エサもルアーもとことん楽しみたい無節操ぶりを自認する私にとって、ジギングで釣行を繰り返すのが概ね11月から1月の厳寒期だけだ。そんなわけで1月25日に三重県鳥羽市安楽島の強丸で、私の今季ジギング最終戦を楽しんできた。
この時期のジギング
11~1月にオフショアジギングを行う理由は、寒ブリの言葉通り大型が狙えて食味も抜群だからというのが大きな理由だ。
何より2月になれば産卵から回復したコンディション抜群のメバルや、ナギのいい夜を狙い澄まして行く日本海のヤリイカなど、たまらなく魅力的なエサ釣りが多すぎて、ジグをシャクってる場合じゃなくなってくるのだ。
大盛況のジギング船
午前6時の出船に合わせて到着すると、すでに桟橋には多くのお客さんの姿が。実は前週も強丸にお世話になってブリ4匹にワラサとサワラを2ケタ釣らせてもらった。
好調は続いているようで、この日は2隻ともジギング出船だという。
私と友人の河井さんは19mの大型船へ割り振られた。沖は前日の大風の波気が残ってそうなので好都合だ。定刻通り船は舫いを解いてポイントへ向かう。
PEライン2号にリーダー40ポンド、ジグはベイトがイワシとのことで、150~200gのショートからセミロングを各タックルに組んでおく。
釣友絶好調で・・・
30分ほどで沖のポイントに到着し、満員の同船者たちとしシャクり始める。9時すぎが潮止まりなので、まずはそれまでに魚を手にしておきたいと考えていたひと流し目に早くも船中でサワラが1匹。
船長はベイトの反応を見ながら細かく移動を繰り返してくれる。しかし潮はそこそこ効いているのにアタリはない。
サワラ以降はしばらく音なしの時間が続いたが、沈黙を破って友人の河井さんが掛けた。ライトなタックルでうまくいなして手にしたのは本命のブリ!サワラを釣った同船者のジグにチェンジしてのヒットだという。
「いいなーいいなー俺も早く魚触りてーなー」。嫉妬心が殺気と化してジグに乗り移らぬよう冷静を装いつつジャークを繰り返すが、あろうことか次のヒットも魚を絞めて復帰した河井さん。震え声で祝福したが、やっぱり次も彼である。
潮止まりまでに船中3匹のブリが上がったが、全て1人で仕留めてしまった。私としては2人で帰る車中の雰囲気などを考えると憂鬱である。万一このままボウズでも食らおうもんなら、助手席に座った瞬間に寝るしかないなとまで考えていた。
「連鎖」で船中ヒット連発!
そんなちっぽけで軽薄な私にさえ潮が返して再び動きだした豊穣の鳥羽はほほえんでくれた。
わき上がる潮に吹き上げられたベイトは青物の活性を一変させ、船中誰かが掛けると両隣にもチャンスが広がる。伊勢湾界隈の船長たちは「連鎖」と呼ぶが、これができる日、時間帯は爆発的に数が伸びる。
鳥羽ではオーソドックスなショートジグの赤金、緑金などを「節を付けない」ワンピッチでジャークしていると、争うようにジグをひったくっていき、ファイト中には必ず近くの同船者も掛けている。
「連鎖」ができる時間帯、いわゆる時合いでは特段のテクニックやキモはないが、強いて挙げるなら「節を付けない」方が鳥羽に代表される伊勢湾ジギングでは好釣果に恵まれることが多い。
日本海でのジギングのようにジグを猛スピードでキレさせてバンバン飛ばす、力の限りシャクってナンボというのとは一線を画す。かと言ってスローに徹するワケでもない。言葉にするのが非常に難しいが、鳥羽のある船長の言葉を借りるなら「しっかりキレイにジャークする」。
難しくはない、一番釣ってる人を見ればやっぱり一番キレイなシャクリをしているはずだ。
鳥羽のブリジギング
潮が返してからの怒涛の入れ食いとハイエナのように連鎖ヒットをモノにしたおかげで、私もようやくブリで大型クーラーを満タンにすることができた。ここからは船長へのお土産にどんどんイケスに放り込んでいく。
河井さんと2人でブリとワラサを20匹以上釣り上げただろうか、ベイトに狂ったのは青物だけではなく、シーバスやヒラメも顔を見せてくれた。
腕に心地よい疲労がたまってきたのと時を同じくして時合いも落ち着き、船中ボウズなしの全員笑顔で沖上がりとなった。
例年よりスタートが遅れた鳥羽のブリジギング、10kgを超す巨ブリこそ少ないものの、6~7kgのいわゆる「ケンカブリ」はとんでもない数だ。
おそらくもうしばらくは大丈夫、まだ行ってない人はお早めに!
<週刊つりニュース中部版 APC・峯卓/TSURINEWS編>
強丸