漁師が「本当に食べてもらいたい」サカナ『プライドフィッシュ』とは

漁師が「本当に食べてもらいたい」サカナ『プライドフィッシュ』とは

魚介類の消費量の減少が続いている日本。これに歯止めをかけるべく、スタートしたのが「プライドフィッシュ」プロジェクトです。一体どんな内容なのでしょう。

(アイキャッチ画像提供:週刊つりニュース編集部)

TSURINEWS編集部

その他 サカナ研究所

魚介消費量が7割未満に減少

世界に冠たる魚食大国・日本。しかしその内実はかなり危機的で、肉の消費量が増加を続ける一方、魚介類の消費量は右肩下がりになっています。

2001年のピーク時には国民一人1日あたり110gあった魚介類消費量が、2013年にはなんと74gと7割未満になってしまっているそうです。(『「漁師お墨付き「プライドフィッシュ」 34道府県110種、消費拡大に期待』産経ニュース 2015.7)

漁師が「本当に食べてもらいたい」サカナ『プライドフィッシュ』とは魚を料理しない、食べないという人も増えている(提供:PhoteAC)

ファストフィッシュ

この現状に危機感をおぼえた水産庁は、「ファストフィッシュ」の認定を2012年にはじめました。ファストフィッシュとは「手軽・気軽においしく、水産物を食べること及びそれを可能にする商品や食べ方」のことで、民間に広くアイディアを募り、毎年選定を行っています。(『Fast Fish(ファストフィッシュ)関係資料』水産庁ホームページ)

一方、この「ファストフィッシュ」と対になる形で、全国漁業協同組合連合会(全漁連)が認定しているのが「プライドフィッシュ」です。

プライドフィッシュ

これは「魚の本当のおいしさをもっとたくさんの人に知ってもらう」ことを目的に、地元漁師が自信を持って勧める魚を「プライドフィッシュ」に選定、推奨していくというプロジェクトです。以下の条件を満たしたものを、各都道府県の漁協が選定し、プライドフィッシュとして認定しています。

・本当においしい漁師自慢の魚であること
・地元で水揚げされたものであること
・旬を明確にした魚であること
・各会員が独自に設けている基準(サイズ、水揚げ海域等)をクリアしている魚であること
(プライドフィッシュ 公式ホームページ)

漁師が「本当に食べてもらいたい」サカナ『プライドフィッシュ』とはサイズ、旬などに厳しい規定がある(提供:PhoteAC)

各県ごとに、春夏秋冬それぞれに旬の魚が選ばれています。基本的に当プロジェクトに参加しているのは海に面した県の漁連ですが、内陸県では唯一滋賀県だけが参加し、琵琶湖特産のビワマスなどが認定されています。県によっては一つの季節に複数の魚介類が認定されているところもあります。

また、静岡県のサクラエビのように「誰もがその土地の名産として認める魚介」であっても認定されていないものもあり、こだわりが感じられます。「大島のトコブシ」(東京)、「平塚のシイラ」(神奈川)など以外な魚介も選定されており、魚好きな当頁読者の皆様にはぜひ、お住まいの都道府県のプライドフィッシュを当てられるか挑戦してみてもらいたいところです。

魚食普及への「本気」の取り組み

この「プライドフィッシュ」は魚介類消費量の減少に歯止めをかけるものとして強く期待されています。そのため開始に当たり、プライドフィッシュプロジェクト企画委員会が立ち上げられ、初代会長には料理評論家として著名な服部幸應氏が就任しています。

魚介類の消費拡大は、水産に関係する業界の共通する喫緊の課題です。そのため、関係する業界と広く連携して取り組む必要があると考えられており、このプロジェクトを広く普及させるべく「プライドフィッシュサポート協議会」も設立されました。これにより漁業・水産業関係者だけでなく、小売業や外食産業、生活協同組合、さらには観光業など、幅広い業界からボーダーレスな協力を得ることができるようになっています。

漁師が「本当に食べてもらいたい」サカナ『プライドフィッシュ』とは小売店でも取り扱うところが増えている(画像はイメージです)(提供:PhoteAC)

協議会では、プロジェクトの知名度を上げるために、Fish-1グランプリなどのイベントも開催しています。2015年からは小売最大手のイオンがプライドフィッシュの販売を開始し、知名度が向上してきています。(『イオンが11月15日から取り扱い開始する「プライドフィッシュ」とは?』商人舎 流通スーパーニュース 2015.11)

本当に美味しい魚

輸入魚や養殖魚が一年中流通するようになり、「旬」や「特産」の概念が薄まりつつある現代。このようなプロジェクトによって「本当に美味しい魚」が広く知られるようになるのは、我々魚好きにとってもとても喜ばしいことです。

今後の展開に期待していきたいと思います。

<脇本 哲朗/サカナ研究所>

 

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