サオさえ手に入ればスタートできる渓流釣り。ウェーダーにベスト、ランディングネット……とさまざまな道具が必要になってくるが、すべて釣具店でそろえるとお金がかかるし、小道具類、いわゆる便利グッズならとことん安く済ませたい。それならば、とまちの100円ショップをのぞいてみた。
(アイキャッチ画像提供:TSURINEWSライター筑井直樹)
「純正品」は踏ん切りがつかない
筆者の住む札幌市では最近、大型釣具店が相次いでオープン。店をのぞけばあれも面白そう、これも便利そうと思うのだが、そうした商品はいわゆる「純正品」のため、本当に便利なのか微妙な場合は、たとえ安くても踏ん切りがつかない。しかも店舗はいずれも郊外なので、しょっちゅう行けるわけでもない。
日用品は百円均一ショップ
「日用品が必要になったら、まず百均をのぞく」と妻が話していたのを思い出した。100円ショップなら街角には必ずある。初めて行くとどの棚を見たらいいのか分からないほどだが、通うにつれて案外類似品や応用できそうなものがそろっていることに気づいた。
まずはアウトドアコーナーから探索。ピンオンリールにペットボトルホルダー、マグネットリリーサーもある。カラビナはどれを選べばいいのか分からないほど豊富だ。釣具店や専門店で買っていたのが悔やまれるほどだ。
「パトロール」を日課に
百均のいいところは、本当に役に立つのか半信半疑でも、ためらわずにすむことだ。純正品を購入するのは釣りがうまくなったり、使用感を確かめたりしてから。初心者なら百均でいいじゃないかと思うようになってきた。釣友も「百均パトロールは日課だよ」と言う。前置きが少々長くなったが、それでは具体的に紹介しよう。
スプリングコード
まずは使い勝手がいい「スプリングコード」。落としたくないネットやプライヤーをベストなどに装着し、必要に応じて伸ばして使うコードだ。先端部分がキーホルダーやカラビナ、クリップなど多種類があり、用途に応じて複数もちたい。筆者はネットだけでなく、クマよけの電子ホイッスルにも装着して使っている。
使用時の注意
使用に当たっては、耐荷重に気をつけたい。紫外線や潮風には弱いという指摘もある。どうしても落としたくないものをつなぐなら、ホームセンターで工事関係者向け商品を選んだ方が無難かもしれない。
指揮棒
テンカラ釣りの筆者はオモリを使わないので根掛かりとは無縁だが、木枝に毛バリをひっかけるトラブルはしょっちゅうだ。あと15cm手が伸びれば外すことができるのにと思っても、五十肩で腕が上がらない。ひっぱってハリスが切れるのならいいのだが、無理をしてサオを折ってしまった経験がある。
何とかしたいとインターネットを見ていたら、棒タイプの根掛かり外しが「ルアー十個分で元が取れる」と紹介されていた。そこまで高価なものは必要ない。さっそく百均パトロールに出動すると、文具コーナーでホワイトボードなどを指し示す「指揮棒」が目に留まった。先端にカギはついていないものの枝を曲げたりするには十分ではないか。出番がないのが一番だが、安心感は倍増した。
面ファスナーベルト
恥を忍んで失敗談をもう一つ紹介しよう。読者の皆様は予備のサオの携帯はどうしているだろうか。横着者の筆者は、ベストの背中に入れていてなくした経験がある。先端がはみ出しているが、チャックもしているし落ちても気づくだろうと甘く見ていたのだ。
安価なエサ釣りザオだったのであきらめもついたが、テンカラザオはそうはいかない。背中が気になっては釣りにならないので、グリップの金具にキーホルダーを付けカラビナで腰にぶら下げてみる、サオが垂直になって調子がいい。
しかし、万が一金具が引き抜けたらと不安になった。そんなときに百均のカーグッズコーナーで発見したのが「アシストグリップ用フッキングベルト」だ。これは面ファスナーにつまみを付けたような形状で、車内の手すりに巻き付けてハンガーを引っ掛けるようにして使う。
使用時の工夫
筆者はグリップのやや細くなっているところにフッキングベルトを巻き、つまみにカラビナを付けてみた。これだと、どこにでも簡単にぶら下げられるし、グリップは前後が膨らんでいるので外れる心配はまずない。予備ザオの携帯だけでなく、藪漕ぎや崖の上り下りで両手を空けたいときに使えば安全性も増す。百均同士をコラボさせた自作の便利グッズだ。
ホイッスル・防犯ブザー
渓流では同行者に声が届かない。携帯電話もエリア外の場合が多く、トランシーバーがあれば便利だが、ここでも価格がネックになる。そこで目を付けたのが拙稿「渓流釣りに欠かせない【クマ対策の必需品4選】」でも紹介しているホイッスルや防犯ブザーだ。合図を送る程度ならこれで十分。
筆者は自宅に以前からあったホイッスルだが、釣友は高音でよく響くホイッスルを釣具店で買った。「安全にかかわる道具は安く済ませてはダメだ」。正論である。