キスやハゼといった白身魚はコラーゲンを多く含んでおり、これらの魚で煮つけを作った際の煮汁は、冷えて固まる性質がある。今回はこの煮汁を利用して作る「煮こごり」を紹介したい。
(アイキャッチ画像提供:WEBライター・牧野博)
コラーゲン
最近、コラーゲンという言葉をよく耳にする。タンパク質の一種で、水と一緒に煮ると溶解し、冷えるとゼリー状に固まる性質があり、健康食品などでもよく利用されている。
このコラーゲン、実は魚を原料としたものが多い。魚の煮つけを作るときに、冷めた煮汁が寒天のように固まっているのを見たことがないだろうか?これがコラーゲンの働きであり、きれいに精製したコラーゲンは調理や製菓用としてスイーツなどにも利用されている。
コラーゲンは特にハゼやキスといった白身魚に多く、他にもカレイやイシモチ、マゴチなどがその代表格である。
釣り場でのハゼの取り扱い
ハゼは、キスなどの投げ釣りの対象魚同様、氷や保冷材を入れたクーラーにすぐ投入する。そのとき、魚が氷や保冷材に直接接触しないようにする。バケツに入れて泳がせているアングラーもいるが、私は常に小型クーラー1個、サオ1本に荷物をまとめ、ポイント移動しながら釣っている。
ハゼの持ち帰り方法と下処理
クーラーに入れた状態でそのまま持ち帰る。帰宅したらできるだけ早く下処理をしたほうがいい。うろこを取った後、頭と内臓を取る。ぬめりが強い場合は、うろこを取る前に一度塩もみするといい。
ハゼの煮こごりの材料
材料
用意する材料は以下の通り。
・ハゼ20匹程度
・ミックスベジタブル適量
・水400cc
・清酒大さじ3~4杯
・しょうゆ大さじ3~4杯。
料理手順
では、実際の調理手順を紹介したい。
ハゼを煮込む
まずはハゼがちょうど浸る程度の煮汁を用意する。鍋にコップ2~3杯の水を張り、しょうゆと清酒ほぼ同量(大さじ3~4杯)を入れて火にかける。煮汁を一度沸き立たせてアルコールを飛ばしたあと、火を弱め、下処理したハゼを入れて弱火で15~20分ほど煮込む。このときにハゼの身からコラーゲンが溶け出してくる。
具の準備
煮汁をそのまま冷やして固めてもおいしいが、ハゼを煮ている間に煮こごりに入れる具を準備すると段取りがいい。魚介類の切れ端があれば面白いが、野菜でもいろいろ工夫して具を作ることができる。
例えば冷凍食品のミックスベジタブルなどは手に入りやすく便利である。熱湯で下茹でし、水を切っておくだけでいい。
煮こごりを作る
ハゼの煮つけが完成したら、熱いうちにハゼを器に移し、煮汁を少し入れる。この時残った煮汁を煮こごりに利用する。骨が気になるようだったら、煮汁を軽く濾してもいい。
煮汁に下茹でしてあった具の野菜を入れて軽く混ぜ合わせ、すぐに冷やした器に流し込む。ラップをかけてしばらく冷まし、その後冷蔵庫に入れる。
数時間で表面がゼリー状に固まってくる。全体がうまく固まるにはさらに時間がかかるが、ほぼ一日たてば固まっている。あまり日持ちしないので、出来上がったらすぐ食べることをおすすめする。
具について
冷蔵庫にある野菜の切れ端がいろいろと活用できる。ただし、入れる人はいないと思うが、青果物の中にはタンパク質の分解酵素を含むものがある(例えばキウイフルーツやパイナップルなど)。これらを入れるとコラーゲンが固まらなくなる可能性があるので注意が必要である。
<牧野博/TSURINEWS・WEBライター>