しかし、分解によって増えていくイノシン酸は永遠に増えていくわけではなく、限界まで分解されてしまうと、そこからは消化器の中にいた細菌や、外部から付着した細菌の持つ酵素によってさらに分解が進んでいきます。するとイノシン酸はどんどん減っていき、旨味もなくなり、私たち人間にはうまく消化することが出来なくなってしまうのです。

これが腐敗 、いわゆる【腐る】という状態なのです。

冷蔵庫に入れると腐りにくいが乾燥しやすい

細菌や細菌の持つ酵素は適度な温度や水分のある環境で活発に活動しますが、冷蔵庫に入れることでこの活動は鈍くなります。この時、分解は完全に停止するわけでなく、限りなくゆっくりと進行しているので、一般的にはこのゆっくりとした分解を利用して熟成を行います。

ですが、ゆっくりとした分解だからと、あまり長時間放置してしまうと前述のように熟成は腐敗に変わってしまいますので、保存期間には注意が必要です。

また、冷蔵庫に入れることでもう一つ注意するべきは【乾燥】です。物体は温度が下がると飽和水蒸気量がドンドン低下していきます。つまり、冷蔵庫に入れ温度が下がるとともに、飽和水蒸気量もドンドン低下していき、サカナの身から水分が抜けていってしまいます。

サカナを自宅で長期保存するコツ 「柵」の状態なら冷蔵庫で最長1カ月?冷蔵庫内は乾燥しやすい(出典:PhotoAC)

さらに、冷蔵庫内は水蒸気を外部に排出する機能が付いているため、適当に管理していると身から抜けた水分はどんどん冷蔵庫外に放出され、気づいたころには身はパサパサになってしまうのです。

冷蔵庫で干物が作れるのは、この原理を利用しているからです。

ではトレーに乗っている切り身や柵はどれくらいの期間、冷蔵庫で保管できるとのでしょうか?

市販の「切り身」「柵」を食べる目安

一般的な家庭で魚を食べようとする場合、基本的にはスーパーで購入してくるパターンが一番多いでしょう。

柵の状態と切り身の状態では若干保存できる期間が異なりますが、基本的には当日食べることをお勧めします。切り身だと切断面が多く、かなり空気に触れていることや、飽和水蒸気量が少なくなったことなどを考慮するとその日のうちに食べるのがベストだと言えます。

一方、柵の状態では空気に触れている部分は多いものの、各表面を削ぐことで翌日でも美味しく食べることが出来ます。空気に触れていない中心の部分は腐敗が進んでいないので、熟成させることが出来、より美味しくなると考えられます。しかし、身の厚さが薄ければ身の中心まで全体に腐敗してしまうので、翌日まで持ち越せるのはある程度分厚い柵になります。

では、釣ってきた魚を腐敗させないためにはどうすればいいのでしょうか?

釣ってきたサカナは?

サカナの身は死後硬直の後、分解が進んでいくことは前にも触れました。

ここで大事なのが「死後硬直の後に分解が始まる」ということです。

ですので、死後硬直に入るまでの時間を遅らせたり、硬直している間も低温にして分解を抑えることで鮮度を維持することが出来ます。釣ったサカナを常温で放置してしまうと、死ぬまでの間にジタバタすることでATPが急激に消費され、すぐに死後強直が始まってしまいます。

ですので、釣ったサカナは放置するのではなく、生きている状態から即締めすることで無駄にエネルギーを消費させず、身肉中のATPを多く残すことが出来、死後硬直が始まるまでの時間を延ばすことが出来るのです。

これを一般的に「締める」と言い、釣ったサカナを美味しく食べるためマストの作業と言えるでしょう。

ですので、持ち帰る上で最高の状態を維持するには、釣ったサカナはしばらく水の中で生かしてATPを回復し、即殺した後にすぐクーラーなどの温度の低いところで保管するのがベストです。

自宅で長く保存するには

買ってきたサカナ、釣ってきたサカナどちらも保存するときに気を付けたいのが余計な水分と、空気に触れることです。

買ってきたサカナはトレーに乗ってラップがされていると思います。こちらは完全に密閉されているならそのままでも問題ありませんが、トレー内にドリップという赤い液体が出ていたら注意です。

余計な水分は細菌が繁殖する絶好の場所になってしまうので、一度開封し、キッチンペーパーなどでしっかりと水分を取り除いた後、ラップで厳重に包むと良いでしょう。もちろん、切り身は保存できないものとして、その日のうちに食べてください。

そして、釣ってきたサカナはそのまま冷蔵庫に入れるのではなく、内臓やエラやウロコを処理した上である程度の大きさに切り、同様の処理をするのがいいでしょう。(魚種によっては下処理をせずに冷蔵庫で熟成させる場合もあります)

大きな柵の状態で三枚おろしの状態であれば、最長で1か月近くも保存できると言われています。しかし、家庭用冷蔵庫では味は落ちていくのは間違いないです。やはり、なるべく早く食べるのが望ましいでしょう。

サカナを自宅で長期保存するコツ 「柵」の状態なら冷蔵庫で最長1カ月?ジップロックも密閉には有効(出典:PhotoAC)

梅雨は湿度との闘い

これからの梅雨の時期、湿度はどんどん上がり、冷蔵庫に入れていても食品は傷みやすくなります。

サカナは傷みやすいのでしっかりと処理をする必要があります。

生食では限界はありますが、意図的に乾燥させて干物を作ったり、事前に加熱処理をすることでより長期間の保存が可能になります。

新型コロナウイルスの影響で買い貯めが必要な今、美味しく長く保存できると、偏りがちな食事も楽しく豊かにすることが出来るかもしれませんね。

<近藤 俊/サカナ研究所>

現在、一部都府県に緊急事態宣言もしくはまん延防止等重点措置が発令中です。外出については行政の最新情報を確認いただき、マスクの着用と3密を避けるよう心がけて下さい。一日も早く、全ての釣り場・船宿に釣り人の笑顔が戻ってくることを、心からお祈りしております。