近年になり度々ニュースなどにも取り上げられる『マイクロプラスチック』問題。聞いたことはあるけど詳しくは知らない人が多いのでは?今回は、同問題の脅威や解決法模索について紹介します。
(アイキャッチ画像提供:WEBライター・永井航)
マイクロプラスチックの概要
まず、マイクロプラスチックとは読んで字の如く小さなプラスチックの事だ。マイクロプラスチックの具体的な大きさは研究者により1mm以下を主張したり5mm以下を主張したりと見解が異なっている。
我々人間の生活に欠かせない物となっているプラスチック。それが今、大気中を舞ったりや海洋を漂う事で様々な問題が発生するのではないかと言われている。
マイクロプラスチックの種類と発生源
そんなマイクロプラスチックにも種類があり、それにより海洋などに流れ着く経路も少し異なる。
一次マイクロプラスチック
まずは一次マイクロプラスチックというものだ。これはプラスチック製品の原料となる数mmのプラスチックのペレットや歯磨き粉やボディーソープなどに研磨剤として入れられている微細なプラスチックがあげられる。つまり元から小さなプラスチックという事だ。
普段使う事の多い歯磨き粉などに入っているマイクロプラスチックは基本的に下水処理場に流される。日本の下水処理場では水の浄化の過程でマイクロプラスチックなどの環境に良くない不純物を取り除き河川や海に排出していると言われている。
しかし、排水に混じるマイクロプラスチックを取り除くには高度な技術を持つ下水処理場を必要とするため、全ての国が保有出来ている訳ではないのが現状だ。このようにして一次マイクロプラスチックは河川や海にたどり着く。
二次マイクロプラスチック
続いて紹介するのが二次マイクロプラスチックだ。これは、元々は大きなプラスチック製品が劣化したり砕けたりする事でマイクロプラスチックになるというものだ。
物干し竿につけっぱなしの洗濯ばさみが粉を吹いたり、脆くなって折れたりするのを経験したことのある人も多いだろう。これはプラスチック製品が紫外線で劣化したために起こる事だ。もちろん、あの粉はマイクロプラスチックであり、あれが風で舞い上がり大気や海洋にたどり着くということだ。また、海に落ちているプラスチック製品は紫外線以外にも波浪やその他衝撃によって砕かれて細かくなる。
マイクロプラスチックの増加
今問題になっているマイクロプラスチックのほとんどは二次マイクロプラスチック由来とされている。現在の推定では既に5兆個以上のマイクロプラスチックが熱帯から極地、水面から水深1万mの超深海底までのあらゆる所に漂っている。
さらに驚くべきことに2050~2060年頃には海洋中のプラスチックゴミの重量は全海洋中の魚の重量を上回るとも予測されているのだ。もちろん釣り人のルアーやウキ、その他釣具やパッケージなど釣り人が持っている物でもプラスチックが使われている物をあげ出すときりがない。
また私も経験があり多くの人があるであろう釣具のロストや、不注意や一瞬の油断でビニール袋などが風で飛ばされたりする事故、そういった事もマイクロプラスチックの増加の片棒を担いでしまっているのが事実だ。
マイクロプラスチックの脅威
そんなマイクロプラスチックを魚達がプランクトンなどの餌と間違えて食べてしまっているとされ、現に日本でもイワシ類などのプランクトン食の魚類の体内からマイクロプラスチックが数多く見つかるということが頻発している。
ただ、マイクロプラスチックを魚が食べるだけでは糞等と共に排出されるため、さほど問題ではない。しかし、プラスチック製品は性能の向上や良質な製品にするために添加剤が加えられており、その添加剤の中には発ガン性やホルモンの異常を引き起こす可能性などが示唆されているものもある。
またプラスチックは疎水性が高く、マイクロプラスチックの表面は凹凸があり表面積が大きいため、疎水性の高い他の物を吸着しやすいという特徴がある。吸着しやすい物の中にはDDT(有機塩素系殺虫剤、農薬)、POPs(残留性有機汚染物質)など有害なものも含まれている。そういった物を魚がマイクロプラスチックから吸収してしまうのだ。