『波止サバ』は美味しく無いはウソ? 絶品料理への道は下処理にアリ

『波止サバ』は美味しく無いはウソ? 絶品料理への道は下処理にアリ

船釣りで釣れる寒サバや、スーパーなどで売られている脂が乗ったサバに比べると、波止で釣れるサバは脂の乗りも少なく、ちょっと物足りないイメージがある。ところが下処理と料理法次第で、絶品の身に生まれかわる。今回はそんな重要な下処理の方法とオススメ料理を2つ紹介したい。

(アイキャッチ画像提供:WEBライター・伴野慶幸)

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レシピ その他

「波止サバ」オススメレシピ

ここまでできたらいよいよ料理に入る。ここからは私が普段よくしている波止サバ料理のレシピを紹介しよう。

なお、今回料理に用いるのは35~40cmの波止サバをイメージしている。

サバ汁

アラを使ってダシを取り、身を具にするサバ汁は、サバの旨味を身と汁の両方から味わえる料理。新鮮なサバのアラから十分にダシを引き出そう。

●材料(2人前)

サバのアラ:サバ2匹分以上の頭と尾(わざと身も少し残すと良い)
サバの身:サバ1匹分の胴体を一口大の筒切りにしたもの
昆布ダシ:600cc(沸騰して蒸発する分を計算に入れて、少し多めの量で)
青ネギ:1本の半分を2cm程度の大きさに刻む(使う量はお好みで)
※細かい刻みネギにはしない
塩、醤油、ショウガ汁:いずれも少々(ダシの味の調節用)
酒または料理酒(下処理用):サバのアラに一通り振りかかる程度(ダシの風味付け)。酒の場合は大さじ4杯、料理酒の場合は大さじ2杯
熱湯:鍋に十分な量(サバのアラと身の生臭み取り用)

●作り方

1、昆布ダシと酒または料理酒を鍋に入れて強火にかけ、沸騰したらすぐ火を止めて、常温まで冷ましておく。

2、鍋に十分な量の水を入れて火にかけ、熱湯まで沸かしておく。

3、サバのアラと一口大に切った身に、それぞれ酒または料理酒を表面に振りかけ、5分程度置く。

『波止サバ』は美味しく無いはウソ? 絶品料理への道は下処理にアリ料理酒を振り5分置く(提供:WEBライター・伴野慶幸)

4、酒をまぶしたアラと身をザルに取り、軽くゆすって水気を切る。

5、水気を切ったアラと身を沸かした熱湯に入れ、箸でゆるくかき混ぜながら生臭みを取り、5秒ほどでアラはザルに、身はトレイに、それぞれ引き上げる。

『波止サバ』は美味しく無いはウソ? 絶品料理への道は下処理にアリアラは湯通しして臭みを抜く(提供:WEBライター・伴野慶幸)

6、引き上げたアラと身は、布巾かキッチンペーパーで水気を切る。

7、常温まで冷ました昆布ダシに、水気を切ったアラを入れ、中火にかける。沸いたら弱火にして5分間ほど煮出した後、アラは取り出して捨て、ダシは布巾かキッチンペーパーで濾す。

8、濾したダシを再び鍋に入れ中火にかけ、醤油少々で味付けし、塩少々で味を調節する。

※最後に味を調整するので、この段階では味が濃くなり過ぎないように注意。

9、味を調えたダシが沸いたら、水気を切った身を入れて中火のまま焚く。アクはていねいに取る。

10、鍋が沸いたら弱火にし、味見をしながらショウガ汁、醤油、塩で味を最後に整える。

11、身に十分に火が通ったら、刻んだネギを鍋に入れて、1分ほどで出来上がり。

『波止サバ』は美味しく無いはウソ? 絶品料理への道は下処理にアリサバ汁と煮サバ(醤油味)(提供:WEBライター・伴野慶幸)

サバの味噌煮

サバの味噌煮はご存じのとおり有名な料理。濃い目の味、さっぱり味、甘目の味など、また使う味噌も、合わせ味噌、白味噌、八丁味噌と、味の好みは人それぞれ。

レシピもWEBで検索すれば多種多様。従って、火が通るまでのプロセスは、今回紹介する手順にこだわらず、好みのレシピを優先していただきたい。私から今回紹介するポイントはたった1つ。「冷蔵室で一晩寝かせてから翌日以降に食べる」である。

●材料(2人前)

サバの身:サバ2匹分の胴体を、一口大よりも少し大きめの筒切りまたは三枚おろしの切り身にしたもの
薄切り生姜:親指の先ぐらいの量(入れすぎないよう注意)
合わせ味噌:大さじ2
砂糖:大さじ2
みりん:大さじ2
醤油:小さじ2
酒:大さじ4(料理酒の場合は大さじ2)
水:150cc

●作り方

1、合わせ味噌、砂糖、みりん、醤油を小皿に取り混ぜ、合わせ調味料の状態にしておく。

2、鍋に水と酒を入れ、強火で沸騰させる。

3 沸騰したら中火にして、「1」の合わせ調味料を入れ煮立たせる。

4、煮立たせた鍋に切ったサバの身と薄切りショウガを入れ、落とし蓋かアルミホイルで蓋をして、やや弱めの中火で、照りがつくまで煮る。

『波止サバ』は美味しく無いはウソ? 絶品料理への道は下処理にアリ煮上がったサバ(提供:WEBライター・伴野慶幸)

波止サバの味噌煮を美味しく食べるには、料理した当日はがまんして食べない。
先ほどまでの火が通るまでのプロセスで、普通はこれで出来上がりとして食べるのだが、ここからが私が今回紹介する料理の肝心のポイント。「料理した当日はがまんして食べずに、寝かせるプロセスを踏む」。

5、照りがつくまで火を通したら、火を止めて自然に冷ます。

6、鍋が冷めたら身と煮汁をともにタッパーまたはフリージングパックに入れて、冷蔵庫の冷蔵室で一晩寝かす。

『波止サバ』は美味しく無いはウソ? 絶品料理への道は下処理にアリ冷蔵庫で一晩寝かす(提供:WEBライター・伴野慶幸)

7 翌日、一晩寝かした味噌煮を冷蔵室から取り出して、熱々まで温め直し、皿に盛り付けて出来上がり。

『波止サバ』は美味しく無いはウソ? 絶品料理への道は下処理にアリ寝かせた味噌煮を温めて食べる(提供:WEBライター・伴野慶幸)

一晩寝かせる理由

食べ慣れたプロの食材のサバほどには脂の乗りが足りない波止サバを、味噌煮にして美味しく食べるには、「自然に冷ましてから、冷蔵室で一晩寝かす」手順を踏むことがポイントとなる。味噌の煮汁の味をなじませるとともに、サバの身が持つたんばく質の旨味成分を引き出す効果がある。

なお、しばらく食べずに保存食にする場合は、いきなり冷凍するのではなく、冷蔵室で一晩寝かしてから、冷凍庫に移しかえて冷凍保存すると良い。

<伴野慶幸/TSURINEWS・WEBライター>