ヘラブナ釣り回想記:福島県 震災の爪痕残るも釣り人はアグレッシブ

ヘラブナ釣り回想記:福島県 震災の爪痕残るも釣り人はアグレッシブ

多くの人の支えがあり、昨年は1都11県で竿を出すことが出来た。爆釣に笑った日や貧果に泣かされた日、身の危険を感じた釣行など思い出が尽きない。様々な地域で竿を出すが、いろいろと考えさせられるのが福島県だ。今回は、そんな福島県のエピソードを紹介する。

福島県のリアルタイム天気&風波情報

(アイキャッチ画像提供:週刊へらニュース APC・中村直樹)

アバター画像 TSURINEWS編集部

淡水の釣り ヘラブナ釣り

釣り禁止のため池が多い

東日本有数のため池を誇る福島県。全国第3位の土地面積でありながらも、釣り場として開放されている池は数えるほどしかない。その理由は、大半の池が”釣り禁止”になっているから。

これは釣り人のマナーの悪さが招いた結果であり、残念でならない。その多くは釣り人が起こした問題(ゴミ、無断駐車など)だそうで、すべての池を釣り禁止にしてしまった自治体もある。

そのため、日研の各支部が管轄する池があり、「会員のみ」の専用池として楽しむ姿を目にする。いささか閉鎖的に見えるが、そこまでしないと釣り場が存続できないのだ。

福島県の釣り場を紹介

少々切ない気持ちになるが、好釣り場も存在する。城のお堀で楽しめて魚影特濃な小峰城のお堀(白河市)。

ヘラブナ釣り回想記:福島県 震災の爪痕残るも釣り人はアグレッシブ小峰城のお堀(提供:週刊へらニュース APC・中村直樹)

ザ・野釣りが堪能できる原池(須賀川・郡山市)&二池(須賀川市)。

ヘラブナ釣り回想記:福島県 震災の爪痕残るも釣り人はアグレッシブザ・野釣りを堪能できる二池(提供:週刊へらニュース APC・中村直樹)

魚影が薄くなったが歴史のある岩部ダム(飯館村)。

ヘラブナ釣り回想記:福島県 震災の爪痕残るも釣り人はアグレッシブ岩部ダム(提供:週刊へらニュース APC・中村直樹)

懐かしの喜多方川前(喜多方市)。巨ベラスポットの三春ダム(三春町)。会員池としては岳山公園(本宮市)。

ヘラブナ釣り回想記:福島県 震災の爪痕残るも釣り人はアグレッシブ岳山公園(提供:週刊へらニュース APC・中村直樹)

管理池では須賀川釣仙郷(須賀川市)もあるが、現在工事中だ。

東日本大震災の影響が色濃く残る

ここに加えたかったのが名釣り場の坂下ダム(富岡町)だが、東日本大震災の影響で釣り不能になり、現在は湖岸への立ち入りのみが許可される程度になっている。

ヘラブナ釣り回想記:福島県 震災の爪痕残るも釣り人はアグレッシブ坂下ダム(提供:週刊へらニュース APC・中村直樹)

県を代表する好釣り場も、現在は福島第1原発の冷却水として使用されているのだ。ダム周辺は現在も帰還困難区域に指定され、町にはバリケードが張り巡らされている。

ヘラブナ釣り回想記:福島県 震災の爪痕残るも釣り人はアグレッシブモニタリングポスト(提供:週刊へらニュース APC・中村直樹)

各所に放射線測定器・モニタリングポストが設置され、除染作業を行う作業員の姿が目立つ。遠く離れた関東では、あたり前に日常生活を送れているが、現地では今なお目に見えない恐怖と戦っているのだ。

アグレッシブな釣り魂

東北で釣りをしていると、被災された人とたびたび出会う。そのたびに胸が痛くなり、いろいろと考えさせられる。本当に忘れてはならない出来事だ。しかしながら、現地の人は前向きで「あそご(富岡・大熊町)さは戻んね」と言う人がほとんどで、新天地で第2の生活をスタートさせている。消極的になる私が、逆に勇気をもらうほど明るいのだ。

さて、肝心な釣り事情だが、これがとにかくアグレッシブ。釣り場を求めての長時間移動は、日常茶飯事。例会ともなると片道100km以上・2時間コースはあたり前で、関東・山形・新潟まで遠征する会もめずらしくないのだ。

ちなみに日研の福島地区大会は、山形県の前川ダムで開催している。そんなアグレッシブさに驚く私に「やっとごがねーんだ、しょーがんめぇ」とケロッと言うのだから、福島のヘラ釣り熱もかなりのものだ。

ご当地グルメも充実

お楽しみのご当地グルメは、酒の肴・ご飯のお供は「いかにんじん」。B級スイーツの「クリームボックス」。そして県民が愛して止まない「白河ラーメン」だ。出会う釣り人誰しもがラーメンの話をしていて、最近では福島放送『ふくしまら~めん道』という、ローカルテレビ番組まで覚えてしまった。

福島は今なお様ざまな問題を抱えているが、釣り熱は高く、驚くほどアグレッシブ。関東がいかに恵まれているかがわかる地域だ。”福島魂”はとにかく凄い。

<週刊へらニュース APC・中村直樹/TSURINEWS編>

この記事は『週刊へらニュース』2020年5月15日号に掲載された記事を再編集したものになります。