水温低下で投げキス釣りには厳しい季節に突入したが、ポイントを抑えれば真冬でも型を見ることは可能だ。12月21日は、中~南紀の冬の実績場でサオを出し、うまく本命を仕留めることに成功したので、その模様をリポートしたい。
(アイキャッチ画像提供:WEBライター・牧野博)
冬の投げキスは場所選びが重要
この冬は、水温の低下が少し早いような気がする。鮮魚店の陳列棚には、寒の魚であるサバフグが幅をきかしているが、地物の磯魚の入荷は比較的少ないようだ。そして釣具店の情報だと和歌山市周辺の海水温はすでに14度台になっているようで、釣り場選びが難しい時期に突入した。
12月21日、季節風が少し緩むとの予報が出ていたので阪和道を南下、和歌山県田辺市の芳養を目指す。最初に入ったのは芳養川河口右岸の砂浜。冬場はここの南部寄りの大屋の磯から出ている突堤が安定したキスポイントだったが、度重なる台風によって堤防の根元が完全に削り取られて、干潮の底でないと入れなくなってしまった。そこで今回は砂浜の最も大屋寄りを探る。
芳養川河口右岸
右手に山があり、さらに護岸の下になるので冬場は風裏になることが多く、低水温期でも魚が付いていることが多い。シモリが多いのが難しいポイントだが、まずは近場から探る。
午前10時半に開始。サオはスカイキャスターの30号、投げ専用リールにミチイトはPEラインの0.6号、チカライトもPEライン0.6~6号、オモリはL型固定木オモリの26号で、仕掛けはアスリートキス6号の4本バリ、これで3色以内を探っていく。
手前1色付近はシモリがあるが、そこにもキスが付いているので慎重に引いてくる。2色付近でピンギスがかすかな魚信を送ってきた。そんなに深場ではないが、風裏で水温が上がりやすいポイントなのだと思う。ここで2時間ほど探って5匹を手にしたが、次第にアタリが遠くなってきたのでポイントをかえてみる。
大屋・バス停下の浜
大屋の磯との間の小さな突堤もいいが、風が弱いので、次は大屋のバス停下の浜に行ってみた。芳養川河口の浜に比べ、潮が澄んでいて水温が低いのがわかる。波口を探ってみたがフグすらいない。
そこで根掛かりに注意しながら水深のある3~4色ゾーンのカケアガリを探ると、モゾモゾした魚信。明らかにキスとは違う感触で慎重に取り込むと、最近少なくなったキュウセンベラ。20cm近い良型だった。もう少し小ぶりのものも手にしたが、ここでキスは追加できなかった。
日暮れまで少し時間があるのでもう一か所探りを入れることにする。水温が低下しているので、やはり水深のあるポイントがいい。缶コーヒーを飲みながら少し考えたが、確実に型が見られる場所として印南港へ移動することとした。芳養から田辺ICまで、国道の山側に新しい道ができているので移動が楽である。30分強で印南港に到着。
印南漁港
日暮れまで1時間ほどしかない。季節的に難しいかもしれないが、思い切ってチョイ投げを試してみた。ルアーロッドに15号のL型テンビン、2本バリの短い仕掛けで船道を探ると、1投目からピンギスが姿を見せる。
ほんの1~2色のニアポイントであるが、やはり魚信は散発的だった。強いシグナルの中型がハリに乗らず結構手こずったが、1時間半ほどで3匹キスを手にした。
当日の釣果はキス17cmまでを8匹、ほかキュウセン2匹、ガッチョ。日並みを選んでのリベンジでは、お気楽釣行でも2ケタをマークしたいものだ。
冬のキス釣り場の見極め方
冬場のキス釣りはポイントがある程度限定される。大きな港湾などで砂泥底の深場があり、キスがそこに居付いて越冬する実績場なら鉄板だと思う。
そのようなポイントが手軽に行ける場所にないとき、夏から秋にかけてキスの釣れたポイントを目安に釣り場を探すことになる。水温の経緯にもよるが、釣り場全体を少し遠くから見たとき、季節風の風裏になる場所、もしくは周辺より深くなっている場所、そうしたポイントをスポット的に探っていくのがキスとの遭遇チャンスを増やすと思う。また水深のある漁港の船道なども、水温が安定しているので付き場になる。
低水温期は、活性が低下しているので、天候や水温の経緯もポイントである。強い寒波がきた後は天気がよくても食い渋るし、1~2月でも季節風が弱まったり、南風が吹いて暖かい日が続いた後は水温が上昇気味になるのでチャンスだ。防寒をしっかりとしてアタックしたい。
交通
芳養周辺のポイントは、自家用車なら阪和道を南部ICまたは田辺ICで下車し、R42号経由で行ける。印南港は、阪和道を印南ICで下車して出口を右折。R42号に出ると印南港が見えてくる。船釣り派のアングラーにも非常に便利な場所である
<牧野博/TSURINEWS・WEBライター>
芳養川河口