キスはそろそろ落ちのシーズンに突入する。思わぬところで入れ食いが味わえたりする楽しい季節の到来である。良型が出る季節でもあるので、今回はそんなキスを使った昆布締めに挑戦してみた。
(アイキャッチ画像提供:WEBライター・牧野博)
素材へひと手間加える意味
コールドチェーン(低温物流)の技術が高度に発達し、北海道や東北で水揚げされたサンマが刺し身で売られている。塩干物が幅をきかせていた昭和40年代の店先とはまったく違う世界だ。魚の消費も贅沢になったものだと思う。
にぎり寿司は江戸前の食文化だといわれるが、かつて握りのネタには仕事をした(生ではなく、手を加えたもの)ものが多かったと聞いた。私が就職で関東に行ったのは平成になる少し前だが、そのころには料理にも江戸前の雰囲気が結構感じられた。今でもアナゴと小肌の握りが無性に食べたくなる時がある。
印南港で釣ったキスをさばいていると、冷蔵庫に出汁昆布の切れ端があることを思い出した。今回はいつもの刺し身にひて手間加え、キスの昆布締めを作ってみることにした。
釣り場での保存&持ち帰り方
釣れたキスはクーラーにすぐ投入する。そのとき魚が氷や保冷材に直接接触しないようにしたい。
クーラーに入れたままで持ち帰る。遠くに釣行して一泊するような場合は、途中で氷を買い足してクーラーに入れる。冬場なら、クーラーに入る大きめの板氷1本で十分持たせることができる。
自宅での下処理
鱗を取り、内臓をきれいに取る。このあと、天ぷらやソテーなら尾びれを残して開くが、昆布締めにするときは三枚におろす。包丁を寝かせて腹骨も取る。
皮の引き方は、包丁を寝かせ、尾の方から皮を引いていく。このとき、包丁はほぼまな板と平行になるぐらい寝かせ、取れてきた皮を手に持ってゆっくり引いてやるとうまく皮が取れてくる。
大きなキスだと、中骨が結構硬い。中骨だけを抜くのが難しいときは、その部分を切り捨て、上身と腹身に分けてもいい。
キスの昆布締めレシピ
ここからいよいよ素材へのひと手間となる昆布で締める作業だ。
昆布締めの材料
準備する材料は、出汁昆布(濡れぶきんで軽く表面をふき取っておく)、皮を引いたキスの身
手順
昆布を器に並べ、その上に下処理をしたキスの身を並べていく。同じ昆布で蓋をして、上から皿で軽く押さえて冷蔵庫へ入れる。好みの時間寝かせれば完成だ。
昆布で締める時間
冷蔵庫で寝かせる時間は、軽く締めるなら2~3時間でいい。生の刺し身から少し水気が取れた状態で、魚の旨みが凝縮された感じでほんのり昆布の風味も味わえる。
一晩置けば、しっかり締まった状態で、キスの身は半透明になっている(写真)。食感はやや硬くなるが、昆布の旨みも十分に浸透してまた違った味わいである。このあたりは好みで調整できる。また、ある程度量がある場合は、昆布で締める時間をかえながら、味わいの変化を楽しんでみるのも面白いと思う。
盛り付け
小鉢を用意し、キスの昆布締めを盛り付ける。今回は手前味噌であるが、大根のケンと青じそ、茗荷の漬物をあしらって、そこにキスの昆布締めを盛り付けた。ゆずがあったので、包丁で小さく切って添えた。
昆布締めに使った昆布をあしらいにして盛り付けると、材料を無駄なく使うことができ、白身魚の色がよく映えると思う。
<牧野博/TSURINEWS・WEBライター>