魚をおいしく保存する3つのコツ 刺身の「柵(さく)」は何日もつ?

魚をおいしく保存する3つのコツ 刺身の「柵(さく)」は何日もつ?

生モノの魚はたとえ冷蔵庫に入れても、保存期間や保存の仕方によっては腐ったり、おいしくなくなってしまう場合があります。今回はそんな魚の保存について詳しく解説します。

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魚の腐敗と熟成

まず、魚がおいしくなくなる、食べられなくなる主な原因は腐敗が進行するからです。まずは腐るというのはどういうことか解説していきます。魚の筋肉にはATP(アデノシン三リン酸)という筋肉の収縮などに関する物質が含まれており、呼吸によって生成されています。しかし、死んでしまうとATPは生成されなくなり、死後硬直の後、時間の経過とともにイノシン酸やヒポキサンチンなどに分解されます。

イノシン酸はうま味成分としても知られ、ATPの分解が進行するとともに増えてきます。この状態を【熟成】と言い、最近では意図的にこの状態にすることで美味しくする調理法も確立され始めています。

しかし、分解によって増えていくイノシン酸は永遠に増えていくわけではなく、限界まで分解されてしまうと、そこからは消化器の中にいた細菌や、外部から付着した細菌の持つ酵素によってさらに分解が進んでいきます。するとイノシン酸はどんどん減っていき、旨味もなくなり、私たち人間にはうまく消化することができなくなってしまうのです。これが腐敗、いわゆる【腐る】という状態なのです。

冷蔵庫では熟成が進む

細菌や細菌の持つ酵素は適度な温度や水分のある環境で活発に活動しますが、低温の冷蔵庫に入れることでこの活動は鈍くなります。この時、分解は完全に停止するわけでなく、限りなくゆっくりと進行しているので、一般的にはこのゆっくりとした分解を利用して熟成を行います。ですが、ゆっくりとした分解だからといって、あまり長時間放置してしまうと前述のように熟成は腐敗に変わってしまいますので、保存期間には注意が必要です。

冷蔵庫は乾燥もしやすい

また、冷蔵庫に入れることでもう一つ注意するべきは【乾燥】です。物体は温度が下がると飽和水蒸気量がドンドン低下していきます。つまり、冷蔵庫に入れ温度が下がるとともに、飽和水蒸気量も低下していき、魚の身から水分が抜けていってしまいます。

魚をおいしく保存する3つのコツ 刺身の「柵(さく)」は何日もつ?冷蔵庫内は乾燥しやすい(出典:PhotoAC)

さらに、冷蔵庫内は水蒸気を外部に排出する機能が付いているため、適当に管理していると身から抜けた水分はどんどん冷蔵庫外に放出され、気づいたころには身はパサパサになってしまうのです。冷蔵庫で干物が作れるのは、この原理を利用しているからです。保存時にはこの乾燥にも気をつける必要があります。

魚の保存期間の目安

一般的な家庭で魚を食べようとする場合、基本的にはスーパーで購入してくるパターンが一番多いでしょう。買った時の鮮度にもよりますが、柵の状態と切り身の状態、丸ごとの状態では保存できる期間が異なります。

魚の切り身の保存期間

刺身の切り身だと、切断面が多くかなり空気に触れていることや、飽和水蒸気量が少なくなったことなどを考慮するとその日のうちに食べるのがベストだと言えます。

魚の柵(さく)の保存期間

一方、柵の状態では空気に触れている部分は多いものの、各表面を削ぐことで翌日でも刺身で美味しく食べることができます。空気に触れていない中心の部分は腐敗が進んでいないので、熟成させることができ、より美味しくなると考えられます。しかし、身が薄ければ中心まで腐敗してしまうので、保存できるのはある程度分厚い柵です。

また、スーパーで売られている魚は水揚げから日が経っていたり、流通の過程ですでに劣化が進行していることもあります。刺身の場合は買った日の翌日には食べ切るのが望ましいでしょう。加熱する場合はにおいなどの確認は必要になりますが2日程度は問題ないでしょう。

丸魚の保存期間

丸ごとの魚の場合は、空気に触れている部分が少なく、柵の状態よりも鮮度を保ちやすいです。エラや目の色や身の弾力で、ある程度鮮度の目利きができるというメリットもあります。保存時の注意点は内臓や鱗、エラなどは細菌が繁殖しやすいので買ってきた場合も、釣ってきた場合も取り除いて、血合いなどをよく掃除してから保存しましょう。

釣ってきた魚の保存

魚の身は死後硬直の後、分解が進んでいくことは前にも触れました。ここで大事なのが「死後硬直の後に分解が始まる」ということです。ですので、死後硬直に入るまでの時間を遅らせたり、硬直している間も低温にして分解を抑えることで鮮度を維持することができます。

釣った魚を常温で放置してしまうと、死ぬまでの間にジタバタすることでATPが急激に消費され、すぐに死後強直が始まってしまいます。ですので、釣った魚は放置するのではなく、生きている状態から即締めすることで無駄にエネルギーを消費させず、身肉中のATPを多く残すことができ、死後硬直が始まるまでの時間を延ばすことができるのです。これを一般的に「締める」と言い、釣った魚を美味しく食べるためマストの作業と言えるでしょう。

魚をおいしく保存する3つのコツ 刺身の「柵(さく)」は何日もつ?処理&保冷して持ち帰ろう(提供:TSURINEWS編集部)

ですので、持ち帰る上で最高の状態を維持するには、釣った魚はしばらく水の中で生かしてATPを回復し、即殺した後にすぐクーラーなどの温度の低いところで保管するのがベストです。また、締める前に血抜きを行うのも推奨します。細菌の繁殖の原因となる血液が減るため鮮度を保ちやすくなります。

釣った魚は何日持つ?

下処理ができ、釣った日がわかっている釣り魚の場合は柵の状態などで冷蔵し、熟成を管理して旨味が増えたタイミングで食べることも可能です。ただ、魚種によって自己消化酵素や身に含む水分などの関係で鮮度の落ちるスピードは変わり、保存期間が変わってきます。

例としてはヒラメやマダイといった白身で硬い身の魚で新鮮なものであれば、1週間以上寝かせて刺身で食べることも可能ですが、アジなどの青魚や、イシモチなど水分の多い魚は鮮度落ちが比較的速いので2~3日ほど経つと柔らかくなり色が悪くなってくることも。身の状態やにおいも確認しつつ保存期間は判断しましょう。

次のページで魚をおいしく保存する3つのコツを紹介!

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