新型コロナウイルスによる飲食店営業自粛の影響で、スーパーなどの小売に高品質の水産物が出回っているとの話が出ています。この話は本当なのでしょうか?良県中央卸売市場の丸中水産株式会社勤務の有吉さんに卸しの現状について聞いてみました。
(アイキャッチ画像提供:WEBライター・有吉紀朗)
噂の真偽と原因
まず何より気になるのが噂の真偽。ずばり「一般消費者の市場に出回る魚介類の品質が高くなっているのは事実か?」と聞いてみたところ、「事実です。」という回答が得られました。
聞けばコロナによる飲食店への流通比率が下がったのが原因で、今まで5匹くらい購入していてくれた居酒屋が1匹しか購入しないという状況で、残りの4匹は安くても量販店に流すしかなくなっているのが現状のようです。計画的に出荷される魚は限られているので、需要と供給バランスが崩れた結果このような事態になっているとのことです。
安く出回っている高級魚介類
となると気になるのが、高品質なものが出回るようになっている魚介類の具体例です。今狙い目の魚介類を聞いてみました。
「天然活けものでは、イシダイ、オコゼ、ヒラスズキ、ヒラメ、ウニなど高級素材の値段が安くなっており、量販店にも流れています。人気のノルウェーサーモンは例年イースター(4月12日)の時期に価格が上がるのですが、需要が少なく安くなってます。ただしこれらの空輸ものは航空便の減少で値段が高くなることもあります。」
「そして、天然ものだけではなく養殖の魚も価格が安くなってきてます。タイも、アユもギンザケも。養殖物が安くなっているのは、供給過多という部分もありますが、生産コストの低下(原油価格の低下など)も原因しているようです。一方、冷凍で流通するイクラ、カニは不漁の影響もあり価格はなかなか下がりません。」
目利きのポイント
では、そんな普段あまり出回らないいい魚の目利きのポイントはどこでしょう?素人でもわかるいい魚の目利きを教えてもらいました。
マグロ
「トロなんかも料理屋の需要が少なく量販店にも回るのですが、いいものは色が少し黒っぽい赤色で、筋が柵と並行に入っているものです。普通スーパーでは1柵幾らで売るよりグラム幾らで売るので、多くのパックからこういう物を選ぶといいでしょう。」
ウニ
「ウニは解凍も出回っていますが、生のほうが断然おいしいです。また、ミョウバンを使ってない物を選びましょう。色はウニの種類でも違います。木箱に入っている場合(写真)、箱の裏を見るとウニのドリップで汚れているものがありますが、こういったものは古いです。」
ブランド魚
「ノドグロは山陰や徳島より、長崎のブランドアカムツがいいです。トロサワラや氷見寒ブリのようなブランド水産物は、同じ水揚げ地でも一定以上の脂がないもの、鮮度の悪い物はブランドシールを貼ってこないので目安となります。」