小型が多いがアユの魚影は抜群の滋賀県を流れる安曇川の廣瀬地区へ釣行した。盆休みでアユ釣りや川遊びの人も多く、あまり広範囲に探る事はできなかったが、超浅場でいい感じのエリアを見つけ、小型ながら友釣りの醍醐味である入れ掛かりを堪能できた。
(アイキャッチ画像提供:WEBライター・大西満)
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天然遡上が多い廣瀬地区
滋賀・安曇川のアユ釣り場は上流から葛(かつら)川、朽木(くつき)、廣瀬と分かれている。葛川は稚魚放流、朽木も放流だが、水況によっては後半に天然遡上もある。釣り場は平坦な所が多く、スイカ大の石が入っている場所が多くて歩きやすい。
廣瀬地区も放流している(1t以上)いるけれど、天然遡上アユが多い。釣り場はかなりフラットで底石は少なく、小石底の釣り場が多いが、晩夏はこんな釣り場でよく釣れる。ただ、琵琶湖から遡上してきたケタバスに襲われることもある。
河川敷の入り口が分かりやすい
8月13日、安曇川廣瀬地区へ釣行した。午前6時過ぎ、組合事務所で日券とオトリ1尾を買い、釣り場を教えてもらう。ここはかなりの釣り場が河川への車乗り入れ可能になっており、普通乗用車でも走行可能なように整地されている場所が多いし、河川敷への入り口も道路に「釣り場入り口」の立て看板が設置されているから、遠来の釣り人としてはありがたい。
午前7時前、まずは両台橋左岸から河川敷に入り、下流のポイントで釣る。台風の余波か、空は晴れているけれど風が強いから、竿は短かめの8.1mを出す。
アユが小さいらしいから、仕掛けはオトリの泳ぎ優先でナイロン0.1号、ハリは刻6号3本イカリ。「ナイロン細糸の伸びが小型オトリに優しいかな」との選択だ。
唯一のオトリをケタバスに狙われた
瀬肩のヨレにオトリを入れ、かすかにテンションを掛けて泳がせていると、目印の下でモコリと大きい波紋が出た。同時にオトリが猛スピードで横へ逃げた。「アカン、ケタバスや」。私はオトリ1尾主義だから、これを取られたら釣りができなくなる。急いでオトリを回収して上流の釣り場へ移動した。
瀬落ちのヨレから浅瀬にかけて、緩い流れに茶色に光る石が点在していたのでオトリを入れると、すぐオトリの後ろでキラキラと光っていた。
10cmほどの細い小アユだった。その後も同型が3尾釣れたが、オトリは弱るばかりで、友釣りが成立しにくくなった。そこで、10mほど下がって浅い開きにオトリを入れて泳がせると、黒く光る石の横で15cmほどの小型アユが掛かった。これなら、かろうじてオトリにできる。
サイズアップ狙い場所移動
同じパターンの、黒く光る小石の群れを狙い撃ちして同型のアユをぼつぼつ繋いで釣ったが、どうも面白くない。友釣りとしての楽しさがないのだ。
その時、私の後ろを通って釣り人がすぐ下流へ入った。忍び足で、無言で歩き、すぐ下流のポイントで竿を出す。何とも気分の悪い雰囲気になり、釣れるアユも小型すぎるし、これを機にここを切り上げる事にした。
オトリ缶に凍らせたペットボトルを入れておけば、少しの時間なら安心だから、あちこち釣り場を探してうろうろして、広瀬橋下流のマサヤマ裏に入る。こんな時には「釣り場入り口」の看板はありがたかった。
オトリ入れ替え成功
お盆休みだからか、河川敷には釣り人や川遊びの人の車が多いが、川の様子を見ながらマサヤマ裏から下流へ走り、行き止まりまで来てしまった。川はあまりにも浅く、広くてフラットで底石もほとんどない。
よく見ると、微かに川の真ん中が盛り上がり、拳ほどの石の集まりが黒く光って筋になっていた。釣るとしたらあそこしかないか。
長時間オトリ缶に入れていたオトリは、弱って動きが悪いから、空中輸送で黒い石の所に入れ、すっと竿を寝かせたときにキラリ、ビューッと閃光が走ったではないか。えっ、ほんまかいな。「地獄に仏」、「救いの神の降臨」。
オトリが弱ってどうにもならない時に、ありがたい。元気なオトリが釣れたのだ。それから、快進撃が始まった。
水深10cmほどの超浅場
釣り場があまりにも浅く、10cmぐらいだから、竿を立てて泳がせるとハリが底に掛かってトラブルが多く、ベタ竿で引き釣りをする方がうまくいった。
アユが小型だから、逆バリを深く打つとうまく切れず、掛かってもキラキラと下がるだけで面白くない。浅く打って、逆バリがうまく切れると、ビューッと白い閃光が走り、目印がぶっ飛ぶ「気色のええ釣り」になった。
逆バリの工夫が入れ掛かり演出
釣れるアユはほとんどが14~16cmの「かろうじてオトリ」のサイズだが、それでも入れ掛かりは楽しい。釣れたら余裕だ。逆バリの打ち方を工夫して、少しぐらい底に掛かっても外れず、アユが掛かったら確実に切れる深さを探りながら釣り、アユが掛かったらキラリ、ビューッとなるのが楽しいのだ。
川に3本の筋があった。それを手前から順番に釣りながら沖へ出て、また、手前に戻って釣り直す。釣り人が多くて上、下を挟まれているから動きは制限されるが、何度も同じ場所を釣っても、そのたびに釣れる。足首が浸からないぐらいの超浅場だから、自分が踏んだ場所をもう一度釣ることに躊躇したが、オトリを入れると掛かったのだから「さすがは湖産アユ」と感心した。
中には20cm級の良型も
ほとんどが16cmまでの小型アユだったが、時々20cmもあるアユが掛かった。そして、それをオトリにしてもほとんど掛からず「チビアユはこんなデカアユには掛かってこないだろうな」と納得した。
この日の釣果は94尾(10~20.5cm)で、オトリにならない10cm級は12尾あった。
水温は29度。オトリは釣った時から弱く、時にはハナカンを通したら硬直するのも多くて難儀した。安曇川の入漁料は日券2000円、年券8000円。オトリは廣瀬漁協で入手できる。ほかにオトリ店などははないの注意。
<大西満/TSURINEWS・WEBライター>